夫婦関係/セックスレスの対処法

出産後のセックスレス、原因は性欲減退?夫婦でセックスレス回避の対策

もっともセックスレスになりやすい時期のひとつが「出産後」という結果になるのはなぜでしょう? 妻の気持ちも夫の気持ちも「性」から遠のきます。出産後セックスレスになる原因を女性の体の変化をふまえて、夫婦でできる対策を考えましょう。

三松 真由美

執筆者:三松 真由美

夫婦関係ガイド

産後、セックスレスの危険は増大していきます

産後、セックスレスの危険は増大していきます

日本のセックスレス事情については、結婚生活の中で、もっともセックスレスになりやすい時期の一つが「産後」であることはよく知られています。新しい家族が増え、妻も夫もまた新たな気持ちでスタートを切る、晴れがましい産後。そんな喜びにあふれる時期に、なぜセックスレスになってしまうのでしょうか?
<目次>

出産後がセックスレスになりやすい原因はどこにある?

その理由は女性側、男性側双方にありますし、また心理面、肉体面、生活環境面の3つの側面に分けて考えることができます。まずは女性の肉体面から迫ってみましょう。

出産後セックスレスになる原因1. 性欲減退?妻の体は母モード全開

女性の身体とは不思議なもので、出産が終わると自然にホルモンバランスが変わります。妊娠中は卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)はどんどん増え、分娩前が最大になっています。この二つは、排卵など女性機能に最も重要な働きをするので一般的に「女性ホルモン」といわれているものです。この妊娠中に最大限に高まった女性ホルモンは出産と同時にがたっと減ります。

急激なホルモン量の変化が、産後うつやマタニティブルーの原因になるというのは、耳にしたことがある方も多いかもしれません。出産後、今度は女性の体には「プロラクチン」というホルモンが多く分泌されるようになります。別名「授乳ホルモン」と呼ばれるもので、卵巣機能を抑制します。

母乳をあげている間は生理になりにくいといわれていますよね(もちろん、生理の再開時期には個人差があります)。このプロラクチンは母性本能を促す作用があり、新生児の育児という困難なストレスの多い生活を母親が耐えることができるのは、このホルモンのおかげだともいわれています。

簡単にまとめると産後の女性の体の中は、女性ホルモンが激減した状態、なおかつ母性ホルモンがどんどん出ている状態なのです。「出産後、ぜんぜん性欲が湧きません」という女性が少なくないのは、育児ストレスなど精神的な原因のほかに、体内のホルモンの切り替わりという肉体的な理由もあるのです。これがまず、産後セックスレスをもたらす女性の肉体面の原因の一つです。

出産後セックスレスになる原因2. 肉体的疲労でセックスより睡眠

赤ちゃんのお世話は24時間途切れることがありません。特に新生児の場合は朝までなかなかまとまって寝てくれず、小刻みに授乳やおむつ替えなどの作業が必要な場合もあり、産後に多くの女性は睡眠不足の状態に陥ります。その他にも慣れない育児で体はくたくた、少しでも時間が取れれば、休息・睡眠にあてたいと思っているのが本音でしょう。

前述したように、女性ホルモンも少ない状態ではそんなに性欲もわきません。「セックスより睡眠が大事」と思うのも無理もないのです。夫から誘われても「疲れているから眠りたい」「セックスより体を休めたい」と拒否。それが繰り返されることで、夫もだんだん妻を誘いにくくなりそのままセックスレスへ……。妻の肉体的疲労感がセックスレスの原因の二つ目です。

出産後セックスレスになる原因3.女性の身体の変化

出産の際、分娩方法によっては会陰の切開や断裂などが起きることもあります。もちろんその傷跡はきちんと縫い合わされているのですが、時間がたっても痛みがあったり、また「痛くなるのでは?」という恐怖感を覚える方もいらっしゃいます。

痛くはないけれど、ひきつれたり、違和感がある場合も少なくないです。出産後の女性器の状態も、セックスに対して女性がネガティブになる原因の一つです。さらに夫から「ゆるくなった」など、心ない言葉をかけられ、傷つく場合もあります。

母乳育児の方は、ちょっと乳首を刺激すると母乳が勢いよく出て、それが困るという悩みをお持ちの方もいるかもしれません。それが気になってセックスをしたくないと女性が感じたり、あるいは男性の方が「母乳が出てくると、萎える」と性欲がダウンしてしまう場合もあるようです。これら女性の体の外的変化もセックスレスの原因となるのです。

出産後のセックスレス回避! 女性の体の変化をふまえた夫婦の対策は?

ホルモンや肉体面での女性の体の変化は、「あたりまえのこと」とまずは割り切り、その対応策を夫婦で考えてゆきましょう。女性器に痛みがあるようなら、無理をせず、ゆっくりと時間をかけたセックスをすることが必要です。潤滑ローションも積極的に取り入れるとよいでしょう。性欲がわかない、というならばまずはキスやスキンシップをじっくりおこない、最初は挿入にこだわらないことも大切。

「母乳が出て困る」という場合は前もってタオルを用意しておき、母乳が出始めたらしばらく胸を押さえておくのがコツです。最初は勢いよく出る母乳も、少し経つと止まり、そのあとは普通に刺激をしても出てきません。そして妻が疲れている時は無理強いをせず、まずは抱きしめて癒してあげましょう。いたわりをもって、無理をせず、ゆっくり……。旦那様がたは、寝室だけでなく、日常でも妻へのねぎらいの言葉をおねがいします。

これが産後セックスレスという悩みを解消する、夫婦のセクシャルコミュニケーションの基本です。

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