外食だとつい食べ過ぎてしまう人も、専用の宅配サービスなら安心。
「食材配達」はその名の通り食材を元の形で届けてくれるもの、「食料品宅配」はそのまま食べられる出前のようなメニューを含むものが多いようですが、厳密な区分はなく、会社によって取り扱い方はさまざま。
療養食・食事療法を無理なく快適に続けるための、宅配サービスの選び方と注意点を解説します。
療養食の食材宅配・宅配食のメリット
宅配食のメリットは、何と言っても手軽で便利なこと。細部に気を配った食材の準備が難しく、料理に時間をかけられないという人でも、専門の宅配食なら日頃自分では使わない食材や料理法が楽しめたり、いくつもの食材が少量ずつ味わうことができるのです。療養食は長く続けることに意味があるので、飽きずに快適に続けられることも大事な条件。宅配サービスの利用を決めたら、どのサービスを申し込むか迷う人が多いようです。宅配サービスならどれも同じと考えがちですが、価格を始め、献立の好みや栄養素のバランス、宅配方法(冷凍、冷蔵、レトルトパウチ食品など)の違いがあります。長く続けるものなので、生活スタイルや好みで決めるのが一番。サービスによってはお試しプランもあるので、まずは試してみるのがいいでしょう。
「宅配サービスを使えば療養食の知識はなくてよい」と思っているとしたら、それは誤り。なぜなら、療養食の宅配サービスでも「透析食」「腎臓病食」といった分かりやすい表示はないことが多いからです。これは、厚生労働省『食事療法用宅配食品等栄養指針』で「病名や食事療法用食品である旨の表示を行わないこと」という通達が出たことに伴って、特定の病名を冠した表示が使われなくなったからだと考えられます。つまり、注文する側で食事療法の基本を知っておく必要があるということ。代表的な療養食を例に、以下で選び方のポイントを6つに絞って解説します。
糖尿病メニューの選び方
野菜・魚・豆など、豊富な食材が使われたバランスのよいメニューを選択。糖尿病向けのメニューはカロリー低めのものが多くみられますが、低ければよいというわけではありません。カロリーが低いメニューを選んで満腹感が得られないからと、主食であるごはんなどを多く食べてしまわないよう要注意。主食は炭水化物を多く含み、血糖値を上げてしまう直接の原因となります。ごはんや麺などの主食を食べ過ぎず、満足できるメニューを選びましょう。腎臓病(透析なし)メニューの選び方
透析の必要がない腎臓病の場合、低たんぱく質食を勧められるケースが多いと思います。主食を除いたおかずのみのたんぱく質は、1食当たり10~17g、1日当たり30~50gと、宅配サービスによってかなり差があります。カリウムやリンの量も差がありますが、塩分は1食当たり2g以下が一般的なようです。たんぱく質の適量は個人によって違い、カリウムやリンの制限が特にない場合もあります。これは選び方が難しいケースなので、自分でわからない場合は、どの宅配サービスが最適かを管理栄養士などに相談しましょう。厳しいたんぱく質制限の実施を選択した人は、治療用特殊食品である低たんぱく質ご飯や麺を併せて利用することもできます。低栄養にならないよう、十分なカロリー摂取が大切です。
腎臓病(透析あり)メニューの選び方
低リン、低カリウム、低塩の料理が基本。カリウムは1食当たり500~600mg以下、リンは1食当たり150~300mg以下の商品を選びましょう。透析中は特別なたんぱく質の制限は必要ないどころか、十分なたんぱく質摂取が大切。間違って低たんぱく質食を選ばないように注意しましょう。食欲の低下を防ぐ観点からも、自分の味の好みにあった宅配サービスを見つけることも大切。低栄養にならないように、十分なカロリー、たんぱく質を摂取してください。糖尿病+腎臓病(透析なし)メニューの選び方
バランスのよい低塩食が基本。体重・体力低下を招かないように十分なカロリーを摂取しましょう。たんぱく質・炭水化物・脂質のバランスは治療方針によって異なるため、必ず担当の医師や管理栄養士に相談し、自分にあった食事プランを選びましょう。糖尿病+腎臓病(透析あり)メニューの選び方
バランスのよい低塩、低リン、低カリウム食が基本。体重・体力維持を目標とし、十分なカロリーとたんぱく質を摂取しましょう。糖尿病食よりは、腎臓病食(透析あり)を選んだ方が適切なケースが多いですが、最初に担当の専門家に相談するとよいでしょう。高脂血症、高血圧、体重管理メニューの選び方
全体的なバランス重視。頑張りすぎてリバウンドしないよう、無理のない食事プランを選びましょう。長く続けることで、腎臓病、脳卒中、心筋梗塞などの予防につながります。療養食の食材宅配・宅配食のデメリット
最低限の知識が必要とされるのは同じですが、宅配サービスの大きなデメリットはお金。自分で食事の準備をしたい人や、なるべく節約したい人は、まず自分でできることを考えてみましょう。治療食と言われると「すべて家で手作り」と考える人がいますが、宅配サービスではない一般向けの既製品や冷凍・レトルト食品を上手く活用した食事でも問題ありません。管理栄養士に相談して、レトルト食品の利用など、自分のライフスタイルやコストプランに合った食事の方法や献立を提案してもらえば大丈夫です。