マンションの資産性を保つ大規模修繕
年月が経っても資産価値を維持するためには?
マンションには専有部分と共用部があり、エントランスホールや集会場といった共用の施設をはじめ、床・壁・天井といった構造躯体、屋根、外構など、マンションの共用部は住民の共有資産となります。長く資産性を維持するために、共用部のメンテナンスは適切な計画(長期大規模修繕計画)を立て、それを実行しなければなりません。
マンションの修繕には大きなものから小さなものまである
大規模修繕に該当する工事には、手すりのペンキ塗り替えや外壁のクリーニング、屋上防水のやり替えなどがあります。雨漏りや構造躯体のひび割れなど大きなダメージが起こる前に施すことが大切です。共用部なので個人で勝手にいじることができません。修理・修繕するには工事期間も工事費用も大がかりとなり、事前の準備や計画が大切になってきます。
主な修繕工事の内容とその時期の目安を【表1】に挙げます。
小さな修繕の例では、日々の清掃やエレベーターの点検、ドア、タイル、器具等の破損といったちょっとした修理・修繕などが入ります。こちらもマンションの品格に大きな影響を与えます。ゴミが散乱しているマンションは防犯体制のゆるさを連想させますし、転売時に下見に来た人にいい印象を与えません。
だれが主体でやるもの?
これら共用部の大規模なメンテナンスから日々の清掃・点検に至るまで、管理会社に丸投げするマンション、住人による管理組合が主体で計画・実行するマンション、いろいろありますが、後者の方がより納得した結果を得られるようです。
長期大規模修繕計画とは
長期修繕計画とは、マンションの共用部等における大規模な修繕について、今後20年程度の間に、どの部分を、いつ頃、どのくらいの費用で修繕すべきか明らかにしたものをいいます。
この長期修繕計画を元に、月々の修繕積立金を決めたり計画修繕を行います。マンションの維持管理をする上でとても重要なもので、管理組合にとっては必要不可欠なものとなっています。
レポート『平成20年マンション総合調査について』(国土交通省)によると、長期修繕計画を作成している管理会社の割合は年を追うごとに増加傾向にあり、昭和62年では65.5%だったのに対し平成20年では89.0%のマンションで長期修繕計画を作成しているとのことです。管理費と修繕積立金
現在、入居者から月々「管理費」と「修繕積立金」を徴収する形態のマンションが多いようです。
管理組合が行う共用部分の維持管理、メンテナンスの内容と費用負担については、各マンションの管理規約の中に定められています。内容はマンション毎に異なるものですが、各マンションで作成する管理規約の見本となるものに、国土交通省が定めた標準管理規約があります。参考にその標準管理規約から引用してみましょう。
それによると、日々の清掃やエレベーターなどの保守点検、共用部の照明の電球の交換など、軽微なメンテナンスは「管理費」から支出し、その他の、外壁塗装、屋上防水、給排水管の交換など大規模修繕費用は「修繕積立金」から支出されることになっています。次のページで管理費・修繕積立金の相場と、それらが安く設定されている場合の問題点を見てみましょう。