低血圧症の一般療法
治療の基本は規則正しい生活から。最初から薬に頼るのではなく、まずはできることから改善していくのが大切です
「低血圧症の原因・症状」でも書きましたが、ただの体質的な低血圧ならば、治療の必要がないのがほとんど。ここでは治療が必要な病気である慢性的な「低血圧症」についてだけ解説します。
病気などの原因がない「本態性低血圧症」の場合は、日常生活で心がける程度の一般療法が中心。
- 規則正しい生活……適当な運動と十分な睡眠を心がける
- 規則正しい食事……偏食せず、バランスのよい食事を心がける
- 塩分摂取量の注意……高血圧の場合と逆で、少しだけ多めの塩分を摂る
塩分を多く摂ると体内の水分が十分確保できるようになるので、心臓から送り出される血液量を増加させることができ、血圧上昇が期待できます。そのほか、乾布摩擦や入浴などの血管に刺激を与えることができる皮膚鍛錬も効果があると言われています。
しかし、上記の方法で血圧が正常化しても症状が残ってしまうことも。そのため、低血圧症で見られる症状は、実際の血圧より心理状態の影響が強いのではとも考えられています。本態性低血圧症の人の寿命は平均的な人よりも長いという報告もあるので、必要以上に心配しないことが大事。「二次性低血圧症」の治療は根本的な原因になっている病気の治療が第一となります。低血圧症の薬物療法
一般療法で症状が改善しない場合は、薬物療法を行います。実際には神経を刺激する作用のある薬や、身体の中の水分を増加させる薬を用います。■神経を刺激する薬
末梢血管を収縮させて抵抗を高めるとともに、心臓の収縮力を強めたり心拍数を増加させることで血圧を上げる効果があります。
■身体の中の水分を増加させる薬
心臓から拍出される血液量を増加させることで効果を発揮します。
■精神安定剤
心理的な影響による症状が強いと考えられる場合は、精神安定剤を用いることもあります。
起立性低血圧症に対しては自律神経を刺激する薬を用いることもありますが、これは残念ながら効果がないことが多いようです。あまり神経質にならず、ゆっくり立ち上がるように心がけたり、立ちくらみを感じたら少し座って休むなど、自分でできる範囲で対症的に行動するようにしましょう。弾性ストッキングを着用すると効果的な場合もあるようなので試していただければと思います。