無駄なコストを抑えるのにも役に立つ!
長嶋氏 大抵はこの標準コースによる診断だけで建物の状態が把握できます。このほか、オプションで床下や屋根裏の調査なども用意しています。(住宅取得費用に上積みとなるが)結果的に不必要なコスト、例えば無駄なリフォーム費用を抑えられるのではないでしょうか。長嶋氏によると、ストック住宅に対する要望も、新築住宅と同様で様々だといいます。例えば、できるだけ長く住み続けたいと思うのか、10年で建て替えればいいと思っているのか、はたまたリフォームして新築のようにしたい、とか購入者によってニーズが異なるそうです。
ですから、標準コースを基本に様々なオプションを用意するなど工夫を行っているようです。ところで、長嶋氏はどうしてこのようなホームインスペクションの仕組みを採り入れたのでしょうか。
長嶋氏 不動産仲介業者でも建物のことを知らなくて良いとされることに疑問を感じたからです。宅地建物取引主任者という資格がありますが、その中で建物についての知識は求められていません。これでは消費者が安心してストック住宅を購入できないと思いました。
信頼できる仲介業者を見分けるポイントに
こうした前提を受けて、2008年に「日本ホームインスペクターズ協会」を設立。住宅購入者が安心して住宅を購入できるよう、瑕疵(欠陥)の有無などを診断できる専門家を育成し、制度の普及を進めています。中でも近年は、不動産仲介業者への認知拡大に積極的に取り組んでいるようです。長嶋氏 当初は業界に抵抗感がありましたが、近年はホームインスペクションへの理解が広がりつつあり、ストック住宅の購入者にも積極的にこの仕組みを勧める仲介業者も増えてきました。
ストック住宅購入にあたってのポイントの一つに、不動産仲介業者によるホームインスペクションへの意識があげられるということですね。少なくとも「やらない」「知らない」という業者は敬遠した方がよさそうです。
ホームインスペクションの動きに表れているように、ストック住宅を巡っては様々な動きが見られるようになってきました。次回は、ハウスメーカーを中心とした動向に視点を移してみたいと思います。
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