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経済のプロが小学校にやってきた!(1)仕事を問う(2ページ目)

金融・経済のプロが小学校にやって来た。10月20日のことだ。学校教育ではなかなか教えることができない「経済・仕事」。これをメインテーマに民間で働く人間が教壇に立つはじめての試みだった。

川崎 さちえ

執筆者:川崎 さちえ

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これから大人になって働くみんなへ 

「働く」ってことは一体何なんだろう。

その疑問を持つ者がいったいどのくらいいるのだろうか。おそらく、その数はそう多くはないと思う。なぜならば、働くのは当然のことだし、それが常識であり、世の中の流れであるということが暗黙の了解になっているからだ。誰も疑わない事実として誰もが受けいれている。

ではなぜ暗黙の了解になったのか。

問いかける人間が、そして教えてくれる人間がいなかったからだ。

だから、私たちはこの問いかけをすることなく大人になって、毎日を生きている。しかし、よく考えてほしい。大人になれば、1日のうちかなりの時間を仕事に費やすことになるのだ。それなのになぜ、何の疑いもなく仕事を探し、それに従事するのか。本当は仕事の意味を知る必要があるのではないだろうか。そして納得のうえで働くのが、本来の姿なのではないだろうか。

小学生と向き合う中野氏。

小学生と向き合う中野氏。

―まずは、「なぜ僕たちは働くのか?」と自分に問いかけてほしい。そのうえで仕事を真剣に考えて欲しい。そして経済のことも。なぜならば、君たちが日本経済を動かし、これからの日本を支えるからだ。―

そういう思いを持って、中野氏は子供たちと向き合うことになった。この背景には、我々の話に耳を貸し、そして考えに共感してくださった校長先生、教頭先生、そして5年生、6年生の担任の先生の理解と協力があったのは言うまでもない。

不安を抱えた講師 

これまで全国各地でセミナーをしている中野氏だが、その対象は一定の理解度を持った大人だ。多少難しい言葉を使っても、それが通用する相手。したがって彼自身も概念を伝えやすいという点はある。しかし今回は違う。11歳、12歳という、彼にとってみれば接点もないし全くわからない年齢だ。

「難しい言葉を使うことはできない。かといって曖昧な表現ではほぼ理解してもらえない。でも、彼らに伝えたい。」

中野氏の中ではすごく大変なテーマであったのは間違いないだろう。だからこそ、授業の直前まで、彼は考えを巡らせていたのだ。彼が緊張していることが見て取れた。

教室まで歩いていく中野氏と彼を待つ子供たち。
「年齢がかけ離れた全く知らない者たちが1つの空間と時間を共有するのか…」
私は心地よい不思議さとわずかな必然性を感じていた。


経済のプロが小学校にやってきた!(2)給料の謎」に続く
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