中古住宅・中古一戸建て/中古住宅の購入術

中古住宅(2) 普及が進むホームインスペクション(2ページ目)

ストック住宅(中古住宅)購入の難しさは、建物の状態がどうなっているのか、わかりづらいことにあります。一方、その難しさを解消すべく、近年、第三者が建物を診断する「ホームインスペクション」という新たな仕組みが普及しつつあります。その内容を専門家に伺いました。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

ホームインスペクションは、ホームインスペクターによる建物への目視による確認が基本。基礎や外壁もほか、内部についても間取りの様子をみて、建物のゆがみがないか、どういう状態であるのかを確認し、価格は65000円(一戸建て標準コース、税別・さくら事務所の場合)だそうです。

無駄なコストを抑えるのにも役に立つ!

床下

水浸しの床下。このような状態になると、建物劣化(木材の腐食など)はもちろん、住まい手の体調不良を引き起こす場合もある(写真=さくら事務所提要。クリックすると拡大します)

長嶋氏 大抵はこの標準コースによる診断だけで建物の状態が把握できます。このほか、オプションで床下や屋根裏の調査なども用意しています。(住宅取得費用に上積みとなるが)結果的に不必要なコスト、例えば無駄なリフォーム費用を抑えられるのではないでしょうか。

長嶋氏によると、ストック住宅に対する要望も、新築住宅と同様で様々だといいます。例えば、できるだけ長く住み続けたいと思うのか、10年で建て替えればいいと思っているのか、はたまたリフォームして新築のようにしたい、とか購入者によってニーズが異なるそうです。

ですから、標準コースを基本に様々なオプションを用意するなど工夫を行っているようです。ところで、長嶋氏はどうしてこのようなホームインスペクションの仕組みを採り入れたのでしょうか。

長嶋氏 不動産仲介業者でも建物のことを知らなくて良いとされることに疑問を感じたからです。宅地建物取引主任者という資格がありますが、その中で建物についての知識は求められていません。これでは消費者が安心してストック住宅を購入できないと思いました。

信頼できる仲介業者を見分けるポイントに

インスペクター

場合によっては、インスペクターは床下に潜って建物診断を行う場合も。いやはや大変そうだ(写真=さくら事務所提供。クリックすると拡大します)

こうした前提を受けて、2008年に「日本ホームインスペクターズ協会」を設立。住宅購入者が安心して住宅を購入できるよう、瑕疵(欠陥)の有無などを診断できる専門家を育成し、制度の普及を進めています。中でも近年は、不動産仲介業者への認知拡大に積極的に取り組んでいるようです。

長嶋氏 当初は業界に抵抗感がありましたが、近年はホームインスペクションへの理解が広がりつつあり、ストック住宅の購入者にも積極的にこの仕組みを勧める仲介業者も増えてきました。

ストック住宅購入にあたってのポイントの一つに、不動産仲介業者によるホームインスペクションへの意識があげられるということですね。少なくとも「やらない」「知らない」という業者は敬遠した方がよさそうです。

ホームインスペクションの動きに表れているように、ストック住宅を巡っては様々な動きが見られるようになってきました。次回は、ハウスメーカーを中心とした動向に視点を移してみたいと思います。

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