住みたい街 首都圏/住みたい街の見つけ方

古い?風情がある?下町って住みやすい?(3ページ目)

江戸時代から開発されてきた古い街で、風情も人情も残る、それが下町とされるエリアです。では実際に住むとしたらどんなところが魅力なのか。散歩ガイドの増田剛己さんと歩きながら考えました。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

深川では縁日、お祭りが日常
首都圏の変化にも変わらない風景がある

深川不動尊
ちょうど七五三の時期で子どもを連れた家族の姿も
清澄通り沿い、焼き豚で有名な「肉のたかさご」に心を残しつつ、相生橋を渡って越中島を抜け、門前仲町へ。本日28日は深川不動の縁日のため、清澄通りから永代通りに右折するともう屋台が出て賑わっています。また、お不動さんの隣には江戸三大祭のひとつ「深川八幡祭り」で有名な富岡八幡宮もあり、こちらの縁日は毎月1日、15日、28日。1日以外の日にはフリーマーケットも開かれており、骨董市も月に2回。もちろん、年末恒例の酉の市も開かれます。

富岡八幡宮
こちらは富岡八幡宮のフリーマーケット。古着から骨董品まがい、食べ物まで雑多な品が並び、若い人も多い
縁日やお祭りとは無縁の東京近郊、新興の住宅街で生まれ育ったせいか、下町に来ると羨ましいのがこうした寺社やイベント。首都圏では街の風景は刻々変化し、生まれ育った街には今、懐かしさを感じる場所はほぼ残されていません。しかし、寺社や縁日がある街であれば、少なくともそこだけは変わらず帰る人を迎えてくれるような気がします。どこに住むにせよ、そこがふるさとと思える場所を選ぶつもりであれば、ずっと変わらない風景がある場所がいい、そんな気もします。

辰己新道
細い路地に飲み屋さんが並ぶ辰己新道。2階は住居となっている店舗が多いらしく、洗濯物が翻り、いたって庶民的な雰囲気
3代将軍徳川家光の時代から富岡八幡宮の門前町として発達した深川には江戸時代の花街の風情も残されています。江戸の辰己の方角にあることから、深川の芸者衆は辰己芸者と呼ばれ、粋で気風の良さが売りだったのだとか。桜の名所でもある大横川近くの飲食店街の粋な雰囲気はその名残。旦那衆が好んだのでしょうね、おいしい寿司屋さん、鰻屋さんなどが並んでいます。また、お不動さん裏手の辰己新道にも往時の猥雑さが残されています。

親切、それともお節介?
人情は解釈次第

縁日の屋台
深川で長年屋台をやっている友人に聞くと毎月やってくるお客さん、顔なじみも多く、買い物と同時に会話を楽しむのが屋台での買い物という
下町で楽しいもののひとつに会話があります。スーパー主流の街ではないので、買い物をするにしても屋台や店では何かしらの会話が必要ですし、道を聞いてもたいてい親切に教えてもらえます。縁日では品物の自慢をしながら売っている人をよく見かけますし、立ち話をしている人の姿もあちこち。都心の「誰もが他人」という冷たさとはかなり違う雰囲気なのです。ただし、こうした雰囲気は好き嫌いが別れるところ。良く言えば庶民的、親切ですが、悪く言えばお節介とも言えるわけで、誰にもお勧めとは言えません。難しいところです。

ヤマネ肉店
1930年創業、谷中にあるコロッケで有名な肉屋さん。下町にはこんな店がたくさんある
ただ、お店や縁日の屋台でよく聞く、自分の売っている品、腕を誇りに思う気持ち、言葉は今の時代、大事でしょう。下町は元々職人さんが多いエリアで、正直なモノ作りの伝統は脈々と受け継がれています。そのため、下町には地道に豆腐を作り続けて数十年、あるいは創業以来ずっと同じ製法で商品を作り続けてきた会社などがたくさんあります。こうした偽装や混入などという言葉から縁遠い人たちが営業を続けている街は、安全な食が実現しやすい街でもあり、毎日の暮らしを大事にする人にはお勧めといえるでしょう。

最後は吾妻橋から向島へ。下町のおいしさを総括します。

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます