シーンが切り替わる、フレキシブル空間
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資料室兼ギャラリーのエントランスホール。オレンジ色の丸い床などポップで楽しい、遊園地のような遊び心満載の空間。撮影:梅田信幸 写真提供:LiVES
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Sさん宅の玄関ドアを開けると、ポップで楽しい空間が迎え入れてくれます。ここは、デザイナー夫婦の資料室兼ギャラリー。搾りたてのオレンジジュースのようなまるく切り抜かれた床は、塗装が施されていてピカピカ光ります。低い段差は、腰をかけて資料を眺めるのにちょうどいい具合。もともと、将来の子供部屋として設計者が提案した空間を、自分たちでずっと使いたくなってしまったお二人。
「子供に渡してしまうのは惜しい」という気持ちになったそうです。この気持ち、分からなくもありません。
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わずか2帖の小さな和室は、ご主人希望のコモリ感を出す。 |
右の写真は『コモルーム』と命名された、小上がりのタタミの間。こもって漫画を読みたい、ごろごろしたいというご主人の希望と、将来の子供部屋の2つを兼ねて計画されました。下げた天井で、コモリ感強調。現在は、ご主人のみならず、奥様もこの間でくつろぐことが多いとか。子供が大きくなったらどうするか?ご主人は「そのときはそのときで、フレキシブルに考えます」と言います。先のことより、今、欲しい暮らしを優先したSさん夫婦。
柔軟な考え方は、今を楽しむ秘訣かもしれません。 |
広いワンルームは、段差や“抜け”のある壁で区切り、モードを切り替えつつ開放感のある空間に。 |
大きなワンルームはリビング、和室、寝室の3つの顔を持っています。
段差や“抜け”のある壁で少しずつ区切られて、一体感を保ちながらシーンが切り替えられています。Sさん夫婦が飼っている猫も、段差にジャンプして飛びのったり、壁の上を歩いたりと、この家をとても気に入ってくれた様子です。
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キッチンの斜め前に位置するタタミの間。奥様は、タタミでくつろぐご主人を眺めながら料理を作る。 |
キッチンは、六角形のオレンジ色のタイルが印象的なキッチュな空間。広々としたワークトップでは、料理を作るのはもちろんのこと、スツールを置けば簡単な食事をとることもできます。タタミの間でもリビングでも、床座が基本のスタイルですが、奥様の希望していた“キッチンカウンターで食事をする”スタイルはここで実現することができました。
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Sさん夫婦の希望は、設計者との打合せを経て、このような形で実現されました。
自分たちの理想の暮らしに対して、なんとなくイメージを持ってはいるものの、それをどう実体化させるのか?一般の人にとっては何をどうしたらいいのか分かりません。例えば、床材に何を使うか?ということをとってみても、たくさんのカタログをごっそり持って来られて、「どれにします?」というのでは、選ぶのが難しい。
リノベーションにおける家づくりの半分は、プロとの打合せです。「どんな暮らし方がしたいか?」そこから発想し、アドバイスを貰いながら、素材ひとつから間取りにいたるまで決めていくことができます。Sさん宅のオレンジの土間のように、打合せのなかで飛び出したアイディアがもとに、自分たちでは想像もつかなかったオリジナルの家ができることもあります。これもまた、リノベーションの醍醐味といえるのではないでしょうか。
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