2008年4月からはメタボリックシンドロームを重点においた新しい特定健康診断・指導が始まります。すでに、会社や家庭で食事バランスガイドに基づく食生活や、運動などに気をつけて取り組んでおられる方も増えているのではないかと思います。今回は、ウエストラインが気になる方に、食事のバランスだけでなく食べ方、つまり「噛む」ことの大切さをご紹介します。

<CONTENTS>
  • 「噛む」ことはメタボリックシンドローム対策にも役立つ……P.1
  • 咀嚼を促す硬い食べ物とポイント……P.2

    硬い食品を食べるほどウエストラインが細い?

    ウエストライン
    硬い食品を食べることと、ウエストラインは関係があることがわかりました。
    以前にも、「噛む」ことは全身の健康に役立つことや、子どもの早食いの習慣が肥満を招きやすいことを書きましたが、今回は特にメタボリックシンドロームで重要な内臓脂肪型肥満に関わる「食べ方」、つまり「よく噛む」ことの大切さをご紹介します。


    2007年8月、国立健康・栄養研究所の佐々木敏氏(現在、東京大学医学部教授)らの研究チームにより、硬いものを食べる人はウエストが細い傾向にあるという結果が発表されました。
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    対象となったのは、栄養学を学んでいる女子学生454名で、年齢は18 - 22 歳、特に食事指導を受けておらず1日の摂取エネルギーは1,000-3,500kcalでした。
    ~略~
    結果、食品の"硬さ" と BMI に相関関係は見られませんでしたが、ウエスト周囲値との相関関係は明らかになりました。最も硬い食事を摂っている群は最も摂っていない群に比べ、ウエスト周囲値が2-3センチ細いという結果がでました。また硬い食事を摂っている人ほど食事の回数が少なく、エネルギーや脂肪分の摂取が少ない傾向が見られました。また硬い食事を摂っている人の方が、食物繊維とたんぱく質の摂取が多いという傾向も見られました。
    ~略~

    (American Journal of Clinical Nutrition 2007;86:206-13)
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    なお、なぜ硬い食べ物をしている人ほどウエストが細い傾向がみられるのかはまだ不明です。
    詳しくは、"Kellog's Update(ケロッグアップデイト)No.95

    また"Kellog'sUpdate(ケロッグアップデイト)No.93では、大分医科大学坂田利家名誉教授による「咀嚼の有用性―肥満、内臓脂肪やメタボリックシンドロームの予防と改善」の論文が掲載され、ラットの実験ですが、「ヒスタミン神経活動の亢進は食欲を抑制し、同時に遠心性交感神経を介して、抹消の、とくに内臓脂肪分解や体熱産生・放散をともに促進し、体重を減少させる。---略---咀嚼は、この目的に叶った簡易でしかも効果的な作用をもつ」と解説されています。

    こうした研究報告は、例えば女子学生が対象であるなど、それぞれがある条件のもとで調査・実験された結果ですので、万人に有効であるとはいえませんし、あくまで一つの事実です。けれども「よく噛む」ことの大切さを見直すきっかけとして、古くからの言い伝えや躾の一つとして伝えるのではなく、科学的な研究報告を知ると理解しやすいのではないかと思います。

    それから、ウエストをしぼったり体重減少には、食事だけが大切なのではなく、運動なども有効であることは言うまでもありませんので、念のため。


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