セダンにも優る、あらゆる場面でしなやかな乗り心地
試乗車は最高出力306ps/最大トルク400Nmを発生する直噴3リッターツインスクロールターボエンジンを搭載。8ATが組み合わせられ、アイドリングストップ機構(オート・スタート・ストップ機構)も備わる
実際、そのライドフィールは、一点を除いて、相当にハイレベルであった。特に感心したのは、乗り心地。シャシーの動きが絶妙で、あらゆる路面で極上の走りをみせる。ほとんどセダンレベル、否、場合によってはサスストロークのある分、こっちの方が優っているかも知れない。アシ回りのしなやかな造り込みレベルの高さにかけては、エンジン同様、BMWは今現在、頭ひとつ抜きんでているように思う。
もちろん、エンジンも秀逸だ。タンタンタンタンと小気味良くダイレクト感たっぷりに変速してゆく8ATと相まって、アクセルを踏み、ぶん回すのが楽しい。X5より車体が小さいぶん、SUVでありながらクルマの反応がよく、初代X3よりもコンパクトなクルマに乗っている印象さえある。これは正直、気持ちよかった。
日本での売れセンは当然、この下のグレードとなるはずで、35iは言わばトップグレード級だろうが、それにしてもハイレベルなパフォーマンスである。
気になったのは、X系ではじめて電動化されたパワーステアリングのフィールだけだった。軽いのはいい。けれども、そこからの変化に人工的な味つけがこく、重くなったときの違和感がかなりキツい。結果、重くなるたびに気持ち悪いと感じることになる。
それ以外は、オフロード走行も含めて、ほとんどパーフェクトにこなした新型X3。ワイド&ローのスタイリングといい、秀逸なライドフィールといい、相変わらず胸を空くエンジンフィールといい、間違いなくライバルモデルを全て置き去りにするほどの実力を秘めている。日本上陸が待ち遠しいSUVだ。
オフの状態ではマットブラックで、イグニッションをオンにするとメーター類が表示されるブラックパネルテクノロジーを装備する。後席は40:20:40の分割可倒式を採用、ラゲッジ容量は550~1600リッターとなる