男性向けの一生ものの本格ダウンジャケットとは?
以前の記事『この冬おすすめの街系ダウンジャケット5』に引き続き、今回は品質の高い「本格ダウンジャケット」をピックアップ。5アイテムを選りすぐって紹介します。最近はアウトドアブームということもあって、スペシャリティブランドの本格ダウンを街で着こなすのも新鮮なのです。【目次】
- 人気を誇る「デュベティカ」
- 「タトラス」のベストセラーモデル
- 「ラプロ―」の注目アイテム
- 「マウンテンイクイップメント」の傑作
- 「ミレー」の進化版レトロダウンジャケット
人気を誇る「デュベティカ」
日本を代表する建築家、安藤忠雄氏とのコラボレーションで誕生した世界初のフラッグシップショップが南青山の新名所となっているDUVETICA(デュベティカ)は、イタリアのブランド。2002年、ベニス郊外のモリアーノ・ベネトにダウンのスペシャリストたちが集結してスタートしました。
ブランド名の由来は、フランス語で“ダウン”を意味する「DUVET」と、イタリア語「倫理や道徳」を意味する「ETICA」と組み合わせたもの。伊仏ふたつの言葉をブレンドした理由は、フランス産の上質なダウンを使用しているから。ペリゴールを中心とした南仏地方で、最高級のフォアグラ用に飼育されているグレイグース種のダウンを使っているのです。そのクオリティやデザイン性の高さで瞬く間に世界中で大人気のダウンブランドとして成長しました。
今回はそんなトップブランドが提案する2010-11年の新作を紹介します。大きな特徴は、ボリュームを適度に抑えたスタイリッシュなシルエット。アームの内側から脇腹に掛けて切り替えることで、いっそうスマートな印象を与えます。さらにフロントがダブルジップ仕様なので、裾を少し開いてお腹の出っ張りを見立たなくすることも可能です。
その一方、極上のグースダウンに加え、袖口と裾にはゴムが入っているので防寒性は万全。インナーはカットソー1枚でも寒くありませんし、ジーンズやチノパンをさり気なく合わせるだけでかなりお洒落。カーゴパンツを合わせれば、ブラック×カーキという旬なミリタリー系カラーの魅力が強調できます。
「タトラス」のベストセラーモデル
TATRAS(タトラス)はポーランドで生まれたダウンジャケットブランド。ブランドのアイコンである3つ星は「機能的」「洗練」「オリジナリティ」というブランドのフィロソフィを表しています。
ヨーロッパならではの極上素材を贅沢に使いならがも、都会でもスタイリッシュに着ることのできる洗練されたデザインを取り入れた上質なアウターが真骨頂。本格的アウトドアユースのアメリカブランドとも、ファッショントレンドを追求するイタリアブランドとも異なる独自の個性を持ち、近年人気が高まっています。
ここで取り上げたモデルは、ブランドの初期から定番的な人気を誇っているショートレングスタイプ。アウトシェルにシャイニーナイロンを使用し、ラグジュアリーにイメージをまとっています。また、中綿を薄くすることでダウンにありがちなボリューム感を払拭。短めの丈とともに、すっきりした印象に仕上がっています。
もちろん、そんなコンパクトなシルエットでも、高級ダウンを使用しているので優れた保温性はキープ。フードはジップ式のデタッチャブル仕様で、取り外すことによりふたつの表情も使い分けられます。また左袖のシガレットポケットは、デザイン上のアクセントとなっています。
「ラプロ―」の注目アイテム
1980年代初期にファッション性の高いダウンブランドとして実在していたブランドがHENRY LAPLAUD(アンリ・ラプロー)。惜しまれつつも姿を消したブランドが、2009年にPYRENEX(ピレネックス)社のファッションラインとして復活を果たしました。ダウン業界の中でもヨーロッパのリーダー的な存在です。頑なにピレネー地方のダウンを主に使用するというルーツに忠実に順守。世界的に人気がある某有名フランスブランドのダウンも、実はPyrenex(ピレネックス)社が請け負っています。
今回選んだ1着も、高品質はホワイトグース種の羽毛をふんだんに使用。保温性や弾力に富んでいます。表地にもシレ加工を施した最高級ナイロンを使用。長く着られるベーシックなデザインやレトロなワッペンが特徴的ですが、ジップがアクセントカラーとして効いています。
これまではシャイニーでソフトな素材を使用した比較的スタイリッシュなダウンジャケットを見てきましたが、ここからはラギッドなアウトドアテイストを感じさせるマットな質感のアイテムを紹介します。
「マウンテンイクイップメント」の傑作
MOUNTAIN EQUIOMENT(マウンテンイクイップメント)は、リアルクライマーのためのリアルギアを生み出し続ける英国ブランド。ヒマラヤ8000m峰を始めとする、英国登山隊の数々の高峰踏破を支えてきた精神は、ブランドが生まれた1961年から揺るぎなく引き継がれています。また、サポートするいくつもの登山ガイド協会やレスキューチームなどからフィードバックを受け、テストと改良を繰り返してアイテムの完成度を磨き続けています。
そんな名門ブランドから今回セレクトしたのは、1974年のエベレスト南西壁登頂以来、36年もの間100以上の厳しいエクスペディションに貢献してきた究極の登山用ダウンジャケット。ボックスウォール製法により羽毛のロフトを最大限に引き出した保温性の高さはもちろん、防水透湿性に優れるDRILITE LOFTアウターファブリックが風雨も防ぐ。さらに、登山で有用な多数のギミックを搭載している。
「ミレー」の進化版レトロダウンジャケット
1950年6月3日、人類が初めてヒマラヤ800m峰の頂きに立った。“神の山”の制覇に成功させたのはフランスの登山隊。その背景として、革命的ザックも大きく寄与したと言って過言ではない。そのザックは、フランスのアヌシーを本拠地とするMILLET(ミレー)によって生み出されたものだった。それを機にマウンテニアリングの世界で一躍脚光を浴び、今日に至るまで不変の情熱を持ち続けている。現在でも、フレンチアルプスの麓の美しい自然に囲まれた街から、独創的なアイテムを世界へ発信している。
写真のダウンジャケットは、ミレーのザックがエベレスト初登頂を達成してから30周年を記念したかつての名作がベース。1980年8月20日にエベレスト単独無酸素登頂に成功した際にも着用されていたモデルを基に、最先端の技術や素材でアップデートした最高傑作のレトロダウンジャケットです。防水透湿性に優れたゴアテックス®パフォーマンスシェル2層を使用。80年代に主流だったタッサー調の生地を再現し、耐久性や引裂強度にも優れた高山用のダウンジャケットです。止水ジップなど、そのほかにも数々の機能が詰め込まれています。
名作の進化版からスタイリッシュなモデルまで、一生使える本格ダウンジャケットを紹介してきました。そんなアウターがあるだけで、寒さの厳しい真冬さえ楽しみになるから不思議です。
【関連記事】