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都心に近いリゾート地「大磯」の最新不動産事情

「湘南」発祥の地である大磯。自然豊かな環境でありながら都心にも通勤できるロケーションで、若い層にもリタイア層にも人気が高まっています。歴史ある街を歩きながら、最新の不動産事情も調べてみました。

平野 ゆかり

執筆者:平野 ゆかり

別荘・リゾートマンションガイド

大磯は「日本の避暑地百選」1位、リゾートの草分けだった

松並木

旧東海道の松並木はかつての元勲通りと呼ばれたところ


大磯は東海道本線平塚の隣駅。快速アクティこそ停車しませんが、湘南新宿ラインも利用でき、都心に1時間あまりで出られる通勤圏です。にもかかわらず、と言っていいのでしょうか、三角屋根の駅舎はレトロで駅前ロータリーもこじんまり。いまどきの駅ビルも大型商業施設もなく、いたってのどか。田舎の駅に降り立ったような雰囲気があります。

大磯駅

大磯駅前の様子。高い建物や駅ビルがなくのどかな風景が広がっている

駅舎の背後には小高い山があり、その斜面には海側を見下ろすように家が建ち、なかには大きな洋館も。また駅を出て、左手に少し歩いたところには驚くほど瀟洒な洋館があります。こちらは現在「大磯迎賓館」というレストランですが、貿易商だった木下健平氏の別邸とのこと。築101年の現存する日本最古の2×4建築という由緒ある建物です。

少し歴史を説明しますが、大磯は明治41年「日本の避暑地百選」で1位に選ばれたリゾートの草分けなのです。これは明治20年に東海道線が横浜から国府津まで延伸。大磯が風光明媚、温暖な土地柄であったことに加え、東海道線大磯の駅から歩いていけるところに照ケ崎海岸の海水浴場にあったことが理由のひとつ。もともとは海水に浸かって病気を癒すのが目的でしたが、その後、余暇として遊泳を楽しむようになり、海水浴は暑い夏のトレンドに。しかも大磯はアクセスがよかったことで、避暑地として全国ナンバー1の人気だったようです。

さて、駅からゆるゆると坂を下りると一号線との突きあたりに、かやぶき屋根が見えてきました。ここは明治時代より古く、鎌倉時代の歌人西行法師が読んだ歌
「こころなき身にもあわれはしられけり 鴫立つ沢の秋の夕暮」のゆかりの建物・鴫立庵。京都の落柿舎、滋賀の無名庵と並ぶ庵で、300年以上続く俳諧道場です。隣が鴫立亭で、お茶やケーキがいただけるようです。このT字路を右へ。

この国道1号線が有名な大磯の元勲通りです。明治17年に今の城山公園南側に吉田茂、明治29年に原敬、明治30年に伊藤博文、さらに山縣有朋、西園寺公望、大隈義信など歴代の首相が次々に大磯の小さな町に別宅を構え、「大磯で閣議が開ける」と謳われたほど。国道一号線の南側、今は当時の建物は残っていませんが、区画が大きく、敷地のなかの庭木も立派。国道沿いの松並木とともに明治時代からの別荘地であった面影をとどめています。


ぶらり散歩が楽しい路地の多い街

大磯路地

旧東海道から海辺に抜ける路地のひとつ。両側の建物や植栽がかつての別荘地の面影をととめている

国道1号線から海に向かういくつもの路地があります。路地に入ると、少し小高くなっているため、1号線から直接海は見えません。しかもすべての路地が海に通じているわけでなく、行き止まる路地は複雑な迷路のよう。それがかえってこの路地歩きを楽しくさせます。個人の私有地を横切るような場所も。時折、散歩をしている地元の人に出合いました。年配の男性が多いです。女性はあまり歩かないのかしら、とか思いながらぶらぶら。土や砂、そして落ち葉、舗装されていない小路の感触が気持ちよく、歩きながら心がなごみます。

このあたりの住宅は、ほとんどが一戸建てですが、海側にはいくつか低層の集合住宅もあります。大磯中学校の隣には「大磯シーサイドヒルズ」というマンションがあり、現在も販売中のようでした。西湘バイパスに面した角地ですが、ここなら駅まで徒歩圏です。

こゆるぎ緑地

こゆるぎ緑地沿いの散歩道。左は西湘バイパス

さらに東に足を伸ばし小磯方面、吉田茂邸跡地に行ってみました。吉田邸は城山公園のなかにありますが、建物は焼失してガラス張りの温室が残っているのみ。風格ある日本家屋は再建されるようで、工事が始まっていました。吉田茂の銅像があるのは海側。相模湾と富士山が見える風光明媚なところです。

ちなみにこちらの眼前の海は泳ぐことはできません。大磯のトップシーズンは夏ですが、かえってその時期も静かに過ごせるようです。

こちらの城山公園の手前にも販売中のマンション「アクアテラス大磯 松憬の邸」がありました。低層3階建てで、国道1号線から奥まって建物があるので街並みに圧迫感はありません。こちらはバス便です。大磯は平成17年より「良好な景観形成のためのガイドライン」がつくられており、建物の高さはもちろん、色やデザイン、外構、隣地や道路からの距離などが具体的に制限され、自然と調和した建物の建設が求められているのです。
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