高額な賠償金の支払いを命じられることも!
最近、自転車事故が増えていると思いませんか? 歩行者が相手だと、自転車側が加害者になることが多く、相手を死傷させると損害賠償責任が発生します。事故を起こした人が未成年者であっても、です。自転車の事故だから、賠償額はタカがしれているとあなどることなかれ。過去の事故で、加害者が支払いを命じられた賠償額(概算額)を2つほど紹介しておきます。1. 男子小学生が歩行中の女性と衝突。女性は頭蓋骨骨折などの傷害を負い、意識が戻らない状態となった。監督責任を問われた母親に損害賠償を命じた → 9,521万円(平成25年・神戸地裁判決)
2.男子高校生が道路を斜め横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員と衝突。男性会社員に重大な障害が残った → 9,266万円(平成20年・東京地裁判決)
「えっ!こんなに!?」と思いませんでしたか? そう、こんなになのです。なおこの2例の場合、加害者は未成年なので、親が賠償責任を負うことになります。また、自転車事故の場合、加害者自身もケガをすることが多いでしょうから、その治療費も負担しなければなりません。
クルマやバイクは、事故に備えて、法律で加入を義務付けられている強制保険である自動車賠償責任保険と任意加入の自動車保険があります。でも、自転車には強制保険はありません。ただ、自転車保有者には自転車保険への加入を義務付ける自治体が徐々に増えていて、こうなると強制に近いですね。
では、どう備えればいいでしょうか?
自転車事故にはこんな備え方が!
自転車事故に備えるには、下記のような方法があります。1.個人賠償責任保険(特約)に加入する
個人賠償責任保険は、他人を死傷させたり、他人のモノを壊したりして賠償責任が発生した場合にお金が支払われる保険で、自転車事故も補償の対象です。ただ、単独で加入できないことが多く、自動車保険や火災保険、傷害保険などの特約で付けることになります。まずは、現在、加入している損害保険商品に、この特約が付いているかどうかを確かめてください。もし、付いていなかったら、後付けできるはずなので、付けるといいでしょう。
また、最近は、コンビニエンスストアに設置されている端末で手軽に加入できる自転車向け保険もあります。これは、損害賠償だけでなく、自転車を運転していた人の死亡・後遺障害・入院などを補償してくれます。
2.日本サイクリング協会に加入する
同協会に加入して年会費(4,000円)を払うと、特典として「JCA自転車保険」に加入できます。
3.TSマーク制度を利用して保険に入る
日本交通管理技術協会が認めた自転車店で自転車を点検・整備してもらうと「TSマーク」を貼ってくれます。このマークには、1年間有効の賠償責任保険と傷害保険が付いています。
なお、保険で備えるのと同時に、自転車事故を防ぐために交通ルールとマナーを守ることもお忘れなく。