大宮、東西で表情が異なる、埼玉経済の中心地(2ページ目)

駅近、大規模、全戸駐車場付き物件は希少、
新築マンションでは価格差が増大中

大宮周辺の住宅事情概念図

ソニックシティの周辺にはこうした密集地域も多く残されている

住宅を考える上で、東西の違いより前に知っておいていただきたいのは、大宮駅から徒歩15分以内の物件は非常に少ないということ。古くから開発されてきただけに、すでに建物が建ってしまっているのです。ただ、最近では西口の住宅密集地を取り壊してマンション建設を促進する動きも出ていますから、今後は多少、駅に近い物件が供給されるようになる可能性があります。

大宮区内の駅なら乗り換えても数分程度

また、大宮駅からは距離があったとしても、この地域の場合、他の駅が利用できる立地も少なくありません。具体的には東武野田線の北大宮や大宮公園、埼玉新都市交通伊奈線・ニューシャトルの大成といったあたり。両沿線とも、大宮公園に近い、静かな場所なので、環境重視派には逆に魅力かもしれません。

隣接するさいたま新都心でも、供給は駅から遠い場所に移行している

もうひとつ、大宮周辺のマンションの特徴としては、お隣のさいたま新都心ほど大規模な物件が多くないという点。200戸程度までの物件はありますが、共有施設などでスケールメリットが感じられる、300戸超の物件はほとんどないと思ってください。それに伴い、全戸分駐車場付きという物件も少なくなっています。

歴史のある場所のほうがステイタスが高いとされるのは、全国共通の傾向だ

さて、実際の物件ですが、これまでは東口側にある物件はグレード感を売りにすることが多く、坪（3.3m²）単価も高めに設定されるケースが多かったとか。ところが、最近では地域以上に物件ごとのばらつきが高くなっているといいます。

たとえば、2007年5月時点で売り出されている物件で坪単価を見てみると、距離にも寄りますが、190万円弱から200万円超までかなり差が出始めており、70m²の3LDKに換算すると4000万円弱から4400万円程度。駅に近い物件では5000万円超という例もあり、シビアに比べて選ぶ必要が出ているといえます。

中古物件でもそれほど駅に近い物件は少なく、また、70m²前後の広さも少ないため、あまり探しやすいとはいえません。

手ごろな一戸建ては見沼区、西区で
賃貸物件は単身者、カップル向きともに6万円～

西口バスターミナル。一箇所にまとまって整備されているので利用しやすい

一戸建てになると、マンションよりもさらに遠くなります。大宮駅周辺はさいたま市大宮区になるのですが、それより遠く、見沼区や西区などが中心になってくるのです。大宮区内、歩いて十数分前後までは、かなり高めで、100m²の土地に建つ新築4LDKで6000万円～。土地が広くなれば、7000万円、8000万円も。

当然、大宮区以遠は手ごろな物件も増え、大宮駅からバス利用の西区内などでは、土地面積100m²の4LDKが3000万円以内ということも。供給の量でいえば、大宮駅からは少し離れますが、川越線日進や指扇など、西区内が豊富で探しやすくなっています。

賃貸ではマンションが中心で、ワンルーム、2DKともに6万円台～と手ごろ。ただし、こちらも駅から10分以内は少ないので、徒歩15分以上、あるいはバス便を探すほうが現実的でしょう。

ターミナルの印象が強い大宮だが、少し足を伸ばせば、ゆったりした自然が楽しめる。現地を訪れたら、ぜひ、周囲も歩いてみていただきたいものだ

さて、駅から遠い物件が多いとはいえ、根強い人気の大宮。駅周辺で何でもそろう便利さと、大宮公園に代表される環境の良さ、2つの条件を兼ね備えている点がその要因なのでしょう。

【シリーズバックナンバー】
「環境と利便性、バランスの良い街『北浦和』」