グッスリ眠るとしっかり記憶できる
居眠りもお勧めです
2語一組の単語を20組暗記し、12時間後に別の単語20組を覚える実験が行われました。睡眠グループは2回の記憶課題の間に睡眠をとり、覚醒グループは睡眠をとりませんでした。
2回目の記憶を行った後に、初めの単語の組についてテストすると、睡眠グループのほうが覚醒グループに比べて、明らかに多くの単語を覚えていました。このことから、睡眠によって記憶が脳に残りやすいことが分かりました。また、睡眠をとると、後で他のことを覚えても、最初に記憶したことが保たれやすいことを示されました。
眠っている間の脳波を見ると、宣言記憶は脳の眠りであるノンレム睡眠のうち、深い睡眠(徐波睡眠)のときに脳に固定されています。この徐波睡眠は、夜の睡眠では前半部分に多く現れます。つまり、勉強したことをしっかり記憶したければ、午前0時には眠りについて、寝つきの1時間半から3時間を大事にするのが良いといえます。
昼寝にも、記憶を強化する働きがあります。学習した後に短い時間だけ昼寝をして、どれだけ記憶できたかを調べた実験があります。このとき、昼寝の間に徐波睡眠が多いほど記憶の再生率がよく、脳が活発に活動していることが分かりました。実際、福岡県の高校が1日15分の昼寝タイムを設けたところ、昼寝をした生徒は、勉強にやる気が出て、成績も向上したと答えています。
深い睡眠だけでなく、浅いノンレム睡眠や朝方に多く見られるレム睡眠も、記憶力の向上に役立っています。これらの睡眠は、運動の動作に関する記憶である手続き記憶の向上に関与しています。
記憶したことを実生活で使いこなすための作業能率、つまりパフォーマンスの向上にも、これらの睡眠が不可欠です。また、レム睡眠中に見る夢は、不要な記憶を捨てたり、新しい記憶のネットワークを作り上げているときの画像とも言われています。