いろいろな特別展を開催 東京国立博物館 表慶館
平成館の近くにある表慶館は、明治期に活躍した建築家、片山東熊設計のもの。明治時代末期を代表する洋風建築として重要文化財に指定されています。特別展・イベント開催時を除き休館中ですが、館内のモザイクタイルや麗しい階段の手すり、ドーム状の天井など見所も満載。開放されているときにはぜひ訪れてみてください。アジアの至宝が充実 東京国立博物館 東洋館(アジアギャラリー)
地上5階、地下1階建ての東洋館はアジア各国の文化の宝庫!
東洋館館内 中国の青銅器がずらり
中国の陶磁、インドのガンダーラ彫刻から西アジア、エジプトの考古・美術作品まで、アジア全域の彫刻・工芸・考古遺物を観賞できます。
これから紹介する法隆寺宝物館の展示品とあわせて観賞すると、実は古代の日本が、とても活発に国際外交していたことが実感できます。
正倉院と双璧をなす至宝が並ぶ! 法隆寺宝物館
明治期に法隆寺から皇室へ、その後に国へと移管された「法隆寺献納宝物」300件を収蔵・展示しているのが法隆寺宝物館。垂直と水平で構成された建物を設計したのは谷口吉生。東洋館を設計した谷口吉郎の息子にあたります。同じ博物館の敷地内に、親子それぞれが設計した展示館があるなんて、なかなか面白いですね。
この法隆寺宝物館の展示品は飛鳥時代から奈良時代にかけての仏像や絵画、工芸品が中心。奈良の正倉院よりも時代が早いことが特徴(正倉院は8世紀、法隆寺は7世紀の宝物が中心)です。
また、シンプルな建物には、後ほど紹介するカフェも併設。緑にあふれた気持ちがいい場所です。
洋画家、黒田清輝の作品が並ぶ 黒田記念館
『湖畔』、『智・感・情』などの名作を残し、日本において洋画の礎を築いた画家、黒田清輝。彼の偉業をたたえた記念館もトーハクの展示館の一つです(正門から入らず直接入館となります。入館無料)。中世ヨーロッパの貴族の館を参照して作られたといわれているこの建物。お茶の水のニコライ堂、音羽御殿とも呼ばれる鳩山会館などを設計した岡田信一郎が設計。建物内部も階段の手すり、フリーズ装飾など細部まで意匠が凝らされ、貴族の邸宅のような趣です。
館内には、黒田清輝の油彩や素描、デッサンなどが展示されています。毎週木曜、土曜の午後のみと、短い開館時間ですがゆったりとした時間を過ごせます。
敷地内には自然あふれる庭園も
本館の立派な建物に隠れ、あまり目立っていないのですが、東京国立博物館には立派な庭園があります。桜が美しい春、紅葉が鮮やかな秋のみ一般公開され、自由に散策することができます。この庭園、本館北にある1階ラウンジから、季節を問わず眺めることができます。展示品を集中して見ていると、目も体も疲れがちに。遠くにある庭園の緑、じっくり眺めてリフレッシュしてみてください。
全国から移築 由緒ある茶室たち
庭園内には日本全国から5棟の名茶室が移築されています。その一つが応挙館。円山応挙筆と伝えられる障壁画(保存のため現在は複製画に差し替え)があるこの茶室は、明治時代の実業家で茶人の益田鈍翁の邸内から移されたもの。
もともとは愛知県のお寺にあった名茶室。益田鈍翁が北品川の御殿山に移築し、その後、寄贈されこの場所に。 応挙館
この応挙館は、旧秋田藩主・佐竹侯爵家が所有していた世にも美しい鎌倉時代の絵巻物『佐竹本三十六歌仙絵巻』が、36人の歌仙ごとに切り取られた場所としても知られています。現在、絵巻物は掛け軸にされ日本全国バラバラに散らばっています(東京国立博物館はそのうち2点を収蔵)。
この絵巻物が売りに出された当時、あまりにも高価なため日本で買い取れる人がいませんでした。そしてそのころ、価値ある仏像や美術品が海外コレクターに買い取られてしまうことが相次ぎ、深刻な問題になっていました。日本美術をこよなく愛する益田鈍翁は、この絵巻物の国外流失を国家損失と考え、出資者を募ってお金を出し合いこの絵巻物を買い取り、平等に分け合うことを決断したそうです。
現在、絵巻物の断簡(切り取られた絵巻物)のほとんどが重要文化財に指定されており、そのままの形であったら間違いなく超一級の国宝だったと言われています。やむなくとはいえ、なんともまあもったいない。
そのほかの茶室も工夫が凝らされていたり、エピソードがあったりするそう。一般開放の時期以外にも、月に1~2回ほどボランティアスタッフによる庭園や茶室の見学ツアーやお茶会が開催されていますので、参加してみると、興味深いお話が聞けるかもしれません。
また、庭園以外にも東京国立博物館の構内には、重要文化財にも指定されている黒門や校倉など歴史のある構造物や屋外展示もあります。天気のいい日はのんびり歩きまわってみるのも楽しいですよ。
次のページでは東京国立博物館のレストラン、ミュージアムショップをご紹介します。