神戸グルメ/神戸・兵庫のフレンチ

エル デ アンジュ芦屋(2ページ目)

今、兵庫でもっとも注目したいフレンチ「エル・デ・アンジュ芦屋」。若き次世代シェフが作り出す、創意工夫溢れる料理の数々は美味しい驚きの連続です。

執筆者:麻生 玲央

8,200円のディナーコースより

☆アミューズ
パセリのブルーテ、相生牡蠣と丹波卵、蝦夷鹿とフルムダンベール

パセリのブルーテ、相生牡蠣と丹波卵、蝦夷鹿とフルムダンベール

まずはアミューズ3種が登場です。内容は左から「パセリのブルーテ」「相生牡蠣と丹波卵」「蝦夷鹿とフルムダンベール」。
 
「パセリのブルーテ」と「相生牡蠣と丹波卵」

「パセリのブルーテ」と「相生牡蠣と丹波卵」

「パセリのブルーテ」は、パセリ特有のファーストノートと、クリーミィな滑らかさが嗅覚と味覚に流れこみ、優しく食欲を刺激してくれます。

真ん中の卵(丹波産)のほうは、黄身の火入れ加減が絶妙で、卵の持ち味を活かしきった超レア仕上げ。ここに、燻製にした牡蠣と、グリュイエールチーズ、さらには炭酸ガスを注入したヨーグルトのムースを重ねてあり、口に入れた時の味わいの変化が面白く、食感・香り・見た目と三拍子揃った快作! 卵を使った料理でここまで感激できたのは久しぶりです。
蝦夷鹿とフルムダンベール

蝦夷鹿とフルムダンベール

そして3種類目は、「蝦夷鹿とフルムダンベール」。蝦夷鹿のカルパッチョに巻いてある香草達(生姜・ミョウガ・白ネギ)の芳醇な地の香りが素晴らしく、これまた食欲をさらに刺激してくれます。

アミューズはコース料理の印象(ファーストインプレッション)を決定付ける大事なポジションですが、今回のアミューズは野菜・海の物・山の物という三部構成で、全体的に滑らかで優しい食感と、それぞれの香りが楽しめる、極めて完成度の高い意欲的なスターターでしたね。エクセラン!


☆前菜1
香住産カニと蕪の一皿、ゲランドの塩とベーコンのグラス添え

香住産カニと蕪の一皿、ゲランドの塩とベーコンのグラス添え

続いての前菜は、香住のカニを聖護院蕪で巻いた一品。この料理のポイントはやはり、蕪の使い方でしょう。まずはカニを「聖護院蕪」で筒状にし、巻いた両面には「黄金蕪」と「赤蕪」、そこに添えられた「マイクロ蕪」を合わせて、合計4種類もの「蕪」が使われているのです。ソースにはカニミソの泡と、白ワインヴィネガー・蜂蜜・ライムの酸味のソース、さらにベーコンのグラス(ゼラチンで固めたもの)が彩りよく配置され、海の恵みと大地の恵みによるマリアージュとも言える逸品に。

特筆すべきは、その計算された味わいの妙。4種類の蕪はそれぞれの食感と甘味(旨味)を活かすために、火入れ加減を変えてあるだけではなく、それらの蕪を使ってカニの旨味をちゃんと閉じ込めてあるんです。ソースも蕪の繊細な味わいと食感を邪魔しないように、同じく上品で軽やかなものにしてありますし、ベーコンの動物性脂肪も不思議なほど蕪の味わいを引き立てています。


☆前菜2
閉じ込められたフォアグラとベットラブ、ショコラとバジルの香り

閉じ込められたフォアグラとベットラブ、ショコラとバジルの香り

フォアグラの濃厚感を、4時間ローストしたビーツ(2種類)の甘みと土の香りが円やかに寄り添いつつ、パンデピス(箱になっている生地部分)によるカリカリ食感と、ヴィネガーの酸味、さらにショコラとバジルの香りのバランスが見事に絡み合い、三位一体の複雑な味わいになっているのです。ビーツによる見た目の鮮やかさも見事。

次ページでは、野菜料理やメイン料理等、コース料理後半を御紹介します

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