名古屋駅新幹線口の
エスカ地下街の意外な穴場
酒好きの筆者が心地よ~く酔えた居酒屋をご紹介する「名古屋自腹メシシリーズ」。今回は名古屋駅新幹線口のエスカ地下街の「珍串」(ちんぐし)で引っかけてきました。エスカは、味噌煮込みうどんやきしめん、味噌カツ、手羽先、ひつまぶしなど、名古屋メシのお店が充実した地下街。表玄関ともいうべき桜通口の地下が何種類もの地下街が入り乱れているのに対し、エスカは3本の通りが並行に通るシンプルな構造。旅行者も安心して利用できるショッピング&グルメストリートです。
この整然とした地下街の片隅に、こんな渋~い正統派の居酒屋があろうとは。ちょっと盲点で、筆者も見逃していました。
コの字のカウンターに、木札に手書きされたお品書き、そして仕事帰りのサラリーマンや買い物ついでのご夫婦らがにこやかに杯を交わす、店内に満ち足りた幸福感。何ひとつ気取ったところのない店構えや雰囲気で、初めて1人でカウンターに座っても、すぅ~っと店の空気の中になじんでいけます。
串揚げは素材よし揚げ具合よし
何より味噌ダレがすこぶるよし!
珍串というくらいですから当然、オーダーは串料理。板さんが目の前で揚げて出してくれる串かつの盛り合わせは、とん・ねぎま・エビ・うずら・玉ねぎ・ナスの6本。衣が軽くてサクサクして、肉もすこぶるジューシーで柔らか。「うちは冷凍物は一切使わないからね。オープンキッチンでお客さんの目の前で調理するから、ごまかしなくいいモノを使ってるんですわ」とマスターが胸を張るのも納得です。そして何よりうなったのが味噌ダレ。串揚げに味噌をつけるというのがいかにも名古屋的。しかし、普通、串カツやどて用の味噌はしっかり煮込んだどろっと濃いのが一般的なんですが、ここは実にさらっとしているんです。赤味噌のまろやかさはちゃんとありつつ、コクや渋みは抑え目。この控えめな味噌によってネタの鮮度がいっそう引き立ちます。フレンチレストランで皿に残ったソースをパンでぬぐって味わうことがしばしばあるように、小鉢に残った味噌を思わず指でぬぐって残さずなめてしまいました。
焼き鳥と菊正宗の相性がこれまたよし!
続く焼き物の盛り合わせは焼き鳥、ねぎま、鳥皮、砂肝の4本。やっぱりネタの鮮度が抜群で、レア加減を若干残した適度な火の通し方も絶妙です。菊正酒房と銘打っている通り日本酒は菊正宗。清酒、純米酒、吟醸、樽酒、生酒がそろっています。筆者は清酒を熱燗で。キレのよい辛口が焼き鳥によく合います。
新幹線の改札からすぐなので、遠方からの人でも利用しやすく、居酒屋らしい庶民的なムードと名古屋テイストも味わえる。しかも、地下街の店なので午前中からずっと通し営業。昼間でも先に紹介したメニューは変わらず注文できます。名古屋では、街中に昼から営業している居酒屋はほとんどありませんからこれは貴重。まさに“使える”一軒です。
【この日のオーダーと料金】
・串カツの盛り合わせ
・焼き物の盛り合わせ
・ビール1本
・清酒(180ml)
・・・・・・・・合計 2840円
□珍串
・住所:名古屋市中村区椿町6-9
・TEL:052・452・2588
・営業時間:10:30~22:00
・定休日:エスカに準ずる
・アクセス:名古屋駅から徒歩2分
・Yahoo地図情報
【名古屋自腹メシ バックナンバー】
□第1回 「JIROMAL」 (※閉店)
□第2回 「お番菜と酒 おっこん」 (栄)
□第3回 「うどん家 匠庵」 (錦)
□第4回 「焼酎居酒屋 モモガッパ」 (錦)
□第5回 「貝と地酒 杉むら」 (栄)
□第6回 「どての品川」 (堀田)
□第7回 「島正」 (伏見)
□第8回 「雑炊 いちい」 (伏見)
□第9回 「ふじ原」 (久屋大通)
□第10回 「炭火やきとり きんぼし」 (伏見・今池・新栄)
□第11回 「大甚 本店」 (伏見)
□第12回 「魚めし 竹亭」 (伏見)