やる気が出なかったり、なかなか眠れなかったり、気持ちが沈んだり……。何だか鬱っぽいかもと思っても、病院に行くのは少し勇気がいるものです。漢方には「心身一如(しんしんいちにょ)」の考え方があり、ココロとカラダの両面を捉えて、バランスを整えることを重視しています。

ちょっとしたプチ不調や精神不安にもきちんと向き合って、ひとつひとつ問題を解決していきましょう。

情緒不安やうつの関連臓器は「肝」「脾」「心」

春は肝、夏は心、梅雨は脾……。季節ごとに強化したい五臓も変化する

春は肝、夏は心、梅雨は脾……。季節ごとに強化したい五臓も変化する

精神的な不安や自律神経の失調は、五臓のなかでも「肝」という機能が深く関わっています。肝はストレスを一番に感じるところで、怒りっぽくなったりイライラすると肝の機能が異常になり、気のめぐりが悪くなってため息をついたり、かっかします。

肝の不調は消化機能である「脾」にも悪影響をおよぼし、膨満感や食欲不振、嘔吐や吐き気などを引き起こしたり、肝機能の失調により十分な血液が「心」に行き渡らないと、神経がピリピリしたり、動悸やめまいをともなうこともあります。

漢方で考える、うつ状態や五月病のタイプ

■緊張が強く、のぼせがあるタイプ
几帳面でいつもきちっとしていないと気がすまなかったり、ストレスを内に溜めやすいタイプ。肝の機能が亢進すると、目が赤くなったり、カッカしたり、のぼせたりします。

なお、気のめぐりが悪くなっているので、上半身はのぼせているのに下半身は冷えているケースも。胸や脇が張って痛かったり、緊張が高まって眠れないような場合もあります。

このような精神不安には、柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)や、生理不順や血液不足をともなう場合は加味逍遥散(かみしょうようさん)などが代表的です。

このタイプは滞った気を上手に発散することが大事です。休み時間を利用してストレッチや散歩をしたり、カラダの緊張を解きほぐしましょう。

■あれこれ考えすぎて眠れないタイプ
くよくよと思い悩んでばかりいると心に影響がでて、心を滋養する血液が足りなくなり、動悸や不眠、よく夢を見るなどの症状が起こりやすくなります。

もともと胃腸が弱いタイプもなりやすく、食欲不振や倦怠感、顔色にツヤがなくなったりします。

有名な処方としては帰脾湯(きひとう)。気や血のみなもとを作る脾を強くし、精神を安定させる生薬が配合されています。鎮静作用を高めたい場合は、帰脾湯に柴胡(さいこ)や山梔子(さんしし=くちなしの実)を加えた加味帰脾湯(かみきひとう)も。

このタイプは不安材料をなくすことが先決ですが、日頃から胃腸の機能を丈夫にしたり、体力をつけておくといいでしょう。

■突然泣きたくなったり、あくびがでるタイプ
眠りが浅いのでぼんやりしたりあくびが出たり、かと思うと突然悲しくなって泣き出したりします。ひどいときは異常な言動をとるケースもあります。日頃からビクビク驚きやすいタイプに多いのがこのケース。

漢方ではこのようなヒステリックな症状を「臓躁 (ぞうそう)」といい、治療には甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)が用いられます。

このタイプは精神不安にいいゆり根やハスの実、処方の中に入っているなつめを普段から取るといいでしょう。カラダに元気をつけて、精神活動を正常に。

■痰がでて、胸苦しくなるタイプ
体内に余計な水分がたまっていて、気の流れを阻害しています。胃にたまっている場合は嘔吐、肺に詰まっているときは痰や胸苦しさを起こし、めまいや動悸を起こす場合もあります。

のどに何か物が詰まっている感じがするのだけど、吐き出すものがない。検査しても何も見つからず、でもいつもすっきりしないような症状を「梅核気(ばいかっき)」というのですが、これも消化機能が落ちていて、カラダに余計な湿がたまり、痰ができている証拠です。

代表薬は半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)。気のめぐりを整え、痰やうつうつとした気分を晴らしてくれる処方です。

消化の良い物を食べるようにし、冷えに注意しましょう。ゆったりとした気分になれる環境や服装などにチェンジするのもオススメです。


うつや五月病などの情緒不安に付随する症状はさまざまですが、薬物治療だけでなく、信頼できるカウンセラーや相性のいいドクターと出会うことで、不安材料が軽減することもあります。なお漢方を服用したい場合は、必ず漢方の専門家にご相談くださいね。

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