子宮頸がん、Hib、肺炎球菌ワクチンの公費補助が決定

ワクチン

病気を防ぐための予防は非常に大事です。

2010年の補正予算で、これまで自費でなければ受けられなかったワクチンの一部が、公費負担で接種できることになりました。

対象となるワクチンは、子宮頸がんワクチン(サーバリックス)、インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン(アクトヒブ)、肺炎球菌ワクチン(プレベナー)の3つ。

これまでの自己負担額と、公費補助で接種を受ける条件、医師として感じる問題点、注意点について解説します。

家計にも響く? 高額だった自己負担ワクチン

これらのワクチンは今まで自費であったため、医療機関、都道府県によって、値段が異なっていました。

それぞれのワクチンの接種費用(目安)と、接種回数は以下の通りです。
※(補足)接種回数について
Hibワクチン(アクトヒブ)は生後6カ月までなら4回、生後7カ月~1歳未満なら3回、1歳~5歳までなら1回。肺炎球菌ワクチン(プレベナー)は生後6カ月までなら4回、生後7カ月~1歳未満なら3回、1歳~2歳までなら2回、2歳~9歳までなら1回接種。
これらをすべて行うと、自己負担としてはかなりの金額になってしまいます。今回の公費補助も自治体によって差があり、自己負担ゼロのところから、一部自己負担のところまで様々ですが、これまでの自己負担額に比べると、かなり安くワクチン接種ができるのは間違いなさそうです。

ワクチン公費補助に該当する年齢

公費補助は、年齢の条件を満たしていれば誰でも受けられます。

■子宮頸がんワクチンの該当年齢
子宮頸がんワクチンの公費補助は、中学1年生~高校1年生までの4学年。

「ワクチン接種緊急促進事業実施要領」によると、平成22年度は、高校1年生の場合は1回目、2回目を接種している人、何らかの理由で接種できなかった人は平成23年度になっても公費補助になると明記されています。

2010年度の補正予算ですが、厚生労働省が2010年12月に実施した調査によると、公費補助を平成23年4月から行う自治体が29.3%、時期未定の自治体が7.9%もあり、現在の高校1年生の約3人に1人以上は公費補助が受けられない可能性が高いです。ただし、2月から公費補助をしている自治体では、現在の高校1年生は公費補助されます。

つまり、現在の高校1年生は「こども手当」の対象から外され、ワクチン公費補助からも外されます。高校無償化も私学生にとってはそんなに恩恵はありません。海外とのワクチン格差を解消する事業が学年内での格差を生んでいます。

■Hibワクチンの該当年齢
Hibワクチンの公費補助は、生後2ヶ月~5歳まで。

■肺炎球菌ワクチンの該当年齢
肺炎球菌ワクチンの公費補助は、生後2ヶ月~5歳まで。

ワクチン公費補助の問題点

Hibワクチンは本来接種すべき対象年齢と、公費補助を受けられる条件の年齢が一致しているので問題ありませんが、子宮頸がんワクチンと肺炎球菌ワクチンは異なるのは問題でしょう。

肺炎球菌ワクチンの場合、5~9歳までは公費補助から外れてしまいますが、肺炎球菌やHibによる髄膜炎や肺炎、中耳炎、菌血症は、生後2ヶ月から2歳までに多い病気です。Hibと肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌やHibそのものによる感染症という病気を少なくするために行うワクチンです。公費補助の対象年齢でワクチンを行えば、肺炎球菌やHibによる髄膜炎や肺炎、中耳炎、菌血症はかなり減少することが期待できます。ワクチンをしなくても、5歳以上で年齢が高いと、自分の免疫で肺炎球菌やHibに対抗できます。

ところが子宮頸がんワクチンは今後起こりうる子宮頚がんを予防するためのワクチンです。子宮頚がんは20歳~30歳に多い病気で、この年齢で発症するすべてのがんの中で第1位です。ワクチンの効果が高いのは、子宮頸がんの原因であるパピローマウイルスに感染する前にワクチンを行うと効果的です。つまり、子宮頸がんは、ワクチンによってパピローマウイルス感染して10年~20年後に起こりうる子宮頸がんを予防するので、将来のために行うワクチンです。ワクチンをしないで自分の免疫力だけで子宮頸がんにならないようにすることが難しいのです。

これらのワクチンが将来的に定期接種になるかはまだ分からないので、年齢が該当する場合は今回の公費補助期間内に接種計画を立て、まずは予防接種を受けておく方がいいでしょう。公費対象期間は自治体によって異なるので、接種前に必ず確認することをオススメします。

医師としては、欧米に対する予防接種行政の遅れを取り戻し、格差を生まないことが大切だと感じています。1人でも多くの子供の健康を守るためにも、ワクチンで防げる病気に対してワクチンの定期接種が望まれます。

定期接種で行っていく場合、どうしても副反応が心配と言う人もいるかと思います。もちろん、ワクチンは医薬品なので、副反応を0にすることはできません。
どんな副反応があって、どれくらい起こって、効果が副反応を上回り、万が一、副反応が出てもきちんと救済されることをしっかりとできていれば、定期接種として日本国内で行っていく事ができると思います。

厚生労働省で開催される専門家会議の評価結果(ワクチンと死亡事例との明白な因果関係は無いとの判断)を受け、厚生労働省では、Hibワクチンと肺炎球菌ワクチン、同時接種は再開になりました。

(平成23年4月1日現在)


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