飼い主のいない猫が増える理由
では、猫はどのようにして増えてしまうのでしょうか。1.猫は繁殖能力が高い動物
猫は交尾排卵といって、交配したときに受ける刺激によって排卵しますので、非常に受胎率が高く年に4回出産できる母猫もいます。仮に1回の出産で3頭生まれ、全てが成長したら1年後には親を含めて14頭。その14頭がそれぞれの伴侶を見つけて、また年4回お産をしたら! ネズミ算以上に怖い猫算です。
2.安易に捨てる人がいる
可愛いからと子猫を飼い始め、大きくなったら可愛くなくなった、飽きちゃった、引っ越しするので連れて行けない、子供(人間の)が生まれるから生きものは手放さなきゃ、避妊・去勢手術をしないで外出自由にしていたために子猫を出産、でもこれ以上は飼えない……。猫が「いのち」のある生きものだということを考えずに、使い捨てのぬいぐるみのような感覚で気軽に手放す人が実に多いです。
3.猫にとって棲みやすい環境
都市部の家々は密集して立ち並んでいるところが多いので、猫にとっては非常に棲みやすい場所といえます。細い路地があって軒先が連なっていて、猫にとって下町的な環境は安全な隠れ家だらけです。大きな地所や古い家屋が残る市街地もまた猫にとっては棲みやすい環境です。
4.良質で栄養価の高いエサの普及
昨今の良質な猫専用フードを与えられた猫は栄養状態が良くなり、生まれた子猫の生存率が高くなっています。昔は、飼い主のいない猫が生んだ子猫で1年以上生存できたのは1胎で1~2頭程度でした。
5.飲食店のまわりなどには、ネズミやゴミが豊富
都市部や人口が多い場所では、猫のエサになるものがたくさんあります。ゴミをあさったり、飲食店街には猫のエサとなるネズミがいます。
6.エサをやる人がいる
都会の猫は食料の大半を人からもらうエサで生き延びています。可愛い、可哀相、ひもじいだろうと、エサを与える人がたくさん存在します。猫はエサをもらえた場所を1回で覚えます。また猫は単独行動の動物といわれていますが、エサ場に仲の良い他の猫を連れてくることがあります。親子兄弟だけでなく血縁関係にない猫でも、相性が良ければエサ場に招待するので、豊富なエサ場があれば猫がたくさん集まってしまいます。
もし猫にエサをやる人がいなくなったら、少し猫の数が減るかも知れません。しかし、棲みにくい環境になればなったで、今度は猫の本能が「たくさん子孫を残せ」と指令を出すらしく、若くして妊娠したり、出産回数が増える傾向が高くなるようです。
7.飼い猫か、野良猫かの区別がつかない
飼い主のいない猫だと思っていても、もしかしたらそれはご近所の誰かの飼い猫かも知れません。首輪などをしていれば飼い猫かも知れないとわかりますが、目印がなければその区別がつきません。猫トラブルの多い地域では、不妊・去勢手術などをせずに無責任な飼い方をしている人の存在が原因となっていることがあります。