もしまだなら耐震診断を。必要なら耐震改修を速やかに

耐震改修

早めの耐震改修工事が肝心です

耐震化の推進にあたり、官民一体となった取り組みも進んでいます。私もメンバーに入っておりますが、『耐震化推進都民会議』では、専門の学識経験者、建築関係団体、医師会、銀行協会、自治体などが集まって、地震により想定される被害の半減を目指し、都内の住宅の耐震化率を平成17年度末の76.3%から平成27年度末には90%にすることを目標として活動しています。

活動の柱となる「耐震診断及び耐震改修の促進を図るための施策、基本取組み方針」は、
○ 建物所有者による主体的な取組みに対し、技術的な支援をする
○ 必要がある場合には、財政的な支援を実施する
○ 木造住宅密集地域整備事業を推進し、不燃化・耐震化を促進する
○ 耐震診断・耐震改修の支援を実施する
○ 緊急輸送道路沿道の一定の高さを超える建物を重点的に耐震化する
○ 所轄行政庁は、民間オーナーに対し、耐震診断・改修の速やかな実施を指導・助言する
……などを挙げています。

また毎年、夏と冬には、東京都、区市町村および民間団体等が連携し、「耐震キャンペーン」が実施され、耐震化に関する講演会や展示会、相談会などが開催されております。

耐震診断や改修が義務付けられているのは、3階建て以上、床面積で1000平方メートル以上が目安ですが、この基準に満たない建物でも、倒壊時に道路をふさぐ恐れのある立地にある場合は、特定建物として所轄行政庁から指導・助言される対象となります。

こうした耐震化の条件に当てはまらなくても、耐震診断は受けておく方がもちろん安心です。特に、1981(昭和56)年の建築基準法改正前の建築物は、古い耐震基準で建てられているので、耐震診断をして安全であるかどうか確認する必要があります。

建物診断と耐震改修方法について 

阪神・淡路大震災の直後に作られた「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」に基づいて、建物診断法が定められています。現在、鉄筋コンクリート建築の耐震診断をする資格があるのは、一級建築士の中でも構造の専門家です。耐震診断をしたい場合、構造について専門に扱っている建築事務所に依頼しなければなりません。該当する事務所は各都道府県市町村の建築行政部局窓口で紹介してくれるので、相談してみてください。

木造の賃貸住宅の場合も同様で、耐震改修促進法に位置付けられた診断法があり、『木造住宅の耐震診断と補強方法』(国土交通省監修、(財)日本建築防災協会発行)によるものが、現在一番幅広く利用されている基準です。役所の担当窓口で専門家を紹介してくれます。

耐震診断の結果、問題点が見つかれば補強する必要があり、補強の設計をして貰わなければなりません。診断と補強設計は通常セットですから、構造を専門とする一級建築士事務所ときちんとした診断と補強設計の契約書を交わし、成果物を報告書として受け取ることが大事です。口頭の契約や報告で済ますのは避けましょう。

こうした手順を踏んで補強設計ができれば、一般の建築業者と通常の工事の請負契約を交わして補強工事をしてもらいます。現在、補強の方法には、耐震壁の増設、柱・梁の補強などを行う「耐震補強」、建物に伝わる地震力を軽減する「制震補強」や「免震補強」など、いろいろな方法があります。かかる金額も建物の状態によって千差万別。専門家と相談してベストな方法を選択します。なお、耐震診断、耐震改修に対する助成制度を持つ地方公共団体が多数あり、(財)日本建築防災協会で知ることができます。

賃貸住宅は人の生命を預かる建物なので、現行の耐震基準以上の耐震性能を確保したいものです。社団法人東京共同住宅協会にも耐震相談を受けられる部署があり、新築建替えコンサルティング支援もしています。お気軽に問い合わせください。

震災時における民間賃貸住宅の一時提供

災害時の民間賃貸住宅の借り上げ制度をご存じですか?もしも首都直下型地震が発生したら、避難所や仮設住宅の供給が足りなくなり、たくさんの都民が困窮する事態が想定されます。そこで、東京都と東京共同住宅協会では「震災時における民間賃貸住宅の一時提供」に関する覚書を取り交わしました。

東京共同住宅協会が、賃貸住宅を提供してくれるオーナーさんを募集し、事前に登録をしていただき、震災時に空室があった場合、東京都がそれを借り上げるという仕組みです。みなさんのご協力により、多くの方が助かるはずです。
  •  借り上げ期間:原則として6カ月
  •  住宅の基準 :おおむね19~80平方メートル
  •  家賃        :震災前の近隣と同等で、おおむね月額12万円が上限
詳細は、社団法人東京共同住宅協会(TEL 03-3400-8620)へ。

この民間賃貸住宅の借上げ制度については、社団法人全国賃貸住宅経営協会が全国的な募集を行っています。

耐震改修工事への税制優遇策

住宅の耐震改修を実施すると、税金が減額されます。

既存住宅の耐震化を促進するため、耐震補強工事を行った住宅の所有者に対して、固定資産税を減額する制度が、期間限定で実施されています。対象は、昭和57年1月1日以前に建てられた住宅(1戸当たり120平方メートル相当分まで)で、現行の耐震基準に適合させる耐震補強工事の費用が30万円以上かかった場合。その住宅は、以下の期間、固定資産税が半額になります。

平成22~24年に工事完了した場合:2年度分が減額
平成25~27年に工事完了した場合:1年度分が減額

「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉を思い出していただき、今一度、ご所有の賃貸住宅の震災対策をお考え下さい。
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