大家さんと店子を結ぶ、大切な「仲介業」
江戸時代、庶民は狭い土地に密集して暮さなければなりませんでした。そこで誕生したのが、「長屋」。当時、江戸は町人・商人の町として栄えていましたが、この層は政にも参加し、身分も地位も富も備えていました。また、土地も広く所有していたので、長屋を持ち、大家を雇って庶民へ賃貸することも、富裕層が果たさなければならない大切な役割でした。そこに住んでいたのが、庶民たち。これが、いわゆる「賃貸業」の始まりとも言われています。
当時の大家といえば、親も同然、店子といえば子も同然の関係。今よりもずっと密なつながりがありました。現在ももちろん大家さんはいますが、当時ほどの関係ではなく徐々に希薄になってきています。そこで登場してきたのが、「仲介業」という仕事。大家さんと店子をマッチングさせ、スムーズに両者の望みを叶える大切な役割です。
この仲介が「業」として成すためには、そこに金銭授受が発生します。これがいわゆる「仲介手数料」なのです。
仲介手数料はどう決まっている?
さて、一度でも部屋を借りたことがある人なら、仲介手数料がいくらかかるのがご存じでしょうか?
――「家賃の1ヵ月分」そう答える方が多いと思います。
でも、実は必ずしも家賃の1ヵ月分ではないのです。
宅地建物取引業法では、以下のように定められています。
(報酬) 第46条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は賃借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。 2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。 |
さらに、「国土交通大臣が定めるところ」とは、昭和45年の建設省告示1552号のことを指しています。
告示第四(宅地建物取引業者が賃借の媒介に関して受け取ることのできる報酬の額) 宅地建物取引業者が宅地又は建物の賃借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、当該宅地又は建物の賃借(・・・中略)の一月分の1.05倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるにあたって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の0.525倍に相当する金額以内とする。 |
つまり、仲介業者が受け取ることのできる報酬は、賃料の1ヵ月分の1.05倍と決まっていますが、それは借主が全額支払うという決まりはありません。仲介業者は、大家さんと借主の両方から家賃1.05ヵ月分の半分ずつを報酬として受け取ることができ、それぞれから承諾を得ている場合に限り、合計家賃の1.05カ月分までどちらかからもらうことができるというのが、宅建業法なのです。
>>>おや?仲介手数料はいくらだったのでしょう?