「家賃はもったいない」はたして本当にそういい切れるのか?
今年9月10日に総務省から公表された「平成20年住宅・土地統計調査(追加集計)」によると、日本の持ち家率は61.1%(2008年)だそうです。過去30年を振り返るとその平均は60.9%になり、わが国では10世帯に6世帯が「持ち家」に住んでいることになります(下グラフ参照)。
参考までに、アメリカ67.3%(2009年)、イギリス73.3%(2008年)、ドイツ55.6%(2008年)、 オーストラリア68.3%(2008年)です。
100年に一度といわれた世界同時不況からはようやく脱出し、マイホーム市場にもかなり明るさが見えてきました。首都圏の新築マンション契約率(不動産経済研究所)は、好調・不調の分かれ目となる70%を9カ月連続で上回っています。消費者マインドも改善し、買い手市場の再現が確実視されようとしています。
しかし、持ち家率が6割ということは、裏を返せば4割の世帯は一生涯、非分譲での住生活を送っている計算になります。「賃貸」か、それとも「分譲」か?―― この分岐点は一体どこにあるのでしょう。不動産大手8社が共同運営するメジャー7が今年3月に発表した調査結果によると、マンションを検討している理由として以下のような項目がTOP10に挙がりました。
<現在、マンションを検討している理由は何ですか?> (重複回答)
1位:もっと広い住まいに住みたいから………………………29.3%
2位:賃貸より持ち家のほうが金銭的に得だと思うから……22.5%
3位:現在は金利が低く、買い時だと思うから………………21.9%
4位:もっと交通の便のいいところに住みたいから…………20.3%
5位:通勤に便利な場所に住みたいから……………………19.0%
6位:資産を持ちたい・資産として有利だと思うから…………18.4%
7位:土地や住宅価格が安くなり、買い時だと思ったから …17.3%
8位:老後の安心のため ……………………………………16.8%
9位:持ち家のほうが住まいの質がいいと思うから…………15.7%
10位:都心に住みたいから …………………………………15.6%
ここで、私ガイドが気になるのが、第2位の「賃貸より持ち家のほうが金銭的に得だと思うから」という理由です。住宅販売のセールストークでは、必ずといっていいほど「家賃はもったいない」という常套(じょうとう)句が出てきます。「家賃は掛け捨て」「いくら払い続けても自分のものにはならない」………。
確かに、言っていることは間違いではありません。だからこそ、実際、6割の世帯はマイホームを取得しているわけです。しかし、本当に持ち家のほうが金銭的に得なのでしょうか。全額現金で一括購入できれば損得を気にする必要はありませんが、住宅ローンを組んで手に入れる場合は注意が必要です。
持ち家が必ずしも得とはいえない理由とは一体、何なのでしょうか?――。
私ガイドが考える持論を、次ページで具体的にご説明します。