有料老人ホーム入居にかかる費用

有料老人ホームに入居するには、どんな費用がかかるのでしょうか?

一度入居すると住み替えが難しい有料老人ホーム。あとでこんなはずではなかったと慌てないよう、費用についてもしっかり理解して入居しましょう

有料老人ホームに入居する場合、次のような費用が必要となります。

■入居一時金
入居する際に一括で支払う、専用の居室や共用スペースを利用するための費用。基本的には「家賃を前払いする」といった考え方のもの。金額はホームによって異なり、0円から数千万円、なかには数億円というところもあります。

■月額利用料
毎月支払うことになる費用で、料金設定や内訳についてはホームによってそれぞれ異なります。金額的にも6万円~60万円ぐらいとバラツキがあります。主な内訳は次の通りです。

・居住費
入居一時金を0円、または安く設定しているホームの場合、家賃相当額が月額利用料に含まれることになります

・共益費
共用スペースの維持などにかかる費用

・管理費
介護以外の事務職員の人件費など、ホームの維持・運営のための費用。共益費とまとめて請求するホームも多い

・食費
食材費、厨房維持費、厨房人件費など、食事サービスを利用した場合の費用。本人の希望で特別な食事サービスを受けた場合は、追加費用が必要となる

・雑費
居室での水道光熱費、新聞購読代、電話代、おむつ代、レクリエーション代、嗜好品代など

・介護費
特定施設入居者生活介護または在宅サービスなど、介護保険サービスを利用した場合は、限度額の1割。介護保険対象外のサービスを受けた場合は全額
 

「入居一時金の償却」は大切なチェックポイント

入居一時金は家賃の前払いに相当するものですが、これを支払って得ることができるのは、「本人がホームの居室および共用スペースを利用する権利」と「ホームが提供するサービスを受けることができる権利」です。

この「利用権」という考え方は、分譲住宅や賃貸住宅にはない有料老人ホーム特有のもので、相続や売買を行うことはできません。なんらかの事情でホームを退去する場合や、入居した方が亡くなった場合は、利用権は消滅し、事前に定められたルールに則って償却された入居一時金が返還されることになります。

前述の通り入居一時金が高額なホームも多いため、返還金の多い少ないを決める「償却」には十分なチェックが必要。償却についてのチェックポイントは以下の3つです。

1.入居一時金の償却期間はどれくらいか

2年~20年ぐらいとホームによって差がありますが、一般的には次のように分けられます。

■介護付施設
2~8年ぐらい。5年としているところが多い。ただし、入居時の条件が「要介護」となっている場合。

■健康型または住宅型施設
7~20年ぐらい。15年としているところが多い。ただし、入居時の条件が「自立」となっている場合。

介護付のほうが償却期間が短いのは、入居時の年齢や健康状態、入居した後の想定居住期間を考えて償却期間を決めているからです。健康型や住宅型は比較的若く、健康な人が入居し、心身に気をつけながら生活するため、居住期間が長くなるケースが多く、介護付はその逆というわけですね。

償却期間が終わってしまうと返還金は0円になってしまうので、償却期間が長いほうが入居者にとってはトクだと言えます。

2.入居一時金の初期償却はどれくらいか

初期償却とは、入居した時点でホームの利益として入居一時金から引かれてしまう金額。一時金の20%ぐらいのところが多いですが、ホームによって0%~80%とバラツキがあります。

仮に入居一時金が1,000万円、初期償却が50%のホームに入居して、何らかのトラブルのため半年で退去することになった場合、返還金は500万円となります。半年で500万円が消えてしまうわけです。

この初期償却は、当然ながら少なければ少ないほど入居者にとってはトクになります。

3.入居一時金の償却方法はどう決められているか

入居一時金から初期償却を差し引いた金額から、居住期間に基づいて償却が行われることになりますが、この方法には次の2種類があります。

■定額償却
月割りで同じ金額が償却されていく方法

例えば、入居一時金が1,000万円、初期償却が20%、5年定額償却の場合は、
1年後の返還金……640万円
2年後の返還金……480万円
3年後の返還金……320万円
4年後の返還金……160万円
5年後の返還金……0円
となります。

■定率償却

決まった期限ごとに、同じ割合で償却されていく方法

例えば、入居一時金が1,000万円、初期償却が20%、5年定率償却(償却率が年50%)の場合は、
1年後の返還金……400万円
2年後の返還金……200万円
3年後の返還金……100万円
4年後の返還金……50万円
5年後の返還金……0円

「定額」と「定率」。言葉は似ていますが、比べてみると定額償却のほうが入居者にとって有利なことがわかります。
 

入居一時金の予算は、なるべく余裕を持って考えよう

「介護付」といっても、実際に亡くなるまで住み続けられるところは多くありません。認知症の症状が激しくなったり、高度な医療措置が必要になった場合は、退去して別の施設や病院に移らなければいけなくなります。また入居した後に、他の入居者との人間関係が悪化したり、ホームのサービス内容に不満を感じるなどして、住み替えを行いたくなることもありえます。

こうしたとき、つい返還金を頼りにしたくなるのですが、実際に返還金が戻ってくるのは、退去してから2カ月ぐらい後になる場合が多く、ホームによってはもっと後になるところもあります。

有料老人ホームを探しているときに、退去時のことまでを考えるのは難しいでしょうが、大切な親が老後を安心して暮らしていくためです。いくら気に入ったところが見つかったからといって、預貯金などの大半を入居一時金に充当するようなことは止めましょう。

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