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在職老齢年金 2017年版、60歳以降働くとき年金は?

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「60歳を過ぎても仕事を続けたいけど、年金で損をしたくない…」60歳以降仕事を続けても年金で損をしていないしくみを検証していきます

厚生労働省の「平成18年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書」によると、「何歳からを老後と考えるか」という質問で最も多い答えが「70歳」、「何歳まで働き続けたいか」という質問では「65歳」が最も多くなっています。「60歳を過ぎても仕事を続けたい」「60歳はまだ現役」と考える人が増え、実際に定年後も仕事を続ける人が多くなっています。今回は、60歳以降仕事を続けた場合に年金がどうなるのか、ご案内していきます。

<INDEX>
60歳以降の年金制度
在職老齢年金のしくみ~65歳未満の場合
在職老齢年金のしくみ~65歳以上の場合
働くと損?仕事を続けた場合の老齢厚生年金

60歳以降の年金制度

公的年金のうち、国民年金は加入対象年齢が20歳以上60歳未満なので、フリーランスや自営業者として60歳以降仕事を続ける場合でも国民年金に加入する必要はありません。60歳までに国民年金の加入期間が40年に満たない場合は、任意で国民年金に加入できます。

厚生年金は加入対象年齢が70歳までなので、60歳以降も仕事を続ける場合は厚生年金に加入しなければなりません。ただし、厚生年金の加入対象となる働き方は、1ヵ月の労働日数と1週間の労働時間がフルタイムで働く人の4分3以上であることが必要です。60歳以降は、「1週間のうち2日間だけ仕事をする」あるいは「1日4時間勤務」などの働き方で仕事をする場合は、厚生年金に加入できません。60歳以降、フルタイムで仕事を続ける場合は厚生年金に加入します。

現在、60歳を過ぎてフルタイムで仕事を続けている人は、老齢厚生年金を受給しながら厚生年金に加入しています。このため、受給している老齢厚生年金は満額ではなく「在職老齢年金」という一部が減額された年金となっている人が多くなっています。年金の支給額が一部減額される在職老齢年金のしくみをみていきましょう。

在職老齢年金のしくみ~65歳未満の場合

在職老齢年金のしくみは65歳未満と65歳以上では異なります。はじめに、65歳未満の在職老齢年金のしくみをみていきましょう。

支給される老齢厚生年金が在職老齢年金の対象になるかを判定するとき、はじめに1ヵ月当たりの老齢厚生年金の支給額(以下、「基本月額」とします)と、給与と1年間に支給された賞与の12分の1の合計額(以下「総報酬月額相当額」とします)を合計します。合計額が28万円以下であれば在職老齢厚生年金の対象外となるので、老齢厚生年金は全額支給されます。基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円と超えると在職老齢厚生年金の対象となり、基本月額・総報酬月額相当額の金額により老齢厚生年金の支給停止額を求める計算式を選択します。
在職老齢年金フローチャート

 

在職老齢年金計算式

 

例えば、基本月額が9万円、総報酬月額相当額が30万円(賞与なし)の場合、計算式(1)により支給停止額を計算するので、支給停止額は以下のようになります。

(9万円+30万円-28万円)×1/2=5万5千円

月額5万5千円が支給停止となるので、老齢厚生年金の支給額は月額3万5千円となります。

なお、60歳以降仕事を続けて、60歳時に比べて給与が少なくなると、雇用保険から高年齢雇用継続基本給付金が支給される場合があります。高年齢雇用継続基本給付金は、60歳時の給与の75%以下で仕事を続ける場合、給与の最大15%が雇用保険から支給されるしくみです。もし、上記の事例で、総報酬月額相当額が60歳時点の給与の61%未満であると仮定すれば、高年齢雇用継続基本給付金が月額4万5千円支給されます。

ただし、老齢厚生年金は在職老齢厚生年金の支給停止額に加えて、さらに給与の6%(=30万円×6%=1万8千円)が支給停止され、老齢厚生年金の支給額は1万7千円になります。
在職老齢年金と高年齢雇用継続基本給付金

 

65歳未満の在職老齢年金は、給与や賞与に加えて雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金との調整が行われるため、計算方法が複雑です。