手形と小切手の違いとは
手形と小切手の違いとは
【目次】
- 手形とは
- 手形の集金方法は取引先、販売先の支払条件による
- 手形の保管
- 手形の取立依頼
- 手形割引とは
- 手形払いとファクタリング払いの違い
- 支払条件による手形払いやファクタリング払いへの変更に注意
- 小切手とは
- 小切手を発行するには
- 小切手の記載事項……耳への記載は備忘録に
- 小切手を振り出す際の注意点
- 小切手を受け取ったら
- 小切手を受け取った際の注意点
手形とは
手形とチェックライター
手形の集金方法は取引先、販売先の支払条件による
取引先、販売先の支払条件により、一部または全部が手形払いに該当した場合、取引先に手形の集金に行く必要があります。集金は事前に場所や日時、持参するものなどについての案内があるはずです。事前に確認して準備しましょう。通常、取引先に発行するための領収書用紙、領収書に貼付する印紙などが必要になります。なお、郵送という手段をとることができる場合もあります。その場合は安全確実な方法で受け取ることができるか十分に注意してください。
手形の保管
受け取った手形については、以下の手順で保管します。1.記載事項のチェック
受け取った手形は必要事項が記載されているか確認しましょう。
2.手形受払帳への記載
必ず手形受払帳を用意し、必要事項を記入するようにします。手形の保管状況の管理や取立依頼の確実な実行のために役立ちます。
3.金庫に保管
手形を紛失してしまったら社内はもちろん、取引先や金融機関にまで迷惑をかけることになります。必ず金庫に入れて厳重に保管するようにしてください。
手形の取立依頼
手形に記載された支払期日になれば、ようやく現金化されて資金を受け取ることができます。支払期日は、振出日から90日後から180日後の場合が多いです。通常は自社の取引金融機関に取立、つまり受取手形の現金化を依頼します。取立を依頼された金融機関では、手形交換所を通じて振出人の当座預金口座から現金を回収。金融機関に取立を依頼する際には、手形の他に手形取立帳、手形取立依頼書などの専用用紙が必要です。あらかじめ取引金融機関にそれらの用紙を発行してもらうように依頼しておきましょう。なお、手形の取立委任の際に、取引金融機関に1枚あたり数百円の手形取立手数料を支払います。手形を取立に出す際には、手形裏面の裏書き欄に必要事項を記載します。
- 会社住所
- 会社名
- 代表者名
- 目的(「取立委任のため」と記載)
- 銀行届出印を押印
手形割引とは
手形が現金化されて入金されるには振出日から90日後、120日後、180日後など、手形に記載された支払期日まで待つ必要があります。ただ、これだけの長い期間現金化されないということは資金繰りを圧迫することが多いのも事実。そこで手形割引という制度があります。手形割引とは、支払期日前の手形を金融機関などに裏書譲渡することにより、支払期日までの利息相当額を差し引いた額で売却すること。金融機関に手形割引を依頼することにより、支払期日まで待たずとも現金化することが可能となるのです。ただし、手形割引を行う際には以下の注意点があります。
1.手形取引約定書の締結が必要
手形割引を行うには事前に取引金融機関との間で手形取引約定書を締結しておくことが必要です。担保が必要な場合もあります。
2.審査がある
手形割引は全てに対して認められるわけではなく、その都度審査があります。通常の融資のように割引設定枠や個別の審査があることにご注意ください。
3.時間が掛かる
上記のように手形割引を行うまでには、手形取引約定書の締結や個別の審査を経る必要があります。手形割引を行う可能性がある場合には、早めに準備を進めておくことをオススメします。
手形払いとファクタリング払いの違い
ファクタリングとは、企業の売掛債権である売掛金などをファクタリング会社に手数料を払って売却し、ファクタリング会社が債権回収業務を行う取引のこと。企業にとっては債権の早期売却により早期の資金化が可能となりキャッシュフローが改善できます。また、取引先にとっても割引が可能になるなど、従来の約束手形を受け取ったときと同様の機能を享受できます。また、ファクタリングには手形の発行をしない点で事務効率化にもなる、収入印紙の貼付が不要になるなど多くのメリットがあるため、手形の発行を廃止してファクタリングを採用する企業が増加しています。
取引先が手形の発行に代わりファクタリング払いを導入している場合はファクタリング払いを選択するメリットが大きい場合が多いです。ぜひ検討してみてください。
支払条件による手形払いやファクタリング払いへの変更に注意
財務管理においては、新規の取引先との取引を始めるにあたり、支払条件をよく確認しておくことが重要です。特に、締日における支払金額が一定金額を超えると、手形払いやファクタリング払いになるということが多々あります。そのことを知らずに支払日に現金払いで振り込まれると認識して資金繰りを予定したら大変です。資金ショートの可能性すらあります。十分な注意を払うようにしてください。小切手とは
手形、小切手の基礎知識を身につけよう
小切手を発行するには
初めて小切手を発行、振り出すためには、まず取引金融機関に当座預金口座の開設が必要。以下の手順となります。1.取引金融機関の審査
当座預金口座はどんな会社でも簡単に開設できるわけではなく、取引金融機関からの信用などを元にした審査があります。常日頃から取引金融機関との取引を通じて信用構築しておくことが必要ですね。
2.当座勘定取引契約を結ぶ
取引金融機関の審査に通ると、金融期間と当座勘定取引契約を結びます。その後、金融機関での手続きを経ると当座預金口座が開設されます。
3.小切手帳の発行を依頼する
取引金融機関に50枚ほどの小切手が一冊に束ねてある『小切手帳』の発行を依頼します。小切手帳は有料で、発行には数日かかります。手元に小切手帳を入手したら、これで小切手を発行できる状態になります。
小切手の記載事項……耳への記載は備忘録に
小切手を発行する際は、必要事項を記入、押印して発行します。あらかじめ印刷してある事項以外に記載が必要なのは以下の事項です。1.金額
金額は漢数字で記入するかチェックライターを購入して印字します。手書きの場合、金額は漢数字、先頭に『金』、末尾に『円也』と記載。チェックライターの場合、先頭に『¥』、末尾に『※』を記載。
2.振出日
振り出した日を記載します。
3.振出人&押印
振出人を記載します。ゴム印が便利でしょう。
例) 株式会社○○ 代表取締役 ○山 太郎
印鑑は銀行届出印です。
4.耳への記載
小切手を小切手帳からミシン目のところで切り離した際に、小切手帳側に残る控え部分を耳といいます。備忘録のために必要事項を忘れずに記載しておきましょう。記載項目は振出日、金額、渡し先、摘要です。
5.訂正
金額の訂正はできず、金額を訂正した小切手は無効になります。
小切手を振り出す際の注意点
小切手を振り出す際には、以下の点に注意しましょう。1.残高確認
実際に小切手を振り出す時点で小切手の金額を充分に超える残高がその当座預金口座にあることも必ず確認しましょう。
2.押印
押印するのは、銀行取引印です。ブレたり、欠けたりしないように鮮明に押印するようにしてください。また、耳と小切手本体との間の箇所に割印をすることが慣習となっています。割印もしておきましょう。
小切手を受け取ったら
小切手を受け取ったら以下の手順で現金化しましょう。1.記載事項のチェック
受け取った小切手はその場で必要事項が記載されているか確認しましょう。
2.保管
受け取った小切手を紛失してしまったら大変です。社内や取引先に対しての信用にも関わります。必ず金庫に入れて厳重に保管するようにしてください。
3.金融機関への呈示
小切手を受け取ったら、振出日の翌日から10日以内に支払人である金融機関に呈示する必要があります。ただし、通常は自社で支払金融機関に呈示することはせず、自社の取引金融機関に取立を依頼します。これを、小切手の現金化といいます。通帳、入金票とともに自社の取引金融機関に小切手を持ち込みましょう。なお、小切手の取立委任をする際には、取引金融機関に1枚あたり数百円の取立手数料を支払うことになります。
小切手を受け取った際の注意点
小切手を受け取った際には、以下の点に注意しましょう。1.早めにに取立に出す
取引金融機関に取立を委任した後、現金化されて口座に入金されるまでには2~3日かかります。資金繰りへの影響がないように早めに取立を委任するようにしましょう。紛失防止にもつながります。
2.線引き
小切手は便利な一方、紛失、盗難など通常ではない手段により誰かが入手してしまったとしても、その者が金融機関に持ち込んだら換金されてしまいます。それを防止するために『線引き』という制度があります。
線引きとは、小切手の表面の右上の角に2本の平行線を引いておくことです。これにより、窓口に持ち込まれた小切手はその場で換金されず、一度預かってから換金することになります。盗難防止のためにも、受け取った小切手には必ず線引きするようにしましょう。
【関連記事】