なぜ大晦日にそばを食べるの?

年越そば

大晦日には、年越そばを食べて、新年の健康を祈ります。
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年越しそばのしきたりは、江戸時代中期から始まったと考えられています。一般的には、細長いそば(そば切り)にあやかって、新年も「細く長く」健康長寿で生きたいという願いから、大晦日に食べると言われていますが、他にも諸説あります。

・鎌倉時代に中国から来た貿易商が、年の瀬をこせない、博多の貧しい人にそばがきをふるまったところ、翌年から運がむいてきた

・ソバの実は、三角で、古来三角は邪気を払い縁起がよい

・細工師が、緊迫を延ばす時は、そば粉で台面をぬぐうとよく伸びるため、金を集めるという意味で

・そばの効能は新陳代謝をよくなり、体内を浄化するため

・ハタケで育つそばは、雨風にあたっても丈夫に育つ

というような由来があります(参考/『祝いの食文化』) 縁起をかつぐという意味が大きいのでしょうが、そばには健康に役立つ有効な栄養素や成分がいろいろと含まれていることも経験的に知られていたようです。

抗酸化作用の高いルチンが豊富

そばは、穀類に分類されますが、米や小麦のようなイネ科ではなく、タデ科の植物。タデ科には、漢方にも使われるダイオウなどの薬用植物も多く、近年そばが健康に役立つと注目されるのは、ファイトケミカルなどの機能性成分が含まれていることからでしょう。

そば粉に含まれる機能性成分としては、まずよく耳にするのは、フラボノイドの一種であるルチンがあります。ルチンは、ビタミンCとともに、毛細血管を強化して、血圧を下げる効果などがあると言われています。またケルセチンは、ルチン同様の作用に加えて抗腫瘍作用などがあると考えられています。

他にも、お茶にも含まれているカテキン類や、血糖値の上昇抑制作用があると報告されているカイロイノシトールなどが含まれています。

注目の難消化タンパク質

そばは、栄養学から見ると、低カロリーで、しかも良質のタンパク質、鉄、亜鉛、銅、マグネシウムなどのミネラル類、ビタミンKや、ビタミンB1、ビタミン B2、ナイアシンなどのビタミンB群、食物繊維など、幅広い栄養素を含んでいます。

食品中に含まれるタンパク質は、その質を評価するアミノ酸スコアにより、理想のアミノ酸バランスである100に近づくほどよいと判断されます。卵や牛乳はアミノ酸バランスが100ですが、植物性の食品は低めで、白米65、小麦44。ところがそばは92と、植物性食品の中では、群を抜いて良質のタンパク質が含まれているのです。

漢方の古い本に「そばは消化し難く」という記述があるそうですが、広島大学では、そばたんぱく質は消化性が低いために、食物繊維と類似した作用を有し、血中コレステロールを低下させるという研究(ラットレベル)報告がありました。そこから「レジスタントプロテイン」という概念が提唱され、体内で消化されにくいタンパク質が血中コレステロールや体脂肪蓄積を抑制する、便秘予防などの機能性についての研究が進められています。