進歩する胃がんの治療
胃がんの治療も、他のがんと同様、手術、抗がん剤、放射線治療の組み合わせがベースになります。また、胃がんでも、内視鏡の適応が広がっています。 |
1)手術
基本的には、上腹部を切開して、胃を切除し、十二指腸や小腸と吻合する(つなぐ)手術を行います。15年ほど前からは、小腸で胃の代わりになるような袋(パウチ)を作ったり、神経を温存したりして食物を貯留し、徐々に十二指腸に流していくという胃の機能を残そうといった術式も行われています。
また、近年の内視鏡手術は胃がんにも適応されており、創部の小さい手術や、早期胃がんでは、胃カメラで粘膜ごとがん組織を切除してしまう、内視鏡下胃粘膜切除術(EMR)といった術式も可能になる場合も多くなってきました。
残念ながら、非常に進行して手術が難しい場合でも、胃がんそのものは一切触らずに、食物の通過を保つために胃と小腸を吻合してしまうバイパス手術が行われることもあります。
2)抗がん剤
進行がんの場合には、術前もしくは術後に抗がん剤治療を行うケースが多いです。新規抗がん剤も開発されており、この分野は今後も発展が期待できます。その一方で、非常に早期の胃がんの場合には、術後の抗がん剤治療が不要なケースも良くあります。
また、肝臓への転移については、肝臓の動脈にカテーテルを留置し、そこから直接抗がん剤を注入することもあります。
3)放射線治療
胃がんの放射線治療については、脳や骨への転移に対して、これ以上大きくならないように、もしくは痛みを軽減するように、という目的で、姑息的に行われるケースになります。
このほかにも、肝臓への転移については、体表面から電極を差し込んで、マイクロ波で焼灼してしまう処置も行われることがあります。
胃がんでも、やはり、早期発見、早期治療が大切です。40代に入ってくると、やはり、年に1回の検診を受けられることをおすすめします。
胃がんを予防する方法
まだまだ罹患する患者数は多いものの、治癒率が上がってきた胃がんでは、早期発見・早期治療が重要ですが、やはり予防が最も大切です。 |
また、近年、ヘリコバクターピロリ菌が胃がんの発生にも影響を及ぼしていることが明らかになってきました。胃炎、胃潰瘍を繰り返す方の中には、ヘリコバクターピロリ菌が陽性の方も多くいらっしゃいます。
ピロリ菌の除菌は、胃がんの発生率低下につながります。最近では、呼気や便の検査でピロリ菌の有無をチェックできます。もし陽性であれば、1週間の服薬で除菌にトライできます。除菌成功率は80%程度と言われておりますので、是非、積極的に除菌治療を検討していただきたいと思います。
胃がんの治療と予防については、こちらもご覧下さい。
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