くろげる空間をつくるには?
どこにどういった照明を置くかで、空間のくつろぎは変化します
例えば、室内を蛍光灯のような白っぽい光で隅々まで照らしてしまうと、オフィスのような活動的な感じになり、くつろぎの空間からは遠くなります。そもそも、日本の住宅の照明は、明るすぎるという意見もあるほどです。実は、空間全体を均一に明るくするのではなく、暗いところをつくると、くつろげると言われています。
部屋の用途によって明るさを変える
暗いところをつくるとはいえ、室内の明るさは、最低限どのくらい必要なのでしょうか?住宅の照明の基準としては、JISの照度基準があります。JISによる住宅の照度基準では、居間や食堂・台所、廊下・階段、玄関など部位別に分けてそれぞれに必要な照度を定めています。例えば、居間に必要な照度は30~75ルクスとされています。また、食堂・台所では、50~100ルクス、廊下は30~75ルクス、玄関は75~150ルクスとなっています。
これらの基準は、「全般」に必要な照度基準で、さらに今で読書をする場合は、300~750ルクス、食堂・台所の調理台では200~500ルクス、玄関の靴脱ぎは150~300ルクスと細かく定められています。
このことは、場所とそこで何をするかによって必要な照明の基準が異なることを示しています。居間や食堂・台所、廊下・階段、玄関のすべてを同一の照度にする必要はありませんし、同じ場所でも用途次第で照度の基準は変わってきます。リビングでくつろぐなら30~75ルクスで十分ですが、読書をするならその10倍の300ルクスが必要になってくるといった具合です。
つまり、適切な照度を知って、部屋に複数の明るさの照明器具を組み合わせ、自分好みの快適な空間をつくり出すことが大切なのです。
器具選びの際に知っておきたい知識
この写真のような照明器具の場合は四方に光が広がります
光源とは白熱灯や蛍光灯、LEDといったランプの種類のこと。配光とは光の広がり方のことで、器具によっては四方に光が広がるものもあれば、LEDのように光源の特性によって一定方向にしか光が広がらないものがあります。
これらのことを頭に入れて、次ページでは具体的な照明計画を考えていきましょう。