日本食のように、1日のエネルギーの半分以上を炭水化物でとることが健康の秘訣。 |
コメの魅力
日本型食生活のよさは、ごはんを主食として、エネルギーの半分以上をとること。このような食事は、先進国では日本だけなのです。欧米のような先進国で肥満や肥満からくる生活習慣病に悩む国々は、エネルギーの半分近くを肉類からとりがちで、血中のコレステロールや脂肪が増えすぎると動脈硬化を招きやすくなります。
コメは、パンやパスタのように塩分や油で調味せずに、炊くことでごはんとしてそのまま食べられ、淡白な味わいなのでどんな食材とも合い、主食としてふさわしいのです。
ダイエットのために、安易にごはん抜きをしている人もいますが、私は体験者としてもあまり関心しません。それについて詳しいお話は、こちらへ。
おコメ離れで食料自給率も低下中
日本人の大切な主食であるコメの消費量は、現在最盛期1962年の118.3kgの約半分になってしまいました。日本が高度経済成長期以後、経済的に豊かになり、欧米型の食事が定着しお肉や油脂の消費の方が増えたのです。特に 若い人の中には、外食・中食が多く、動物性脂肪や糖分をついつい取りすぎてしまう傾向があります。日本人の食事の欧米化に伴い、日本の食料自給率(カロリーベース)も4割程度に減少しています。
私たち個人の力で食料自給率が変わるはずないと思いがちですが、自給率が約90%以上のコメを食べる回数が増えるほど、自給率も上がるのです。
コメは世界を救う
日本人は、稲作が伝わって定着して以来、何千年にもわたって稲作技術を発展させ、お米を中心とした食文化や、信仰や儀式、お祭りなどを育み、日本文化とお米は、深く関わっています。またお米は、日本の美しい環境をまもるためにも貢献してきました。お米を作る水田は、国土や自然環境を守るなど様々な機能があり、その多面的機能を代替法で計算すると年間8兆2千億円になるというのです。日本学術会議『地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的機能の評価について(答申)』(2001年11月)より
「ごはん食べよう国民運動」サイトによると、毎日、ごはんをもう一杯(茶碗一杯のごはんを精米60gで試算)多く食べるとこれだけの働きが回復するそうです。
・食料自給率が8%上昇します。
・転作された田んぼが、60万ha水田によみがえります。
・貯水(ダム)機能が12億トン(東京ドーム1,000杯分)も高まり、洪水を防止します。
・稲の光合成により地球温暖化原因の一つである二酸化炭素を300万トン(東京ドーム1,520杯分)吸収します。
コメは、私たちの健康を維持するだけでなく、国の食料自給率を支え、また環境保全や飢餓を救うことにも関わる、大切な食べ物なのです。去る2004年「Rice is Life(コメは命)」というテーマで、国連により「国際コメ年」と宣言されました。
現在の地球人口が83億人になる2030年には、現在のコメの生産量の1.4倍が必要になると試算されています。地球環境保全に、また開発途上国の気が解消、コメを活かそうと、FAOを中心に各国でコメ増産の取り組みが進められています。
また欧米などの先進国では健康と美容のためにと、コメの消費が広がり、「SUSHI」も相変わらず人気です。コメを生活文化の礎にしてきた私たち日本人も、改めてコメの力を見直したいものです。
参考
■世界の暮らしと米(ごはんを食べよう国民運動)
■お米ものしりゾーン(米ネット)
■栄養の基本がわかる図解事典(成美堂出版)
■関連リンク
●ごはん抜きの低炭水化物ダイエットに疑問(食と健康)
●米国が目指す健康食は伝統和食(食と健康)
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