アパ・マンの美観が内見者に与える影響
たかが掃除、されど掃除
アパートの外観やエントランスはその建物の第一印象が決まってしまう重要な部分です。その部分の美観を保つことは、満室経営の基本中の基本でしょう。
「あっやばいかも?」 そう思ったあなたは要注意です。
今回は、掃除を徹底させ、同時に入居者へも美観をアピールできる方法をお教えしますので是非、掃除の仕方を見直してみてください。
まぁ、聞けば「あぁなんだ~」と思われることかもしれません。しかし、簡単なことができていない人って意外に多いものです。「掃除は完璧!」って言い切れる人も、新たな気付きがあるかもしれませんので、最後までお付き合いいただけばと思います。
美意識は人によって違う
当社が管理している物件の清掃は、清掃業者やシルバー人材センターに委託をしています。外部に委託をしてはいますが、実は、私自身も初心を忘れないように毎週一回、自社所有アパートの掃除をしているのです。自分で掃除をやり始めた頃、感じたことがあります。それは、清掃業者が掃除をしているにもかかわらず、美観のクオリティーが毎回違うということです。
今までは、自社物件の定期清掃はシルバー人材センターに委託し、週二回、ゴミ置場の掃除と共用部の掃除をお願いしていました。仕事は「掃除して綺麗にする」という分かりやすいものなので、最初は細かい指示は一切していませんでした。すると次のようなことが、次第に目に付くようになってきてしまったのです。
例えば、掃除はしたけど、掲示板の紙がビリビリに破れていたり、期限の過ぎた昔のお知らせが貼ってあったり……。床は綺麗だけれども、玄関ドアは汚かったり、電球が切れていたり、エントランスのゴミ箱の中身をついうっかり捨て忘れていたり……。エントランスは綺麗になったけれども、拭き掃除が甘くて床がビチャビチャに濡れたまんま清掃員が帰ってしまった、なんてこともありました。
「掃除をして綺麗にする」という目的は一緒でも、「綺麗になった」という感覚は人それぞれ違うものなんですね。
一所懸命やってはくれているけれども、何をどういう状態にしなければいけないか、そのチェック項目を設けておかないと、掃除をする人によって「仕上がり」にバラツキがでてしまうのは当然といえば当然です。人それぞれ綺麗になったという「基準」が違うわけですから。
チェックリストを活用しクオリティーの統一を図る
そこで、私が取り入れた方法が「チェックリストの活用」です。次のような項目を盛り込んだ細かいチェックリストを作成して、清掃員にひとつひとつチェックしてもらうようにしたのです。「掲示板」・・・・・汚れ、掲示物の破れ・傾きのチェック
「ポスト」・・・・・表示がはがれていないか・開閉時のゆがみ、汚れチェック
「ゴミ置場」・・・・仕分け・整理・汚れのチェック
「植栽」・・・・・・水遣り、雑草駆除、落ち葉のチェック
「階段」・・・・・・照明確認、壁の汚れ、床の汚れ、ゴミのチェック
「エントランス」・・照明確認、壁の汚れ、床の汚れ、ゴミのチェック
このように、ただその人の感覚で掃除をするのではなく、チェックする項目を細かい指示して、同時に電球や各部の破損状況などもチェックしてもらうようにしました。掃除をしたけど、電球が切れているというのでは片手落ちなのです。
そこで、片手落ちにならないよう清掃員さんには、掃除だけでなく同時に電球などのチェックをしてもらい、必要があれば交換してもらうようにしました。
チェックリストは入居者や内見者へのアピールでもある
このようにチェックリストを作って、清掃の都度チェックをしてもらえば、担当によって仕上がりのクオリティーに差が出るということはほとんど無くなります。ですので、仮に清掃担当が替わったとしても、その人の感覚で掃除をするということがなくなりますから、引き続き同じような美観が保てるというメリットもあるわけです。しかし、当初、私がこのチェックリストを作ったとき、社内からは次のような意見がでました。
「この清掃員さんは一生懸命やってくれるから、あえて細かいチェックリストを作って管理するというのは、失礼なのではないか?」
確かに、そうかもしれません。しかし、チェックリストは清掃員さんの管理のためだけに使うのではありません。清掃チェックリストはエントランスの入居者の目に付くように掲示板に貼り付けておくようにします。そして、入居者へさりげなくアピールもするわけです。
もちろん、このようなチェックリストが掲示されていれば、内見に訪れた入居希望者へのアピールにもなりますよね。
たかが掃除、されど掃除
たとえ床や壁が綺麗でも、ポストが壊れていたり、掲示物がガムテープで壁に直に張られていたりするだけで印象は悪くなることがあります。入居者希望者の第一印象は、エントランスや外観の美観、雰囲気で決まります。その印象ひとつで勝手に部屋の中までも「勝手に想像されてしまう」のです。これから「入居の旬」が真っ盛り。入居希望者がドッと押し寄せてくる時期です。せっかく内見にきてくださったお客様を逃がさないためにも、是非、チェックリストを活用して掃除の徹底を図ってみてください。たかが掃除、されど掃除、なのです。