節税しながら修繕費を積み立てることができます |
突然ですが質問です。
節税しながら修繕費を積み立てる方法があるとしたら知りたくないですか。
「えっ、そんな方法があるの?修繕費を積み立てても経費としては認められないって聞いたけど。」
はい、おっしゃるとおり修繕費を単に積み立てるだけでは経費にはなりません。なぜなら修繕費の積み立ては実際に支出したお金ではないからです。
「だったらどうしたらいいの?」
はいはい、そう急かさないで。
節税しながら修繕費を積み立てる方法とはズバリ、生命保険の解約金を修繕費に回す、という方法です。
今回は生命保険を活用した修繕費の積み立て方法について解説いたしましょう。
修繕積み立てに活用できる保険の種類とは?
生命保険にはさまざまなものがありますが、修繕積み立てに活用できる保険は、
1.解約時にある程度の解約金が返ってくる
2.保険料が全額必要経費として認められる
タイプのものです。
「でも、保険料って確か年間5万円までしか生命保険料控除を受けられないんじゃないの?」
おっしゃる通り。
実は生命保険を使った修繕費の積み立てで大きなメリットを受けられるのは、法人形態で建物を所有されている場合に限られてしまうのです。
そこで、個人でアパートを所有されている場合には、法人を設立し、アパートを法人名義にしてしまう、などの方法が必要になります。
解約金の返金率
生命保険を解約すると一定の解約金を受け取ることができますが、解約金をどれぐらい受け取れるかは、保険の種類によってまったく異なってきます。
中には数年間保険料を支払っただけで、9割を超える解約金が約束されるものもあります。
これは、「逓増型定期保険(ていぞうていきほけん)」と言われているもので、保険金額がその名前の通り、年数に応じて増額していく保険です。
今回修繕費積み立てに活用できるのは、この「逓増型定期保険(ていぞうていきほけん)」です。
保険料が全額経費に計上できる?
修繕費積み立てに活用できる保険の条件として、もう一つ、「保険料が全額経費に計上できるもの」というものがあります。
一般的に解約返金率が高いタイプの保険料は経費として認められないものがほとんどです。
でも、中には保険料全額が経費として認められるものが存在します。
5年間で100万円もお得?
それでは具体例で考えてみましょう。
修繕費積み立てのために5年後に解約金が掛け金の90%戻ってくる保険に加入するとします。そして、修繕を行なうために5年後に加入した保険を全額解約することを考えます。
仮に不動産所得が、毎年500万円あったとして、法人税率等を30%とすると、保険料100万円は全額経費となりますので、毎年の法人税額は、
(500万円―100万円)×30%=120万円
となります。不動産所得500万円から毎年の保険料100万円と法人税等120万円をさしひくと、毎年手元に残る金額は280万円になります。
これを一覧にしてみると、
となります。
一方、毎年の保険料が100万円とすると、5年後の解約金は、
100万円×5年×90%=450万円
となりますので、5年後に手元に残るキャッシュは、
280万円 × 5年 + 450万円 = 1,850万円
となります。
一方、生命保険を利用していない場合の5年後の手元に残るキャッシュを一覧にまとめると、
となり、5年後に手元に残るキャッシュは、
350万円×5=1,750万円
となります。
生命保険を活用するかしないかで100万円も差がでてしまうのです。
修繕計画にあわせて保険に加入する!
ただし、注意点が2つあります。
一つは、解約金は利益になりますので、その年に同額の経費を支出しないと税金がかかってしまう、ということです。
これはつまり、修繕計画にあわせて保険に加入することが必要になる、ということを意味します。
もう一つは、解約の時期によっては解約金の返戻率が低くなってしまう場合がある、ということです。どうせなら、できるだけ解約金が多くもらえるときに解約した方がお得です。
そのためにも、まずは、修繕計画を立てて、いつごろどのような修繕をするのかを決定しましょう。そうすれば何年後にいくらの修繕費が必要になるかが見えてきます。あとは、生命保険会社に、修繕計画に見合った保険を提案してくれるように依頼するだけです。
生命保険を使ってうまく修繕費の積み立てを行いましょう!