障害年金について
はじめは障害年金です
障害基礎年金を受給するには、原則として次の要件を満たす必要があります。
- 初診日(障害の原因となった病気やけがで初めて病院にかかった日)において、国民年金の被保険者であること。または、60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいること
- 障害認定日(病気やけがが治った(※)日または初診日から1年6ヵ月が経過した日のいずれか早い日)において、障害等級1級または2級に該当すること
- 初診日の前日において初診日の前々月までの直近1年間に保険料の滞納がないこと。または、保険料の滞納期間が被保険者期間の3分の1未満であること
なお、初診日において20歳未満だった人は、厚生年金の被保険者だった場合を除いて国民年金の被保険者ではありませんが、障害認定日において障害等級1・2級に該当すれば障害基礎年金が支給されます。ただし、20歳前に初診日がある障害基礎年金には所得制限があり、所得が一定水準を超えると全額または2分の1が支給停止されます。
次に、厚生年金から支給される障害厚生年金のしくみをみていきましょう。障害厚生年金を受給するには、原則として次の要件を満たす必要があります。
- 初診日において厚生年金の被保険者であること
- 障害認定日において、障害等級1級または2級または3級に該当すること
- 初診日の前日において初診日の前々月までの直近1年間に保険料の滞納がないこと。または、保険料の滞納期間が被保険者期間の3分の1未満であること
3.の初診日の前日における保険料の納付要件はどちらの障害年金にも共通する要件ですが、障害厚生年金は障害基礎年金と違って初診日において必ず厚生年金の被保険者(会社員)であることが必要です。また、障害厚生年金には障害等級が「3級」まで設けられており、さらに障害等級に該当しない場合でも一定の要件を満たすと「障害手当金」という一時金が支給される場合があります。
障害厚生年金の支給額は、障害基礎年金と違って、厚生年金の加入期間と保険料の計算の基礎となった標準報酬(月)額(給与と賞与)の平均額から計算します。
年金額の計算に使用する厚生年金の加入期間は障害認定日の属する月までになります。障害認定日の属する月までの厚生年金加入期間が300月未満の場合は300月とみなして年金額を計算します。このため、若いうちに障害の状態になってしまった場合でも、最低額が保障されるということになります。なお、障害厚生年金は子どもの加算額はありませんが、障害等級1級または2級に該当する人は扶養する65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者の加算額として227,900円が加算されます。
厚生年金に加入する会社員は第2号被保険者として国民年金にも加入しているので、障害等級1級または2級に該当する場合は障害厚生年金と障害基礎年金の2階建ての年金が支給されることになります。
現在は大学生でも20歳になると国民年金に加入することが義務付けられていますが、学生時代に加入手続きを怠り保険料が未納の状態になっていると、障害年金の保険料納付要件を満たせないので、「もしも…」ときに障害年金が支給されません。学生納付特例など保険料納付猶予の手続きをとっておけば、保険料を負担していなくても障害年金は支給されます。忘れずに手続しておきましょう。
なお、障害年金は障害の原因となった病気やけがが治らないと、初診日から1年6ヵ月が経過するまで年金が支給されません。会社員の場合は、その間健康保険から所得保障として傷病手当金が支給される場合があります。傷病手当金は病気やけがで仕事ができず、給与が支払われない場合1日当たり平均標準報酬日額(健康保険や厚生年金の保険料計算の基礎となる標準報酬月額の30分の1)の3分の2が支給されます。自営業者やフリーランスが加入する国民健康保険からは傷病手当金が支給されないので、民間の所得補償保険など自分で準備しておくことが必要でしょう。