依頼作業のヌケ・モレは与える情報が足りないから
具体的な情報が正確に伝わると、期待される作業が可能になる
会社は仕事をするために人が集まっている場です。普段からの人間関係もある程度できているので、頼み方さえ間違えなければ、依頼は基本的に受けてもらえるはずです。しかし、依頼を受けてもらっても頼んだとおりに作業をしてもらえない……というケースはよくあります。自分が思ったのとは違う形で出来上がってきたり、期日が遅くなったり、過不足があったり。依頼する側が上手に指示しないと不都合はなかなかなくなりません。
例えば、プレゼン資料の印刷を依頼する場合、あなたはどのような情報を相手に伝えるでしょうか。すぐに、期限、印刷部数、体裁(製本するかどうか)などの要素が浮かんでくると思います。しかし、相手が実際に作業する時に必要となる情報を漏れなく網羅するのは思っている以上に難しいもの。自分の頭の中では当然のことを相手に伝える場合、どうしても抜け・漏れが生じやすいのです。
例えば資料の印刷を依頼する場合、白黒印刷なのかカラーなのか、用紙の大きさはA4でいいのか、1枚の用紙にスライドは何枚配置するのか、表紙はどうするのか……etc。依頼される側がスムーズに作業をするためには、思っているよりも多くの情報が必要です。自分では当たり前と思っていることが邪魔をして、伝えるべき情報に気づきにくいという特質があります。何の前提もない人も作業できるのか確認してから指示をするようにしましょう。
説明が終わったら一緒に作業内容の確認を
「指示がわかりづらい時は相手が質問してくるだろう」と考えるのは、黄色信号。指示する側にも思いこみがあるように、指示を受ける側にも思いこみがあります。曖昧な指示をされても、その時にはわかったようなつもりになってしまうので、実際の作業にあたるまで確認すべきところに気づかないというのが一般的です。指示される側からの質問に期待するのであれば、指示する側から理解を確認するための質問をするようにしてみてはどうでしょうか。
例)
「指示の仕方がうまくできていないかも知れないので、手順を復唱してもらってもよろしいですか?」
お互いの理解を確認したいという趣旨を伝えたうえで、丁寧に訊けば、失礼にはなりません。もし、理解の相違に気づけたり、依頼したものと違ったものができあがってきた時は、自分の伝え方を見直すチャンスです。どんな情報が足りなかったのかを記録しておくようにすると、指示の仕方や理解を確認するための質問のセンスが身についていきます。
感覚的なものは具体的な表現にして伝える
依頼や指示をする場合には、誰にでもわかる表現を使うことが大切です。まずは感覚的な表現を具体的な表現に変えることから始めてください。例)
× 多めにコピー
○ 人数分+予備5部をコピー
× 賛成してくれる人が増えたら
○ 賛成が過半数を超えたら
自分の感覚と他の人の感覚は違うということを前提に「たくさん」「朝イチ」といった曖昧な表現は、誰にでもわかる共通言語である数字に変換すると正確に伝えることができます。
例えば期限の指示を「なるべく早く」と伝えてしまった場合、相手によっては今日中と理解するかも知れませんし、今週中と理解するかも知れません。これでは「いつ作業してくれるんだろう」と心配になったり、場合によっては「仕事が遅い」という間違った評価をしてしまうかも知れません。
感覚的なことを具体的に伝えるというのは、気をつけても抜けが多いのですが、今日からぜひ習慣にしてみてください。大事なポイントに関しては補足の一言を付け加えるのもコツです。「昼までにお願い」「終わったら声をかけてもらっていい?」といった一言を付け加えることで、大事なポイントを強調したり、間違ってほしくない部分を確認してもらうことができます。