麺だけじゃないそばの楽しみ方
現代の食べ方の主流は、そば粉を練って、薄くのばし、細く切ったそば切り。
また戦国時代には粉にしたものを湯で練ったそばがきが主流となり、江戸時代になってから、私たちがよく食べる麺=そば切りとなったと考えられています。
そばは、寒冷地でも育つので、救荒作物である一方、地方の庶民には婚礼や誕生等、ハレの日の食べ物でもあったようです。
海外でもフランスでは、そば粉のクレープ「ガレット」がありますし、小麦粉が普及するまではそば粥などが食べられていたそうです。ロシアでもそばのお粥等のメニューがあります。そばぼうろなどのお菓子もあり、麺以外にも、いろいろな食べ方を工夫してみるのもおもしろそうですね。
ダッタンソバ、そば茶、そば菜にも注目
現在ソバは、麺だけでなく、そば菜というスプラウトや、そば茶などの商品、また品種としてダッタンそばもたいへん人気があります。これらの説明も簡単にしておきましょう。ダッタンそばは、中国やモンゴル等の山岳地帯で収穫される品種で、日本でも一部栽培されていますが、一般的に食べているそばの品種が甘そばと呼ぶのに対して、ダッタそばは、苦そばと呼ばれています。甘そばは、虫媒花で受粉するのに対して、苦そばは自家受粉するなど、生育に違いもあり、色もやや黄味がかっています。
そば茶は、粉にせずにそば米の状態で煎ったもので、麦茶のように沸かして飲みますが、ペットボトルで市販もされています。芳ばしい香りが魅力的な飲み物です。
静岡県環境衛生科学研究所では、「ルチンを含むそば加工品」について、抗酸化作用が最も高いのはそば茶、次いでダッタンそば、そば粉の順だったという報告しています。
最近スーパーなどでも見かけるそば菜は、新しい食品のようですが、伝統的に食べていた地域もあるそうです。ルチンが多く含まれ、スプラウトにしかないフラボノイドや、またそば菜の茎の赤い色素アントシアニンなどが含まれています。
国産そばは輸入そばに比べて風味が良く、高い評価がある一方で、そばの国内消費量はここ数年確実に増加しているにもかかわらず、その約8 割をカナダや中国などからの輸入に頼っています。(独)農研機構 中央農業総合研究センター 北陸研究センターでは、ルチン含量が高く、多収なそば新品種「とよむすめ」が育成されるなど、国産の新品種の開発も盛んなようです。
そば湯の塩分、そばアレルギーにご注意!
そばは、健康に役立つ反面、食物アレルギーのアレルゲンでもありますので、注意が必要です。そばレルギーの場合、少量でも呼吸困難や死亡にいたるなど重傷になることもあります。外食する場合、うどんを頼んでもおなじ釜でそばを茹でているお店もありますので、確認した方がよいでしょう。食べ物としてだけでなく、吸入によってもそばアレルギーが起きますので、気をつけてください。
そばを茹でる際には、湯に溶け出てしまう有効成分もありますから、そば湯を飲んだり、そば茶、そばがきとして摂るのは、無駄なくてよいでしょう。ただし、そば湯を飲む際、麺つゆに割ると塩分のとり過ぎになることがありますから、飲む量はほどほどに。
参考/
「食と農(2009 Spring No,6)」(農林水産技術会議事務局)
商品テスト情報-ルチンを含むそば加工品-(静岡県環境衛生化学研究所)
技術の窓No.1160(農林水産事業)
日穀製粉株式会社
祝いの食文化(東京美術選書)
江戸時代食生活事典(雄山閣出版)
ニッポンの縁起食(生活人選書)