無月経・月経不順の治療法とポイント
まずは基礎体温をつけてみることも大切な自己管理法の一つ
ただし、別の病気のせいで月経不順になっている場合は、まず大元の病気を治療します。例えば、月経不順の原因が、「高プロラクチン血症」という病気だった場合は、プロラクチンを抑える薬を飲みます。高プロラクチン血症の原因が別の薬による副作用の場合は、その薬を変える必要がありますし、さらに脳腫瘍などが関係している場合は、腫瘍の手術を行う場合もあります。
3ヶ月以上月経が全くない無月経の場合は、とにかくまず1度は出血を来させる必要があるので、ホルモン剤を1~2週間飲んだり筋肉注射でホルモンを補ったりして月経を起こすのが一般的。
ただし、極端なダイエットによって月経が止まってしまった「体重減少性無月経」の場合は、出血がくること自体が体に大きな負担になってしまうので、例え 3ヶ月以上月経が来ていなくても体重がある程度元に戻るまでは無理に月経をこさせないこともあります。体重減少性無月経の治療の基本は、まず体重を元に戻すこと。ある程度体重が戻れば、月経も自然に回復してくることがあります。
無月経治療の注意点と「子宮体がん」リスク
無月経の原因が一時的なストレスや環境の変化と予想される場合や、血液検査の結果でホルモンバランスが保たれていると分かっている場合、薬で1回月経を来させた後はしばらく基礎体温をつけるだけで様子を見てもいいでしょう。いったん出血を来させたら、その後はまた規則的に月経が来るようになることもあります。逆に、元々月経不順だった人がとうとう全く月経が来なくなったというパターンや、血液検査で女性ホルモンが極端に少なくなっている場合は、少なくとも3ヶ月間は薬を続けて、その後もきちんと月1回の出血が来るようにすることをオススメします。
薬を使ってでも、月に1回のペースで定期的に出血を起こすことにはちゃんと意味があります。月経は子宮の中で厚くなっていった子宮内膜が月に1回はがれ、体の外に出てくる現象。つまり毎月子宮の中を大掃除しているようなものなのです。月経不順や無月経で、この子宮の大掃除が定期的にできなくなると、子宮の中で古くなった子宮内膜が溜まり、「子宮体がん」のリスクになることもあるからです。
月経不順治療の基本のホルモン剤・「低用量ピル」の効果とは
薬で月経を起こす方法として、「低用量ピル」を使用することが増えてきました。ピルは1錠の中に、必要な女性ホルモン2種類が含まれている合成のホルモン剤。飲み方も簡単で、確実な避妊にもなり、月経も軽くなるので、とても使いやすい薬です。他にも、2種類のホルモン剤を組み合わせてホルモンを補う「カウフマン療法」という方法があります。いずれも、本来卵巣から出るべき女性ホルモンを飲み薬で補うことで月経と同じ出血を起こすことができます。
月経不順で無排卵になっていても、すぐの妊娠を希望していないのなら、基本的には排卵誘発剤は使いません。卵巣が疲れているから月経不順になっているのに、その卵巣に鞭打って無理やり排卵させるのは卵巣にとってはかなりの負担になってしまうからです。ただし、妊娠を目指してる方の場合は何とかして排卵しなければ妊娠は望めないので、初めから排卵誘発剤を使ってとにかくきちんと排卵するように治療を進めていきます。
自分でできる月経周期の改善法! 生活習慣のポイント
周期は60日以内だが月経が不規則な場合や、ホルモンが少なめだがある程度は保たれているという場合は、ホルモン剤を使うのではなく、体を温めたり、血液の流れをよくする漢方薬を飲んだりして、様子を見ることもあります。その他、生活習慣の改善を同時にしていくことで、卵巣の働きが戻りやすくなります。生活改善のポイントは、
- 無理なダイエットは避け、適切な体重を保つ
- 体を冷やす食べ物を摂らない
- 湯船に毎晩30分以上つかる
- ストレスを溜めない
- 禁煙する など
月経不順は体からのSOS。異常を感じたら無視せず、今の生活を見直すきっかけにしてみてくださいね。無月経や月経不順については、「無月経・月経不順の原因は? 診断基準と受診の目安」や「無月経・月経不順の原因と診断方法」でも詳しく解説しています。また、興味のある方は「若年女性に広がる無月経の問題点と健康管理」も併せてご覧下さい。
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