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アレルギー検査の方法…喘息・花粉症が疑われる場合の検査

【アレルギー専門医が解説】アレルギーの有無やアレルゲンを知ることができる「アレルギー検査」。主に行われるのは、血液検査、皮膚検査、負荷試験ですが、喘息や花粉アレルギーが疑われる場合には症状に応じたその他の検査を行います。各検査法と診断方法について解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

アレルギーの主な検査方法……血液検査・皮膚検査・負荷試験

アレルギー検査のやり方

アトピーを判断するうえで、血液検査は必須

よく行われる主なアレルギー検査は、「血液検査」「皮膚検査」「負荷試験」の3つです。

■ 血液検査
採血をして、アトピーを含めたアレルギーの原因を探ります。血液検査では、主に以下の項目がチェックされます。
 
  • 好酸球の数
血液の中の白血球という本来病気と闘う細胞で、好酸球という白血球の数を調べます。アトピー、アレルギーの病気の人は、好酸球の数が多い傾向にあります。施設によりますが、通常は300から500/μlですが、アレルギーなどでは、500/μl以上になります。
 
  • IgE値
免疫に関わるたん白質で、アトピー、アレルギーの病気の人はこのたん白質の数値が増えます。年齢とともに正常値が上がりますが、7歳以上で170IU/mL以下です。
 
  • 特異的IgE
原因と思われるアレルギー物質に対して、陽性か陰性か判断する指数。Immuno-CAP法では、この数字は0.10から100以上までありますが、0.34以下ならスコア0で陰性。0.34~0.69までならスコア1で疑陽性。0.7以上ならスコア2で陽性になります。100近くになるとスコア6の重たいアレルギーがあると診断されます。保険診療で検査できる項目は13項目までです。多くのアレルギーの原因を検査する方法として、MAST-36 (36項目)、View-39(39項目) があります。
 
  • LDH(lactate dehydrigenase)
体内の酵素で、皮膚や肝臓などに含まれているもの。皮膚の炎症で皮膚が破壊されると血液中に出てきます。アトピーの湿疹がひどいと上昇するので、この数値を見ます。子どもでは正常でも高くなりますし、成人でも肝炎、筋炎などの疾患でも値が高くなります。
 
  • TARC(Thymus and activation-regulateed chemokine)
細胞を引き寄せる体内で作られるタンパク質。最近測定できるようになった新しい数値ですが、アトピーの湿疹がひどいと上昇します。子どもでは成人より高値になりますが、成人の正常値は450pg/mL未満です。

血液検査についてより詳しく知りたい方は、「血液検査でわかること…数値の読み方と結果の活用法」をご覧ください。

■ 皮膚検査
皮膚にアレルギー物質をつけるので、かゆくなるかもしれません
  • プリック・スクラッチテスト
原因と思われるアレルギー物質を皮膚にたらして、針で少しだけ皮膚を刺したり(プリック)引っ掻きます(スクラッチ)。15分後に赤くなるか、蚊にかまれたような湿疹が出れば、たらしたアレルギー物質がアレルギーの原因と考えます。生食、ヒスタミン液および原因となる物質のアレルゲン製剤を使用します。アレルゲン製剤が果物などでは、プリックツープリックテストと言って、果物などを直接刺した針を皮膚に刺すこともあります。
  • 皮内テスト
原因と思われるアレルギー物質を皮膚内に針で入れます。15分後に赤くなるか、蚊にかまれたような湿疹が出れば、皮内に入れたアレルギー物質が原因と考えます。プリック・スクラッチテストよりはアナフィラキシーなどの副反応が起こることがありますので、注意が必要です。
  • パッチテスト
原因と思われるアレルギー物質を皮膚に貼り付けます。その状態で、2日間(48時間)、3日間(72時間)後に、赤くなるかを判断する検査です。主に皮膚科で行われることがあります。現在は、金属などをセットにしたパッチテストがあります。ただ、陽性の場合、かゆみやかぶれが出る可能性があります。

■ 負荷試験
原因と思われるアレルギー物質を摂取して、湿疹などのアレルギーの症状がでるかという検査です。アナフィラキシーなどの症状がきつく出ることがある場合には、外来よりは入院での検査になることがあります。喘息ではアレルギーを起こす物質を吸入したり、食物アレルギーでは実際にアレルギーを起こす物質を食べてアレルギー症状が出るかどうかをみる経口負荷試験があります。食物依存性運動誘発アナフィラキシーでは、原因食材を摂取して、運動を負荷する試験があります。ただし、負荷試験で陽性になれば、本人への負担もあるので、その負荷試験の時期や負荷量などを十分に検討する必要があります。

次に、喘息や花粉症が疑われる場合のアレルギー検査法について順に解説します。
 

「喘息」が強く疑われる場合のアレルギー検査

■ 呼吸機能検査
肺や気管支の状態と機能を見る検査。肺の膨らみを見る肺活量、気管支が狭くなっていないかどうかを見る1秒率を測定します。具体的には、息を吸って、吐く検査で、労力が必要です。そのため、子供に対してはこの検査はあまり行われていません。

■ 気道過敏性試験
薬剤やアレルギーを起こすアレルゲンを吸入させて、呼吸機能を見る検査です。負荷試験同様、気道が過敏な状態で、薬剤やアレルゲンに反応すると気道が狭くなるため、息苦しくなります。そのため、慎重に検査を行います。

■気道抵抗検査
空気の通り道である気管が狭いと、空気の通りが悪くなり、空気抵抗が起こります。これを測定するのが気道抵抗検査です。

■呼気NO検査
息を吐いたときに含まれる一酸化窒素の量を測定することで、気道のアレルギー炎症を見ることでできます。
 

「花粉症」が強く疑われる場合のアレルギー検査

■ 目の検査
眼脂や結膜をブラシ(ブラッシュサイトロジーというブラシを使います)を使って取り、結膜や眼脂の中の好酸球というアレルギーを起こす白血球がないか顕微鏡で観察します。

また、目に花粉の成分を点眼して、結膜炎を確認する点眼誘発試験があります。ただ、症状を起こす検査ですので、陽性の場合は少しツライ検査になります。花粉症の目の症状については、「目のかゆみ・痛み…目に出る花粉症症状と対処法」をご参照下さい。

■ 鼻の検査
検査としては、血液検査と鼻にアレルギーを起こす物(小さなディスク)を入れて鼻の粘膜を観察する方法があります。後者は、ダニとブタクサしかありません。

なお、アレルギーの検査は、年齢を重ねるごとに変わります。数値が上がったり、下がったりするので、繰り返し検査されることをお勧めします。また、特異的IgEや負荷試験では、陽性が陰性になることがあるので、陽性といって悲観する必要は全くありません。また、特異的IgEが陽性だから、その原因に対してアレルギー症状が出るわけではありません。

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