日本神話の重要な登場人物が祀られる鹿島神宮、香取神宮
茨城県鹿嶋市の鹿島神宮と、千葉県香取市の香取神宮は、県は違っても、利根川を挟んで比較的近くにあり、日本神話の中でも深いかかわりのある神様が祀られる神社です。東京方面から行く際には、この2つをセットでお参りしてみると、ご利益も古代の歴史に関する知識も倍増します。鹿島神宮には、タケミカヅチノミコトという神様が祀られています。
香取神宮には、フツヌシノオオカミという神様が祀られています。
まずは、この二人の神様の名前を頭に入れ、奥深い日本神話の世界に入って行きましょう。
タケミカヅチは天地創造のころ生まれた
では、古事記のお話をはじめます。イザナギ、イザナミは、夫婦の神様で、天つ神から、まず島を作ることを命じられ、たくさんの島々を生みました。これが日本列島の始まりです。島を生み終えると、夫妻は神様を生み始めました。全部で35人の神様が生まれましたが、最後に生まれたカグツチ(火の神様)に陰部を焼かれたのがもとで、奥さんのイザナミは亡くなってしまいます。イザナギは怒って、カグツチを切り殺しました。その刀についた血が飛び散り、その血からまた、何人かの神様が生まれました。そのひとりが、鹿島神宮に祀られるタケミカヅチノミコトです。フツヌシノオオカミも、同じできごとによって生まれた神様ですが、こちらに関しては、古事記には記述はなく、日本書紀にだけ登場します。
刀から飛び散った血から生まれたということで、タケミナカタもフツヌシも、勇ましい武運の神とされます。
イザナギはイザナミを失ったことを嘆き悲しみ、黄泉の国まで会いに行きます。帰ってきてくれと妻に懇願すると、「それでは黄泉の国の神と相談してみます。でも、その間、決してわたしの姿を見てはいけませんよ」と言って、奥に消えて行きました。
妻がなかなか戻って来ないので不安になったイザナギは、ついつい戒めを破って中に入ってしまいました。するとそこには、腐って蛆がたかったイザナミの姿がありました。
あまりの恐ろしさにイザナギが逃げると、イザナミは「よくもわたしに恥をかかせたな」と追ってきました。命からがらこの世に逃げ戻ったイザナギは、黄泉の国で身についた穢れを落とすために、川で禊を行います。これが、神社参拝の際に手水舎で手と口を清める習慣の起源と言われます。
イザナギが脱ぎ捨てた衣服や装飾品などから、さらにたくさんの神様が生まれました。最後に顔を洗ったときに、3人の、特に尊い子が生まれました。
左目を洗ったときに生まれたのがアマテラスオオミカミ
右目を洗ったときに生まれたのがツクヨミノミコト
鼻を洗ったときに生まれたのがスサノオノミコト
アマテラスオオミカミは、父の命で、高天原を治めることになりました。
ということで、なんと、鹿島、香取の神様は、最高神であるアマテラスオオミカミよりも先に生まれた神様だったのです。