生活習慣病/高血圧症・低血圧症

低血圧症の予防・治療

本態性低血圧症で症状が強い場合にはまず一般療法を勧めますが、効果がない場合には薬物療法も行われます。しかし、症状の出現には心理的な要因も強く関係していると考えられており、まずは必要以上に心配しないことも大事なようです。

井上 真理子

執筆者:井上 真理子

医師 / 生活習慣病ガイド

 

低血圧症の一般療法

規則正しい生活は治療の基本です。

治療の基本は規則正しい生活から。最初から薬に頼るのではなく、まずはできることから改善していくのが大切です

低血圧症の原因・症状」でも書きましたが、ただの体質的な低血圧ならば、治療の必要がないのがほとんど。ここでは治療が必要な病気である慢性的な「低血圧症」についてだけ解説します。

病気などの原因がない「本態性低血圧症」の場合は、日常生活で心がける程度の一般療法が中心。

  • 規則正しい生活……適当な運動と十分な睡眠を心がける
  • 規則正しい食事……偏食せず、バランスのよい食事を心がける
  • 塩分摂取量の注意……高血圧の場合と逆で、少しだけ多めの塩分を摂る

塩分を多く摂ると体内の水分が十分確保できるようになるので、心臓から送り出される血液量を増加させることができ、血圧上昇が期待できます。そのほか、乾布摩擦や入浴などの血管に刺激を与えることができる皮膚鍛錬も効果があると言われています。

しかし、上記の方法で血圧が正常化しても症状が残ってしまうことも。そのため、低血圧症で見られる症状は、実際の血圧より心理状態の影響が強いのではとも考えられています。本態性低血圧症の人の寿命は平均的な人よりも長いという報告もあるので、必要以上に心配しないことが大事。「二次性低血圧症」の治療は根本的な原因になっている病気の治療が第一となります。

低血圧症の薬物療法

一般療法で症状が改善しない場合は、薬物療法を行います。実際には神経を刺激する作用のある薬や、身体の中の水分を増加させる薬を用います。

■神経を刺激する薬
末梢血管を収縮させて抵抗を高めるとともに、心臓の収縮力を強めたり心拍数を増加させることで血圧を上げる効果があります。

■身体の中の水分を増加させる薬
心臓から拍出される血液量を増加させることで効果を発揮します。

■精神安定剤
心理的な影響による症状が強いと考えられる場合は、精神安定剤を用いることもあります。

起立性低血圧症に対しては自律神経を刺激する薬を用いることもありますが、これは残念ながら効果がないことが多いようです。あまり神経質にならず、ゆっくり立ち上がるように心がけたり、立ちくらみを感じたら少し座って休むなど、自分でできる範囲で対症的に行動するようにしましょう。弾性ストッキングを着用すると効果的な場合もあるようなので試していただければと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます