直島のまちでアートを楽しむ
直島が「アートの島」と呼ばれる理由、それは住民の生活のなかにアートが溶け込んでいることにあるんです。直島のさまざまなアートスポットをお知らせします。■家プロジェクト
~生活の場のなかに息づくアート
「家プロジェクト」は、今も多くの人々が暮らす直島の集落において、アーティストが民家などの空間そのものを作品化するプロジェクト。宮島達男や杉本博司など、世界的にも評価の高いアーティストたちが、人々の暮らしの記録を織り込んだ作品を作り出しています。
その一例が、集落の人々が碁を打つために集まった場所を用いて須田悦弘が手がけた「碁会所」。古くからの古民家の軒をくぐり、家に上がると畳の上に置かれた木彫の椿が散らされている作品を見ることができます。こちらは日本画家、速水御舟の『名樹散椿』(山種美術 館所蔵、重要文化財)にインスパイアされたもの。庭には五色椿が植えられています。椿の咲く季節は、室内の椿、庭の椿の対比も楽しめる作品です。
このほか、さまざまな「家プロジェクト」の作品が本村地区にあります。瀬戸内海の路地を散策し、町の雰囲気を楽しみつつアート鑑賞も、美術感鑑賞とは違った面白さがあります。
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住所:香川県香川郡直島町本村地区
TEL:087-892-3223(ベネッセハウス)
開館時間10:00~16:30(「きんざ」以外の家プロジェクト、「きんざ」は要予約)
休館日:月曜(月曜が祝日の場合は開館、翌日休館)
公式サイト
■直島銭湯「I♥湯」
~湯船に浸かってアート観賞 一日中直島を散策しているとけっこう汗をかくもの。そんなときは、現代美術作家、大竹伸朗の手によって、デコレーションされた銭湯「I♥湯(アイラブユ)」へ。外装、内装はもちろんのこと、浴槽、風呂絵、モザイク画など、細部までアーティストの手によって装飾されています。つまり、施設内を全部見るには、入浴をしないわけにはいかない。オリジナルデザインのお風呂道具も揃っているので、手ぶらでの訪問も問題なし。地元の人たちと、のんびりと交流もはかれる銭湯です。 夜も21時まで営業。ゆったりとくつろげるスポットです。
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住所:香川県香川郡直島町2252-2
TEL:087-892-2626
開館時間:13:00~21:00(最終受付20:30)
休館日:月曜(祝日の場合は開館、翌日休館)、年末年始、メンテナンス期間
入場料:650円(直島島民は310円)
公式サイト
■海の駅「なおしま」
~光が降り注ぐSANAA設計のフェリー乗り場 直島の玄関口である宮浦港に2006年に完成したフェリーターミナル。大屋根とガラスの箱で覆われた建物は、金沢21世紀美術館などを手がけたSANAA(妹島和世+西沢立衛)の設計によるもの。フェリーの待合室だけでなく、カフェや観光案内所、イベントスペースもあり、フェリー待ちの時間も楽しく過ごせます。敷地内には草間彌生の『赤かぼちゃ』の作品も置かれ、直島を去る直前までアート三昧です。
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住所:香川県香川郡直島町2249-40
TEL:087-892-2299
開館時間:施設により異なる
休館日:無休
ちなみに、宮浦港や家プロジェクトのある本村と、ベネッセハウスや地中美術館を結ぶ町営バスの発着所(つつじ荘)のそばに、「おやじの海」の記念碑というのがあります。これは直島が「アートの島」になる前の昭和1970年代前半、当時、直島の製錬所にお勤めだった村木賢吉さんによる、直島が舞台の一度聞いたら忘れられないシンプルながらも力強い歌「おやじの海」が大ヒットした記念として1998年に建てられたもの。
音楽好き(特に演歌好きの方)、より深く直島を知りたい方は、ちょっと立ち寄ると面白いと思います。
次のページから、直島からも行けるアートのある島、豊島、犬島を紹介します!