住宅設計・間取り/リビング・ダイニングの間取り

リビング・ダイニング、本当は何するところ?(2ページ目)

住まいを建てるということは、家族がより幸せでいられるような空間をつくること。それにはみんなで集まってわいわい団らんできる空間をつくる工夫が必要になります。リビング・ダイニングで何をするのかを明解にすることで、より団らんしやすい空間づくりができるでしょう。

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド

ダイニングとは 

もともと住まいの中心はリビングと考えられてきました。しかし家族そろって集まることが少ない今日は、リビングよりもダイニングの方が中心的な役割を果たしてきている状況にあります。つまり、家族がみんな集まって一緒に食べることが団らんにとても重要な役割を果たしているのです。

ダイニングでの生活行為は具体的で生活的であるのに対し、リビングは抽象的で精神的な要素かもしれません。間取りの打合せの際、設計士から「リビングでは何をしたいですか?」と聞かれてもなかなか答えにくいものがあります。したがって先にダイニングの生活イメージを膨らませてからリビングの打合せをする方のほうが多くいると思います。
それではダイニングには一般的にどのような形式があるのかを見てみましょう。

・独立したダイニング
・リビング・ダイニング
・ダイニング・キッチン

設計:佐川旭建築研究所

設計:佐川旭建築研究所

以上の3形式が主です。今日の住まいはリビング・ダイニング形式が多く採用されています。その理由は住まいの全体の広さの問題があるからです。しかしこの形式だと、どうしても食卓に意識が集中しにくいところがあります。あらたまった雰囲気や求心的な空間が演出しにくいからです。たとえばリビングから平面的にややくびれさせたり、L字型形に折れ曲がっていたり、引っ込んだアルコーブ型にすることで食卓にあらたまった雰囲気がでます。また、床や天井の高さに差をつけることでもあらたまった雰囲気をつくることができます。


なぜあらたまった雰囲気が大切か

子どもが小さいうちはオープンキッチンや、リビング・ダイニングスタイルも良いですが、高校や大学になると家族の食事はバラバラで手軽に済ませる傾向になり、家族が揃うのは週末だけということもあるでしょう。テレビや雑誌をみながら食事をするのではなく、家族がちょっとあらたまった感じでテーブルにつき、食事と会話を楽しむことが大切な時間となるのです。本来は子どもにとっても食事と会話のマナーを「ちょっとあらたまった」感じの空間で覚えさせていくこともしつけとしては大切なのです。しかし今日のスタイルは子どもの小さい時だけを意識してオープンキッチンが主流となっています。


食卓での祈り

いくらおいしいものを食べても一人では味気なく、家族や友人とにぎやかに食べることはとても楽しくおいしい。そんなとき、手を合わせいただきますという何気ない日常は、あらためて家族というものを意識する瞬間でもあります。団らんはそんなところからも生まれます。今日の家族のあり方はとても多様です。リビングやダイニングをどのように考えて間取りを考えるかは、ある意味家族のあり方を考えることでもあるのです。
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