土地活用のノウハウ/土地活用の事例・アイデア

ガレージハウス 車好き・バイク好きを虜にする魅力(2ページ目)

その建物は築40年・テラスハウス・駅から徒歩18分、魅力ある賃貸住宅とは正反対でした。入居者が見つかるのか、途方に暮れそうです。ところが、道路地図を確認すると、近くに二本の高速道路のインターチェンジ、行く手にはライダー聖地のツーリングスポットが点在し、バイク好きには好立地なのでは?この建物は、「ライダー向けガレージハウス」に生まれ変わり、相場より6割も高い賃料で入居者が決まりました。

谷崎 憲一

執筆者:谷崎 憲一

土地活用ガイド

不利な募集条件を覆す「趣味の基地」 

外観

ガレージハウスの外観です

以上、お話ししたように、ガレージハウスは少数の趣味の層を狙ったコンセプト型の住宅です。

車やバイクを趣味としていない人にとってはあまり意味のない設備、不自然な設計であっても、趣味としている人々にとっては、垂涎の的になります。ですので、これを賃貸住宅に取り入れれば、冒頭に紹介した例のように一般物件の賃料相場に縛られない結果を導き出すこともできます。

賃貸住宅として、街の郊外にガレージハウスをつくり、成功しているオーナーからたびたび聞かれる声が、「通常の物件としては、立地条件が不利だった」というものです。冒頭の事例も同様でした。日常の足として車やバイクを積極的に利用する人にとっては、通常有利とされる「駅に近い」という条件が、それほどの重みを持たないことも多いということがわかります。

公共交通の利用に不便な土地の活用、そうした不利な土地にすでに建っているアパート・マンションの空室対策、老朽化物件のリノベーション、それらの方法として、ガレージハウスは有力な選択肢のひとつです。

他の物件との差別化を図るだけに留まらず、付加価値による高賃料を目指すことも可能でしょう。

ただし、大事な注意点があります。それは、
1.やりすぎはダメ
2.使いにくければオシマイ
3.パートナー選びに失敗しないこと
の3点です。

ガレージハウスの大事な三つの注意点 

その1.「やりすぎはダメ」

「あそこのライダー向けガレージハウスにバイク好きが殺到している? だったら私も」と、40戸ものマンションを建てたオーナー。高い空室率が続いており、大失敗したそうです。

理由の1

その地域における「ライダー向けガレージハウス」を求めるニーズは40世帯分もなかったのです。こうした物件を求めるほどのバイク好きが、あくまでマイノリティ=少数派であることを忘れてしまった事例です。

理由の2

「車好き・バイク好き」という趣味は、そもそも他人とは違う個性の主張でもあるのです。そうした気持ちになって考えれば、「好みのそっくりな同類の人々」が40世帯も集められ、収容(?)されている風景というのは、いかがなものでしょうか。個性の主張どころか、感じられるのは埋没感かもしれません。

共同住宅としてのガレージハウスは、1世帯からせいぜい20世帯が限界です。20世帯近く、あるいはそれを超える場合、間口を広げて「デザイナーズマンション」や「ペット共生型賃貸住宅」との融合を考えるなど、複数のコンセプトの導入を検討するのがよいでしょう。

その2.「使いにくければオシマイ」

リビングから愛車が眺められる素敵なガレージハウス……をいくら謳っても、車やバイクを置くスペースとしての使い勝手が悪ければ、意味がありません。

ガレージが狭いため、助手席や運転席のドアが壁に当たり満足に開けない、あるいは、トランクの中の物を出し入れしにくいなど、ガレージとしての基本条件がおろそかになっていると、「ニセモノ」として、見向きもされないことになります。

そのほか、
・ガレージ内が暗い
・手洗い場がない
・工具棚やタイヤ置き場などのスペースがない
・セキュリティーが不十分
など、「ガレージハウスのガレージ」としての付加価値が備わっていない場合も、車好き・バイク好きの心を掴むことはできないでしょう。

また、換気の設計はきわめて大事です。凝ったガレージハウスの場合、ホース式の専用排気ダクトを設置することもありますが、そこまではやらないにしても、排気ガス対策はしっかりと念頭に入れ、ガスがきちんと室外に排出されるようにしなければなりません。これを怠ると人命にかかわる大事故を招くこともあるので要注意です。

万一の場合は、オーナーに賠償責任が発生する可能性もあります。入居者の命を預かる賃貸住宅ですので、絶対におろそかにはできません。

その3.「パートナー選びに失敗しないこと」

車やバイクを置く場所さえあればそれでいい……のではなく、車との生活、バイクとの生活を快適に楽しみたいというのが、ガレージハウスを選ぶ人々のニーズです。

ですから、「ガレージハウス?意味がよく分からないが、要は車庫付きということでしょう」、といった程度の認識の工務店やリフォーム会社に仕事を任せると、思わぬ大失敗につながります。

使いにくいガレージをつくられてしまうおそれがあるほか、前面道路が狭く、車をガレージに入れようとすると何度も切り返ししなければならないなど、そもそもガレージハウスを建てること自体に不向きな条件の土地であっても彼らは気付いてくれないおそれがあります。ガレージハウスに入居する人々の目的、その気持ちを知っている設計者でなければ、パートナーとして頼りにはなりません。

もうひとつ大事なことがあります。それは広告戦略です。

あなたが建てたガレージハウスの情報が、狙ったマーケットにちゃんと届くことが大切なのです。普通の不動産物件情報の中に埋もれていては、ガレージハウスを求めている人にはなかなかそれを見つけてはもらえません。

車・バイクの専門雑誌、
インターネットの専門サイト、
口コミ情報サイト、
バイクショップ、
カーディラー、

広告や情報をどこに露出させれば狙ったマーケットに届くのか、ノウハウを心得ているパートナーを選ぶことが大切です。

結論としては、ガレージハウスの建て方、宣伝の仕方、その両方をよく知っているパートナーをコンサルタントとして選び、建てる人選びから募集戦略までトータルにコーディネートしてもらうのがおすすめです。さらに、完成後の賃貸管理も任せられる相手であれば、なお心強いでしょう。

なぜなら、コンサルティングだけの依頼では、アイデアマンとしての活躍までで終わりにして仕事から手をひいてしまう場合、そこまでの過程で利益を上げなければならないので、どうしてもコンサルティング料が高くなってしまうことが多いのです。

一方、物件の賃貸管理も引き受けるコンサル系の会社であれば、必ずしもそうではありません。彼らはその後のオーナーとの長いお付き合いの中で、月々の額は薄いながらも利益を管理委託料に求めていくことができるのです。そのため、コンサルティング料を安く設定してもらえる場合が多くなります。併せて、「今後自社が責任をもって管理していく物件である」という理由から、よりしっかりした計画を期待することもできるわけです。

そんな頼りになるパートナー選びの方法ですが、まずはインターネットでじっくりと探し、いくつかの候補の中から見定めていくことがおすすめです。車、バイクの専門誌に載っている広告から会社を探してみるのもひとつの手段です。さらに、ミクシィなどのコミュニティサイトで、オーナー、入居者など、経験者の話を聞くのもよいでしょう。

(「ガレージハウス」の名称は、以前の記事「コンセプト型住宅で差をつける、今どきの賃貸成功法」において、「ガレージ・イン」、「ライダース」と別個に紹介したものを今回まとめてお話しするにあたって、新たに採用したものです。)
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