住まいへの夢や憧れだけでイメージを膨らませても、日常の暮らしとかけ離れていては絵に描いた餅。住まいの中でモノを出し入れしている場面が、一つひとつ具体的にイメージできてこそ、住みやすさにつながります。それが、住まいに欠かせない「収納プラン」の考え方です。ここでは、住まいを計画するときに必要な収納プランを、その手順に沿ってご紹介します。

1.いま使っている収納の良い点・悪い点を洗い出す(現状把握)

片づかないのは、自分のせいではなく収納のせい? まずはリストで現状を整理することから始めましょう
家族の意見を聞きながら、思いつくままに書き出してみましょう。

例)
■要望点
食器は引き出し収納が使いやすい
居間には飾り棚の収納家具をそのまま置きたい
■改善点
洗面所のリネン庫の奥行きが深くて奥まで使い切れない
折戸のクローゼットはデッドスペースができて使いにくい
キッチンの吊り戸棚は手が届かないので使えない
玄関タタキに降りないと使えない下駄箱は不便

2.どの部屋に何をしまいたい? (適材適所)

収納スタイルとして、集中収納・分散収納という考え方があることを予備知識としてチェック。日常的に使うモノは、使う場所の近くにしまうという「適材適所=分散収納」というのが一般的です。

この項目は間取りにつながる重要な内容になるので、1と同様に家族の意見を聞きながら、ていねいに書き出してみましょう。

例)
■要望点
キッチンには食品庫を設けたい
衣替えをしなくていいクローゼットにしたい
掃除用具は階段わきにしまいたい
アウトドア用品がしまえる玄関収納がほしい
■改善点
居間には家族共用の物品を全てしまう

3.これからはどんな収納にしたい?(要望)

組立収納を使いたい。手持ちのタンスを新居でも使いたいなど
次に収納に対する要望の具体化を行いましょう。良い点はそのまま活かして、悪い点をどう改良するといいのか、具体的に書き出していきます。

例)
■要望点
居間は壁一面を収納にして扉をつける
本棚の棚板は頑丈で可動な棚がいい
ダイニングテーブルは引出付きに買い換えたい
飾り棚にガラス扉をつけたい
■改善点
キッチンに吊り戸棚はつけない

4.場所ごとに収納量を把握(適量チェック)

多くの人が悩んでいる収納量の点検です。今の収納に収めている物品をリストアップしていきますが、細かく物品名を書き出す必要はありません。文具や通帳類といった大きな分類でもOK。ただし、布団やラグのように大きくてかさばるモノは数量を書き出します。クローゼットや押し入れなどの収納場所ごとに、スペースのスリーサイズ(幅・奥行き・高さ)とともに物品名を整理しておくと分かりやすいでしょう。それがあれば、引っ越しの際の荷物整理にも役立ちます。

例)
靴 ○足
ハンガー掛けの服 ○着
引き出しケース ○個
蔵書 ○冊
CD・DVD ○枚
布団・毛布など寝具 ○組
食器棚のサイズ W○D○H○mm

5.使用頻度で分けてみる(要・不要チェック)

もう着ていない服はない?
所有品を数量だけで捉えるのは危険。そもそも使ってこそ、活かしてこその所有品ですから、持っている価値があるのかどうか判定する目安として分類してみましょう。

その判定の基準は使用頻度。年1回でも必ず使うモノ、季節になったら必ず使うモノであれば使用頻度が低くても必要品。

かつてよく使っていたけれど、近ごろは飽きてしまった家電品や趣味の品などは、過去の使用頻度ではなくいまの頻度。ここ1年使っていなければ不要品です。不要品と判断したモノは4のリストから削除しましょう。

6.捨てる覚悟を持つ(処分計画)

住宅を計画するときに、やみくもに収納をたくさん設けると、使う見込みのない不要品までしまい込むことになります。生活を新たにスタートするときこそ、不要品を処分して心機一転するチャンス。 大事なモノ・気に入ったモノだけで暮らしをスタートする。それが新しい住まいでの清々しい暮らしの始まりにつながることでしょう。

これまでに捨てそびれているモノは、いくらでもあるはず。不要品をゴミにする前にリサイクル店での委託販売、買い取りサービス、団体への寄付などを利用してもいいでしょう。その結果、モノが減量できれば収納プランはシンプルで考えやすくなります。収納スペースが少なくてすめば居室スペースがそれだけ広くとれるので、インテリアの楽しみが増えるのではないでしょうか。

7.設計者にきちんと伝える(情報の共有)

1~6までのプロセスをきちんと整理しておくと、モノの持ち方やこれからのライフスタイルが具体化します。それによって設計者に要望を伝えやすくもなりますから、収納プランは住宅への満足度に大きな関わりがあるのです。また1~6の内容を、きちんと受けとめてくれる設計者に依頼できるということも、住まいづくりの成功の秘訣と言えるでしょう。つまり収納プランを先行して進めておくと、設計者選びにも役立つということです。

8.図面を見ながら動線チェック(適材適所&適量の点検)

平面図に動線を書き込んで
設計者と打ち合わせをする段階に入ったら、平面図を下敷きに日常の生活行動をそこへ重ね合わせて、収納行動が円滑に行えるかどうか検討しましょう。とかく収納量ばかり気にしがちですが、適材適所に収納があることが先決です。

その次に収納場所の展開図を見ながら「何をどうしまうか?」を想定して所有品が収まるかどうかを検討します。

収納量に不安があるときは、5で整理した使用頻度の物差しを使って、住まい全体で何をどこに収めるか再整理してみてください。使用頻度が低くて保管が目的のモノであれば、使う場所から少し離れた収納でもいいという判断材料として使用頻度の物差しを役立てます。

最後に肝心なこと

どんなに優れた収納を創り上げても、その収納を使いこなせなければ無意味。整然とした壁面収納があっても、面倒くさがりでそこにしまわなければ、たちまち部屋にはモノが溢れます。捨てられないタイプなのに納戸をつくると、死蔵品が増えるばかりです。

収納を使いこなすノウハウを取り入れるのもいいでしょう。どうしたら片づけられるのか捨てられるのかといったノウハウを、収納づくりに重ね合わせて収納プランを進めていきましょう。暮らしにあった収納づくりができれば、思い通りのインテリアで日々快適な暮らしが実現しますよ。

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