海の近くに住んでみて
◎なこと、×なこと
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海辺の市場には都心の店に出ないような品も。岩場ではながらみなどの貝も採れる |
当然ながら、海が近くにあるのが最大のメリット。「朝起きて波を見て、すぐ乗りに行ける」のはもちろん、花火大会が楽しめる、バーベキューができる、釣りや潮干狩りができる、犬が大喜びする……と、楽しみ方はいろいろ。最近では流木などの漂流物を楽しむビーチコーミングも一般的になりました。ただし、遊泳禁止、花火禁止という海岸もあるので、どこでもなんでも楽しめるというワケではありません。
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海辺には取れたての地魚を名物にする店も多く、町おこしに利用する自治体も増えてきている |
魚が新鮮でおいしい点も◎なポイント。神奈川であれば、相模湾で上がった魚が市場に並びますし、千葉にも魚市場、漁協の直売所などがあり、ぴちぴちの魚が安く手に入ります。当然、おいしい地魚料理の店や寿司屋さんなども多く、グルメも大満足。都心から離れる分、農地も多いエリアですから、魚同様地元の野菜も新鮮でお手頃です。
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世界遺産登録を目指す鎌倉市では歴史ある建物の保存などにも力を入れ、美しい景観を大事にしようという気運がある |
海の近くには自然が好き、大事にしたいという人が多いという声も。環境や景観、歴史に関心がある人が多ければ、街は安全、快適に保たれるわけです。また「海やスポーツを媒介に友達を作りやすい」環境でもあるようです。
逆に×なこととしては、潮風の害が挙げられます。自転車や屋外にある給湯器、手摺りなどはすぐ錆びると言いますし、洗濯物もべたつく感じになる場合が。また、湿度が高いせいか、窓ガラスが汚れやすい、換気に注意しないと室内、建物にカビや苔などが生えやすいという声もあります。遮るものがない立地の場合は風にも要注意。「直接強風が吹きつけ、時には家が壊れるのではないかと思うほど。音にも驚かされます」ということもあり、それに伴って開けておいたドアが急に閉まって子どもが指を挟むなどの被害もあると聞きました。
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人が集まる地では海に限らず、弊害があるもの。それだけ人気のある地というわけだが…… |
もうひとつ、特に湘南エリアでは人が集まる弊害もあります。具体的には道路が渋滞する、ゴミが増える、夜まで騒ぐ人などがいてうるさいなど。良いところがあれば、悪いところもあるわけです。
首都圏で海の近くといえば、
狙い目は神奈川、千葉
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三浦半島の周辺には良い漁場もあり、釣り好きにはたまらない土地だ |
では、首都圏で海の近くに住みたいと思ったら、どこか。まず挙げられるのが神奈川。三浦半島は回りがぐるっと海ですから、京浜急行線沿線、横須賀線や東海道線沿線なら海の近くということになります。ただし、このエリアでは海のすぐ近くまで山が迫っているので、意外に海に近い平地が少なく、人気もあるため、土地や物件が出るとすぐに売れてしまうのが現実です。海の見える大きな土地が存在しないため、マンションはすでにあるもの以外はほぼ不可能です。しかし、海と山の両方が楽しめる土地柄はなんとも魅力。歴史のある街が多いだけに、独自の文化もあります。
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自然の豊富さ、土地価格の安さでは外房はお勧めなのだ |
東京湾を挟んで反対側、千葉県になると、東京湾沿いはいまひとつ、ワイルドな印象のない海岸が大半。海浜公園になっている場所が多く、管理されていて安全ではありますが、大自然という印象はやや薄い感じです。物件はマンションが大半ですが、海が見えるほどの近くにある物件は希少。すぐに遊びに行ける距離に海がある程度の暮らしが現実です。。
ただし、外房まで足を伸ばすと、都心からは距離があり、毎日通勤しようと思う人にはやや不向き。安くなった東京湾アクアラインを使うという手もありますが、毎日となると微妙です。その代わり、他の海近くの街に比べると土地が安いので、庭のある大きな一戸建ても夢ではありません。
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お台場では釣り、遊泳はできないものの、ウィンドサーフィンやビーチバレーなどのスポーツが楽しめる |
もうひとつ、東京にも海はありますが、多少海と戯れられるのはお台場程度で、楽しみ方としては眺める、陸釣りをするといった程度。もちろん、東京湾岸の眺めは高速道路などもあり、変化に満ちていますから、十分楽しいものですが、やはり人工的。本気で海のある暮らしを手に入れたいなら、それ以外のところを狙うほうが賢明です。