朝5時起きして、機関車のための作業に没頭しています
別荘を建てて以降、週末を利用して月に2回は来ているNさん夫妻。それは一日でも早く、線路を完成させたいからで、朝5時から起きて作業に取り組んだそうです。というのも線路を敷くためには、まず土壌改良が必要。冬場に凍結するとレールが浮き上がってしまうので、凍結しても歪まないように1m下までコンクリートを流し込む必要があったのです。「コンクリート練りからはじめて、一日2mのペースで線路を敷きました。「1周させるのに、8年近くかかりましたが、2年前の夏、ついに完成したんです。その時は仲間を招いて、テープカットの開通式をしたんですよ」と子どものような笑顔で話される。ライブスチームを愛好する「JCFCの会」の仲間たちは、年に数回集まって、機関車を走らせるのを愉しみにしているのだそうです。
奥様は「汽車が一番だから、お手上げ」と言った感。でも、開通式のテープカットの花は奥様が手作りでプレゼントしたとのことです。「主人が作業に没頭していると、私は退屈でしょ。何かできるものはないかと考えて、織物をはじめたの」と奥様。1本1本糸を紡ぐ織物は、ひとつの作品ができあがるまでにとても時間がかかるから、ちょうどいいのだそう。最近では、フィンランドまで糸を買いに行かれたそうで、奥様の趣味も本格化しつつあるようです。
庭から見える富士山、ウサギや鹿もやってきます
ウッドデッキにはテーブルを置いてお茶も飲めるスペース |
蒸気機関車のお話で夢中になってしまいましたが、Nさんの別荘の庭からは富士山が見えます。私が訪ねたときは、お天気が曇りで、残念でしたが、葉っぱが落ちた冬には、木立の間から見えるのだそうです。
お邪魔したのは連休前でしたが、敷地のあちこちに可憐なフジザクラが花をつけ、うぐいすの生声がBGMで聞こえてきました。「線路を敷いていると、ウサギやリスがやってくるんだよ。この前なんかは気がづいたら鹿がいたので、ちょっとびっくりしましたけどね」とご主人。
散歩中に人に出会うと、みんな挨拶するそうで、家庭的な雰囲気も気に入っているそうです。
「中央自動車道を使えば2時間足らずだけど、機関車を積んで行ったり来たりは大変。空気もいいし水もおいしいし、ここに定住するのもいいね」と去年の春に話されていたのですが、その年の9月にはご主人は正式にリタイアされたそうです。リタイア後は、月のほぼ半分を富士山麓の別荘で過ごされているというNさん夫妻。私が訪ねてから1年経つのですが、その間に新しく鉄橋もできたそうです。毎日、時間を気にすることなく、自然の中で機関車の整備に没頭、念願の悠々自適を愉しまれています。
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