ところで、ホウレンソウには「東洋種」と「西洋種」があるのをご存知でしたか? 葉肉が薄く葉に細く深い切れ込みがある東洋種はアクが少なく、おひたしなどに向いています。葉肉が厚く丸みを帯びた形の西洋種は、炒め物などに。最近は、生食できるサラダホウレンソウや、サボイホウレンソウという品種のちぢみホウレンソウなどもありますね。お店では見かけなくなった東洋種のホウレンソウを育ててみたり、間引きしながらサラダで楽しめるサラダホウレンソウにチャレンジしてみたりと、家庭菜園ならではの品種を育ててみてはいかがでしょうか?
ホウレンソウの栽培スケジュール
基本的に種からはじめます。春まきと秋まきがありますが、害虫が少なく、寒くなるごとに味が良くなる秋まきがベストです
植えつけ・準備するもの
ホウレンソウ栽培のポイントは、土づくりです。よい土の畑やプランターさえ用意しておけば、あとは簡単。畑の場合は、土に完熟たい肥・油かす・くん炭を深さ40cmくらいの深さまでたっぷりとすき込んでおきます。プランターの場合は、たい肥を多めにした培養土に、油かすなどのチッソ系の肥料を入れて混ぜておきます。植えつけの際のもう一つのポイントは、種まき前に種を一晩水につけておくことです。「ホウレンソウの種」といわれている粒は、実はブドウの実のような果実の部分で、本当の種はその中に入っているとても小さな粒なのです。この小さな本当の種がドライフルーツのような硬い殻を突き破って芽を出すわけですから、果実部分がかなり水分を含んで柔らかくならないと芽が突き破れないのです。
ホウレンソウの手入れ
ホウレンソウの畑
菠薐(ホウレン)とは、ペルシャのこと
西アジア原産で、ペルシャで栽培されていたホウレンソウ。シルクロードを経て、唐代に中国に伝わり、寒い地域でも栽培可能な東洋系品種が成立しました。日本に伝わったのは、江戸時代初期の17世紀といわれています。一方ヨーロッパへは、北アフリカを通りイベリア半島を経て伝えられました。中でも、イタリアのフィレンツェは、古くからホウレンソウの産地として有名でした。このフィレンツェからホウレンソウをヨーロッパ中に広めたのが、あのカトリーヌ・ド・メディシスです。フランス王朝のアンリ2世に嫁いだ際に、フランスにフィレンツェの様々な文化を伝えたことで有名ですが、彼女が大のホウレンソウ好きであったことから、ホウレンソウ料理も数多く作られました。「フィレンツェ」の英語読みは「フローレンス」。「○○のフローレンス風」というメニュー、日本でも時々目にすることがありますが、この「フローレンス風」がつくお料理には、必ずホウレンソウが入っているのだそうです。