知っておくべき女性特有の病気とは

カフェで話す女性

女性として知っておきたい婦人科系の病気。基礎知識をおさえておきましょう! カラダが変……と思ったら迷わず病院で相談を

忙しくてついつい見逃してしまうことの多い「女性の病気」。女性の社会進出や、妊娠・出産回数の減少に伴い、女性特有の病気の内訳もだんだん変わってきています。たとえば乳がん患者さんの数は1970年代の約3倍。その死亡者数はなんと2013年の調査でも13000人に上っています。

特に30歳をすぎたら体の状態に注意が必要。現役医師として、これだけは知っておきたい女性の病気を5つ紹介します。


年々ひどくなる生理痛が特徴の「子宮内膜症」

子宮内膜ってココのこと!
 
子宮内膜症という病気を簡単に解説すると「子宮内膜という子宮の内腔を覆っている赤ちゃんのためのベットとなる膜が、子宮の中以外で増えてしまう病気」です。

一番多いのは30代の女性ですが、20代くらいから注意が必要。月経のある女性のうち10人に1人は子宮内膜症とも言われています。

エストロゲン(女性ホルモン)依存性の病気なので、月経がある数が多ければ多いほど(つまり妊娠・出産が減り、初潮年齢が早くなるほど)発育してしまいます。ですから、患者数も急増中&若年化中。なんと昭和40年代に比べると患者数は3倍にも増えているといわれています。

また、環境ホルモン(ダイオキシン)の影響もいわれています。ダイオキシンは体のなかで女性ホルモンと似た働きをするため、子宮内膜症が増える原因になると言われています。

子宮内膜症の1番の特徴は「年々ひどくなる生理痛」。9割のヒトに月経痛があるといわれます。*1鎮痛剤が効かなくなるほどひどくなることもあります。また、「性交痛」や「不妊」なども特徴のひとつです。

子宮内膜症については、「All about 子宮内膜症・子宮腺筋症」に詳しくまとめてありますので、宜しければご覧下さい。

*1厚生省心身障害研究:リプロプロダクティブヘルスからみた子宮内膜症の実態と対策に関する研究

参考文献 婦人科学 第9版 (金芳堂 杉山 陽一著)

子宮にコブができてしまう「子宮筋腫」

さて、次は子宮内膜症と並んで「ひどい月経痛」をおこす原因疾患の代表選手が「子宮筋腫」。とても簡単に言ってしまうとコレは「子宮の内外にできる良性のコブ(=腫瘍)」です。良性なので命には関わりませんので、ひとまずご安心を。

30代女性の4人に1人が子宮筋腫を持っています。心強いような、困った事のような気もしますが、とにかく、良くある病気ということです。

しかし、本来なら無いものがあることに変わりはなく、コブがある場所によって、いろいろな症状を引き起こします。「ひどい月経痛」「月経血の量が多い」「貧血」などが代表的な症状。一方であまり症状のないこともあります。子宮筋腫の大きさは大豆くらいの小さいものから大人の頭になるくらいまで、大きさはまちまちです。数も1個から20個くらいまでと様々です。

ちなみに子宮筋腫もエストロゲン依存性です。ですから、子宮内膜症との合併も多く、子宮内膜症の4~5割に子宮筋腫が合併しているのです。

治療は大きく分けると、手術と手術をしない経過観察やホルモン療法がありますが、これはケース・バイ・ケースです。医師とよく相談してください。

子宮筋腫については、「All about 子宮筋腫」に詳しくまとめてありますので、よろしければご覧下さい。

肥満気味、妊娠・出産未経験者は要注意「乳がん」

こちらもエストロゲン依存性の病気です。エストロゲンは女性ホルモンで大変重要なホルモンなのですが、こう書いてくるとだんだん悪者のように感じられてしまうかもしれません。しかし、そういうわけでもないのです。ただ単に、現代女性は今までよりもエストロゲンにさらされる時間が増えているため、エストロゲンがあることで多くなる病気が増えていると考えられます。

昨今、乳がんも急増しています。年齢的には40~50代がピークですが、乳がんになりやすい人は「肥満」「家族に乳がんの人がいる」「エストロゲンにさらされている期間が長い(初潮年齢が早い、妊娠・出産回数が無い、少ない)」などの特徴があります。乳がんについては、「All about 乳がん」に詳しくまとめてありますので、興味のある方はご覧下さい。

卵巣の中に分泌液がたまって腫れてしまう「卵巣嚢腫」

卵巣嚢腫はこんなイメージ!
卵巣嚢腫はこんなイメージ!
20代から要注意の「沈黙の臓器」卵巣の病気。進行するまで分かりにくいのが特徴ですが、「ひどい生理痛」「なんとなくお腹が重い」「腰痛」などの症状をおこすこともあります。

右のイラストを見てください。向かって右側が正常な卵巣。左側が卵巣嚢腫のある卵巣です。卵巣嚢腫とは「卵巣の中に分泌液がたまって腫れてしまうもの」で、イメージとしては、ぶよぶよした水風船みたいなものですね。たまる液体の種類によって皮様のう腫、偽ムチンのう腫、しょう液性のう腫の3種類に分けられます。

治療は、大きく分けて経過観察と手術の2通りですが、大雑把に言って、鶏の卵以上くらいの大きさになると手術することが多いようです。

ちなみに卵巣嚢腫の早期発見には、検診が一番!です。

卵巣嚢腫については、「All about 卵巣のう腫・卵巣腫瘍・卵巣がん」に詳しくまとめてありますので、宜しければご覧下さい。

年齢に関わらず性体験がある女性は注意すべき「子宮頸がん」

子宮の入り口にできる癌が子宮頚癌
子宮の入り口にできる癌が子宮頚癌です
子宮には頚部と体部があります。入り口の部分にできるのが子宮「頚」がん。もともと日本人は子宮頚がんのほうが多く、子宮頚がんと子宮体がんの割合は9:1くらいでした。ところが最近は子宮体がnがだんだん増えてきています。

子宮頚がんは40歳代に最も多いのですが、たとえ10代でも安心はできません。
それは、子宮頚がんを引きおこす原因にヒトパピローマウイルス(HPV)という”イボ”をつくるウイルスの一種がかかわっている可能性が高いからです。

HPVは性交渉によって感染するといわれているので、性体験がある場合、だれでも年齢に関わらず注意が必要ということです。ちなみに子宮頚がんはここまでに取り上げてきた病気と違って、出産回数が多い方がなりやすいのも特徴です。あとは性体験の回数が多い場合も注意が必要です。

ちなみに病気が進行すると生理でもないのに出血が見られる「不正出血」や、「性交渉のあとに血が出る」なんてことがありますが、最初は無症状。

癌を発見するためにはめん棒やブラシで子宮頚部を軽くこすって、癌細胞がいないかどうかたしかめる「細胞診」という簡単な検査があります。麻酔も要らない簡単な検査で、企業の場合は健康診断に入っていることもあります。産婦人科ならどこでも大丈夫なので、できれば1年に1回は受けるようにしましょう。またHPVに感染しているかどうかは保険適応外ですが、おりものをしらべる検査を受けることもできます。

癌は進行すればしただけ子宮や回りの臓器を広く手術でとらなければならなくなりますので、早期発見を目指しましょう。

子宮頸がんについては、「All about 子宮がん (子宮体がん・子宮頸がん)」に詳しくまとめてありますので、宜しければご覧下さい。

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