介護食では、どんなところに気をつければよいのでしょうか? |
規則正しく、バランスの良い食事を
高齢になると買い物や調理が負担となるため、食事を適当に済ませてしまうことが増えてきます。また1日の運動量も少なくなるため、食欲不振になりやすく、「低栄養」になりがちです。低栄養は筋力や体力の衰えに繋がるので、普段から規則正しく、バランスの良い食事を心がけましょう。
特に気をつけなければならないのは、次の3点です。
1.なるべく多くの種類の食品をとる
食事の際には、主食・主菜・副菜をそろえ、栄養が片寄らないように。1日30品目を目安にしましょう。
2.積極的にタンパク質をとる
タンパク質は、骨や筋肉を作るもととなるもので、高齢者でも若者と同じ量を摂取する必要があります。毎日、主菜として魚・肉・玉子・大豆などを食べるようにしましょう。
3.食事は1日3回、規則正しい時間に
毎日、規則正しい時間に食事をとることで、生活や身体のリズムが整えられます。しかし、本当に食べたくないときに無理をするとストレスの原因になるので、食欲がないときはおやつを利用したり、少しずつ何回かに分けて食べるなどの工夫をしましょう。
本人の体質や疾患によっては、塩分や脂肪分などを控えることも必要です。こうした場合は、主治医や栄養士などのアドバイスに従い、適切な食事をとってください。
食べやすくするための工夫
食べる能力が弱くなってきた高齢者の場合、若者とまったく同じものを食べるのが難しくなってきます。「食べ物を噛む力」が低下している人の場合は、やわらかくて噛み切りやすい食事を、「食べ物を飲み込む力」が低下している人の場合は、やわらかくてとろみの付いた食事を用意しましょう。
食品のタイプごとの、食べやすく調理するコツは次の通りです。
■固いもの
- 野菜……やわらかく煮込む。包丁目を入れる。適当な大きさに刻む。つぶす。調理前に一度、電子レンジで加熱する。
- 肉……やわらかく煮込む。肉団子などに加工する。
- 魚……煮魚にする。細かくほぐす。
■パサパサしたもの
- 焼き魚……あんをかけてとろみをつけ、飲み込みやすくする。
- パン……牛乳やお茶にひたす。
■汁気の多いもの
- みそ汁・スープ……片栗粉やとろみ調整食品を使ってとろみを付ける。
できるだけ家族と同じ献立にすると、本人が疎外感を覚えることなく、食事を楽しんでもらいやすくなります。また、きざみ食やミキサー食などにする必要がある場合も、一度、普通の皿に盛りつけた状態で見せてから、本人の前で加工したほうが、何を食べているかがよくわかり、食欲も高まります。
本人の状態に合わせた食事の形状や固さについての詳しい情報は、下記のホームページからご覧いただけます。
>常食から流動食(健康長寿ネット)
おいしい介護食のレシピ
毎日の食事は暮らしにハリを与え、生きがいにも繋がる大切なもの。できれば味にもこだわりたいところです。
「簡単」「おいしい」「手頃なコスト」と三拍子そろった介護食レシピを掲載しているホームページをご紹介します。
>だんらんやわらかレシピ(リブドゥコーポレーション)
>介護食のレシピ(クックパッド)
>介護食・健康食レシピ(日清オイリオグループ)
介護食についての本もいろいろと出版されているので、本人の状況や好みに合わせて選ぶとよいでしょう。なかでも、次の3冊はおすすめです。
簡単に用意できる介護食とは?
在宅で同居介護を行う場合、1年365日、3食の介護食を用意することになり、介護する側にとってはかなりの負担となります。必要に応じて市販の介護食品や市区町村などが行っている「配食サービス」を利用するなど、負担を減らす工夫をしましょう。
■市販の介護食品
市販の介護食品には「ユニバーサルデザインフード」という表示が行われており、固さや粘度に応じて4つの段階に分けられています。本人の状態に合わせて選ぶことが可能です。
各メーカーから豊富なメニューが販売されており、例えば次のようなものがあります。
■配食サービス
栄養のバランスがとれた食事を自宅まで届けてくれるサービスで、市区町村や社会福祉協議会、ボランティア団体などが行っています。遠距離介護の場合など、「見守り」としての役割も果たしてくれるので安心です。
地域によって配食サービスそのものを実施しているかどうか、利用できる回数、対象者などが異なりますので、地域包括支援センターで相談してみましょう。
■軽食・フルーツなど
「普段、しっかりと食事をとっている」という条件付きですが、どうしても食事を用意する時間がとれないときは、「カステラとミルク」「クッキーとミルクティー」「バナナとミルク」など軽いもので済ませても問題ありません。この場合、他の食事で栄養のバランスをとるよう、注意してください。
>「食事、入浴、清拭、口腔ケアの介助とコツ」を見る。