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つくば、都心にぐっと近づいた、科学と自然の街

2005年8月のつくばエクスプレス開業でこれまで以上に注目を集めているたつくばは茨城県内の住んでみたい街ナンバー1。「つくばスタイル」とも呼ばれる、都市と郊外がクロスする暮らしを見ていきましょう。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

歩車分離が徹底した街は安全で
美しい並木も魅力


今回取り上げているエリアの位置関係概念図

つくば市中心とその他エリア
今回ご紹介しているエリア。概念図なので距離等の詳細は実際とは異なっています


筑波大学構内
ひとつの街ほどの広さがある筑波大学。構内はバスや自転車利用で移動する人が多い
40余年前から街づくりがスタート、1985年に開かれた科学万博を機に有名になった筑波研究学園都市。この街は、その名にふさわしく、筑波大学を始めとする大学、各種研究機関が点在。欧米の大学都市を思わせる雰囲気が独特な街です。学生が多く、研究者の移動も頻繁なことから、市の平均年齢は全国平均よりも4.5歳も若く、若々しい雰囲気も特徴のひとつです。ちなみに、専門的・技術的職業従事者比率が日本で一番高い都市(東洋経済別冊「都市データパック」全国都市ランキング白書)でもあるそうです。


ショッピングセンタークレオ周辺
つくば駅近くにある大型商業施設クレオの歩行者専用道路。車道と平面で交わることはない
市の中心部は学園西大通り、学園東大通り、北大通り、南大通りに囲まれたエリアで、この周辺には筑波合同庁舎、郵便局、警察署や図書館やホール、オフィス、大型商業施設などが集中しています。とはいっても、計画的に作られた都市だけに、中心部といえども、ごちゃごちゃ感とは無縁。道幅は広く、歩行者用にはペディストリアンデッキが用意されており、オフィスビルやマンションの隣には広い公園も。子どもをつれたお母さんが車を気にせず安全に歩き回れる街になっています。


洞峰公園
池や体育館、野球場などを備えた洞峰公園は家族連れなどに人気。公園周囲にはしゃれた店も
歴史を経てきただけに、街を歩いて感じるのは、季節ごとに彩りを変え、自然を身近に感じさせてくれる並木、公園の木々の美しさ。広々とした街の雰囲気はこの並木で作られているのかもしれません。


国際的な雰囲気
つくばには世界各国から学生、研究者が集まる
もうひとつ、街を歩いていて気がつくのは、世界各地からの研究者、学生が多く、国際的な雰囲気があること。実際、中心部にある、つくばインフォメーションセンターの掲示板にはイベントやお稽古事などの告知がさまざまな言語で張られているほど。これは郊外の他の都市ではなかなか見られない点でしょう。


隠れ家レストラン
住宅街などにひょっこり、こんな趣のあるレストランやパン屋さんなどが点在。こちらは研究学園駅前のパン屋さん
世界から人が集まる影響もあるのでしょうか、おいしいレストランが多いのもつくばの魅力。周辺には蕎麦の産地金砂郷あり、有機栽培のメッカ八郷あり、常陸牛ありなど、おいしい素材に恵まれているのも、ポイントかもしれません。


チャレンジ精神、
進取の気風に満ちた土地柄も魅力



つくば駅
長らく高速バスや常磐道経由と不便な場所だったつくば。右手に見えるロケットは科学万博時の展示物
40余年の歴史があるとはいえ、何もないところから作られてきた街だけに、変なしがらみや慣習がなく、街づくりのために一人一人が取り組もう、新しい人を喜んで受け入れようという気風があるのも、これからこの地に住む人にはうれしい点ではないかと思います。


JAつくば市の農園
この地に住めば、自分の手で毎日食べる野菜を栽培、も夢ではない
たとえば、農業といえば、保守的な産業のように思うかもしれませんが、この地域では新しい作物の栽培などに積極的な農家が多く、早い時期からブルーベリーの栽培に取り組み、今では名産品のひとつに。貸し農園をやっているJAは多いものの、ここではシャワールームのあるクラブハウスを設けたり、各種イベントを開催、さらに無農薬、減農薬で畑作りをするなど、使いやすく、健康や環境にも配慮した取り組みを行っています。


つくばの旬パン
毎月発表される旬パン。曜日によってはつくば駅構内でも販売されている
また、2005年のつくばエクスプレス開業に当たっては街起こし、街を知ってもらうためのプロジェクトもスタートしています。つくば市、商工会や市内のパン屋さん、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構などが一緒になってはじめたのが「つくばパンの街プロジェクト」。季節の野菜や果物を使った旬パンを毎月発売、パンコンテストなども実施しています。旬パンは早い時間に売り切れてしまう店もあり、人気のようです。


国土地理院
市内を走っていると、あちこちで研究機関の建物などを見る。こちらは国土地理院
そのほか、財団法人茨城県科学技術振興財団が始めたつくばサイエンスツアーオフィスは、市内に点在する研究機関を回るツアーバスなどを運行、遊びながら科学と親しめる街つくばをPR。そのほかにも、自然保護や子育てをバックアップするNPOや市民活動、ボランティア活動が盛んに行われています。子育て世代にはコンピュータを利用したIT化が教育現場でも先端を行っている点なども魅力でしょう。


つくばエクスプレス開通で
住宅地としてのつくばに注目が



つくば駅
スピードだけではなく、踏切などのない安全性、静かで快適な乗り心地、無線LAN利用可能な車内など、新しいだけに最新の工夫がされているつくばエクスプレス
都心から約55km、つくばは藤沢や高尾、入間、久喜などと同じ距離圏にありますが、都心からの所要時間は2005年8月開通のつくばエクスプレス利用で最速45分。これまで高速バス利用で、1時間以上、上りの場合には2時間近くかかっていたことを考えると、大幅に短縮されました。また、同じ距離圏にある他の街と比べても、つくばエクスプレスの速さはダントツ。たとえば、東京駅~高尾駅間は中央線特別快速利用で約1時間かかるのです。


この足回りの急激な変化に、つくばエクスプレス沿線でマンション供給が激化、価格も上昇しています。当然、その流れはつくばにも及んでおり、市内中心部はもちろん、つくばエクスプレス研究学園駅、みどりの駅周辺、また、駅から離れた場所でも住宅供給が予定されています。

実際にどんな変化が起きているのか、計画があるのかを次ページで見ていきましょう。
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