食欲を左右する様々な要因
「おいしさ」を感じるとドーパミンが放出されますが、刺激が過剰になると、依存も高くなります。
しかしさらにドーパミンが過剰に放出されて刺激し、「快感」も高まり、「もっと欲しい」と感じ、依存が高くなる面もあるのだそうです。満腹感はあっても、より強い刺激で摂食中枢を刺激すると、つい食べ過ぎるということになります。
また食欲は環境条件でも変化します。気温の高い夏は血液の温度が上昇し食欲が減退し、秋に涼しくなると血液の温度が下がり摂食中枢を刺激し食欲がわいてきます。他にも嗜好、食経験、また感情なども複雑に関係していると考えられています。
高齢者になると食欲が減退していく傾向が見られますが、病気によっても食欲が減退することがあります。発熱時、神経性食欲不振症(拒食症)、胃、腸、肝臓、胆のう、膵臓など消化器官の病気、ホルモンが関わる病気、心臓病、腎臓病など。また逆に、食欲が過剰にある場合は、糖尿病や甲状腺機能亢進症、神経性大食症(過食症)などが考えられます。
必要以上に食べない心がけを
このように、食欲のしくみにはまだまだ未知の部分があります。本来は生きるために必要なエネルギーや栄養分を求めて食欲がわいてくるはずですが、食べ物が豊かだと、それほど空腹感を感じていなくてもついつい食べ過ぎてしまいます。またおいしいものでストレス解消する傾向もあります。「なんとなく食べ過ぎてしまう」行動を止めるためには、自分が食べ過ぎてしまうときの状況から、食べ過ぎの原因を考えてみるのもよいでしょう。
現代人はデスクワークが多く、家事労働の負担も減り、交通機関も充実しています。運動不足も肥満の原因です。ウォーキングでも、β-エンドルフィンやドーパミンが出るため、適度な運動は食同様、ストレス解消にもつながるのです。栄養バランスを考えながら、規則正しい「腹八分目」の食事と併せて運動を取り入れるのも効果的。肥満を防いで健康維持するためには、毎日できることから、地道な積み重ねが大切なのです。
参考/
平成21 年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況(速報値)について(厚生労働省)
脳の摂食調節機構(東京都神経科学総合研究所)
日本肥満学会
「Health & Meat’04」(財団法人 日本食肉消費総合センター)
『人間は脳で食べている』(ちくま書房)
その他